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恋する乙女と守護の楯〈上〉―The shield of AIGIS (集英社SD文庫)
著者:和泉フセヤ
イラスト:瀬之久史本

要人護衛組織『アイギス』に所属する新人エージェント・如月修史に下った新たな指令、それは『女装して全寮制女子校に潜入し、女学生として生活しながら対象を護衛せよ』という無茶な内容だった。
嫌がる修史だったが、無理やり女装させられ、山田妙子として禁断の花園に投入される。そこで出会うのは淑女の中の淑女・春日崎雪乃、スポーツ万能少女・椿原蓮、小悪魔的策略家・新城鞠奈をはじめとする女の子たち。
修史の奇妙な学生&護衛生活が始まった!


「彼女が今日転入してきた山田妙子さんです」
「そうですか……」
中央の学生が短く答える。
さっき返事したのは彼女らしい。透き通るような、美声だ。
「山田さん、彼女が会長で三年生の春日崎雪乃さんよ」
麗美が紹介する間、修史は、その美声の持ち主の、いや警護対象の顔を見ようと、目を凝らしていた。
「は、はい」
一拍遅れて返事をする修史の後ろで麗美が電灯のスイッチを入れたのか、立ち上がった雪乃の顔がはっきりと見えた。
「私が、会長の春日崎雪乃ですわ。ようこそセント・テレジア学院へ」
優雅な笑顔の雪乃に見つめられ、修史はなぜか全身を射抜かれたような気がした。
「それから、向かって右側の彼女が副会長の椿原蓮さん」
麗美が手を差し出すのに合わせ、蓮が頭を下げた。
「教室ではお声を掛けずに申し訳ございません」
「い、いえ、こちらこそ」
やはり蓮も、雪乃とはまた違った笑顔で修史を見ている。
二人とも本部で見た写真よりも実物のほうがずっと美人に見える。
「ようこそ撫子会へ。歓迎します。副会長の椿原蓮です」
「よ、よろしく……です」
ショートカットの蓮は一見、快活そうに見えたが、実物は幾分か落ち着いた印象である。
「そして彼女が新城鞠奈さん。撫子会では会計を担当してます」
麗美が向かって左側の学生に手を向ける。
「初めまして、妙子様。一年の新城鞠奈と申します」
鈴を転がす様な声とはこの事か、と修史は思った。他の二人よりも幾分身長が低く、あどけない顔がどことなく高価なアンティーク人形を思わせた。
髪を両側で結った、入形のような鞠奈がペコリ、と頭を下げた。
鼓動が早まる胸を抑えつつ、修史も頭を下げる。
三人とも女性嫌いの修史も認めてしまうほどの美少女だ。それに気品もある……。クラスメイトの真田設子と同じ雰囲気を感じる。
「こちらこそ……。ところで、学生会のことを撫子会と呼ぶんですよね?」
「はい、その通りですわ。セント・テレジアの学生会は、撫子会と呼ばれておりますのよ」
先ほどと変わらず、鈴を転がすような声で鞠奈が答える。
奇異に聞こえる名称だが、いわゆる通称というやつか、と修史は納得した。
(大和撫子、のナデシコか……)
「さて、と。お伝えしていた通り、山田さんも撫子会に入るので、仲良くしてあげてくださいねー」
麗美がボン、とその背中を軽く叩くと、修史は条件反射的に頭を下げた。
「よ、よろしくお願いします、です」
「勿論ですわ。お友達が増えて嬉しいわ」
「撫子会が三人きりなのは少々寂しいと思っていたので、大歓迎です」
「よろしくお願いいたします、妙子様」
三入の歓迎の言葉を聞いて修史は少し安堵した。こんなおしとやかなで優しそうな女の子たちとなら、なんとかやれそうかもしれない、こちらも徐々に慣れるとして、距離を置いての護衛なら可能だ、そう思った。
「それじゃー、あとは若い者同士で~。山田さん、ではまた~」
「は、はい」
右手をひらひらと振り、麗美が部屋を出た。
「ご苦労様でした、星野先生」
雪乃が、その背中に頭を軽く下げる。
麗美が出て行ってからも三人は静かに笑みを浮かべていた。
が、しばらくするとその顔から笑みが消えた。
「……行ったわね?」
「ああ、行った」
麗美の足音が遠のいていくのを聞き届けると、蓮が雪乃に頷いて見せた。
三人の笑顔が一転して気だるそうに見え、口調も先ほどと少し変わっている。
「あー、肩凝ったぁ」
鈴を鳴らすような声だったアンティーク入形が、疲れ果てたような声で、まるで『やってられない』といった顔で肩を大きく回した。
「……へ?」
その様子を見て修史はしばし呆気にとられた。
(あれ?)
「ふーっ」
大きな溜息をついて、雪乃が玉座のような椅子に腰掛け、白く細い足が露出するのも構わず大きく脚を組み出した。その隣では、蓮が大口を開けて欠伸をしている。
修史には彼女たちの豹変ぶりが理解できなかったが、しばらくの思考の末、ある答えに辿り着いた。
(まさか、さっきのは芝居で、こっちが本性だというのか?)
唖然とする修史の前で、面倒くさそうに雪乃が口を開いた。
「さっぱり理解できないわ。どうして、こんな子が、学内から選びに選ばれた者だけが入ることを許される撫子会に入ってきたのかしら?」
ちらり、と雪乃が修史を見た。その目つきはまるで下賎な者を見下ろす女王のそれのように思えた。
(なんだ……?)
「ふうーっ」
二度目のため息の後、さらに深く椅子にもたれながら、スカートの中が見えるのもお構いなしに雪乃が、組んでいた脚を広げた。
「理事長が面倒を見て欲しいと仰られたから、仕方なく承知したけれど……」
ふうっと、女王が肩を落とす。
「どう見ても、普通の子よね」
「お婆様の知り合いの子だって言ってたけど、お茶会やパーティでも見かけたことないよ」
女王に続き、アンティーク人形が、下からじろっと修史を見上げる。
「こんなに目立つのになぁ」
「あ、あの、目立ちますか、あたし?」
おずおずと修史が口を開く。
「ああ。目立つ目立つ。目元まで隠れたもっさい前髪に、そばかす。確かに、野暮ったくてかえって目立つな」
さも当たり前、と言わんばかりに蓮が腕を組んだ。
「しまった……」
周りに聞こえないように修史が咳く。
万全のカモフラージュだと思っていたこの女装がかえって目立つとは思っていなかった。
「ふむ……。素材は悪くなさそうなのに、なぜそんなにダサくしてる?もったいないじゃないか」
蓮が覗き込むように言ったので、修史は思わず後ずさった。
「もったいない、ですか?」
「うん」
「そんなあ。蓮様、何をどういじってもこれが良くなるものですか」
「……ほっとけ」

 高笑いの鞠奈に、思わず地の声が出た。
「え?」
思わず、三人が修史を見る。
「い、いえ、放っておいてください」
「へえ……?」
「ほおー、意外と気が強い?ウチら撫子会のメンバーにその態度とは」
雪乃と鞠奈がこちらを見ると、修史の背中を冷たいものが走った。


恋する乙女と守護の楯〈上〉―The shield of AIGIS (集英社SD文庫)です。
題名を見ただけで「あぁ」と思われた方もいると思います。
そう、PS2ゲーム恋する乙女と守護の楯 The shield of AIGIS(通常版)の、ノベライズ版です。

題名を見て「あぁ」と思った多くの方はこっちの「大きなお友達版」恋する乙女と守護の楯を想像したんじゃないかな。おいらはそうでした。そしてこっちしかクリアしてません。

ストーリーは5人を旨く絡めて纏めてあるんじゃないかな。さすがプロ。「大きなお友達版」をプレイしたおいらにはもう少し欲しかったけど。

あと、後書きを読んでて思ったんだけど著者の和泉フセヤさんって名前の通りのトコに住んでるのかな?
 
恋する乙女と守護の楯 The shield of AIGIS(通常版)

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迷い猫オーバーラン!〈4〉みんな私が拾います (集英社スーパーダッシュ文庫)
著者:松 智洋
イラスト:ぺこ

クリスマス直前。ケーキ作りに聖夜の芹沢教会でのチャリティー企画に、迷い猫同好会は大忙し。
文乃。千世、希は、牽制し合いながら巧へのプレゼント選びに余念がない。
そんなある日、巧の姉、乙女が新たな迷い猫を拾ってくる。それは金髪の美少女?だった。
クリスと名乗る迷い猫が持ち込んだ大騒動に、乙女の愛が炸裂する!乙女と巧の思い出の日に、新しい奇跡は生まれるのか。三人娘の恋の行方はいかに?


「なんだ、やけに疲れてる顔だな」
教室に駆け込んできた俺や文乃、そして梅ノ森の顔を見て、家康が言った。
「どうした?また乙女師匠がなんか拾ってきたとか?」
「そのまさかだ」
「うそん、マジで……?」
家康も冗談のつもりで言ったんだろうけど。
「この状況で新キャラか。ってか増えすぎじゃねー? 今度はなんだ?いや、待て、当ててみせる……うーん……はっ!わかったぞ、今足りないのは、そう!メガネっ娘だ!」
「おまえが何を基準に足りないとか言ってるのかはあえて追及しないが、ハズレ」

「金髪よ金髪。しかも年端もいかない女の子」

俺がもったいぶっていると、梅ノ森があっさりバラした。
「金髪ロリ美少女!そっちできたか!梅ノ森と被ってるようにも見えるがさにあらず。梅ノ森は神聖なロリ道に反した見た目だけ幼女だ!やはり正しくは十二歳以下!」
そっちってどっちだよ。梅ノ森も怒るより呆れて溜息をついている。
「さすがは乙女師匠。古典的でありながらも強力なキャラクター配置。たぶんそのロリっ娘は実は吸血鬼とか、どっかのお姫様とか、ナイスな設定があるとみたね」
ないって。つーか、現実とギャルゲーを混同するな。可哀相な人みたいだぞ。
「個人的には一人称『わらわ』が好みです。その方向でみなさん動いて下さい。いいですね」
「……おまえ、そのノリで話しかけたりするなよ?なんか儚げな感じの子だったから」
「わーってるわーってる。任せておきなさい」
ほんとにわかってるのか疑いたくなるような調子でうんうん頷く。
「今回はどんな事情なのだ?」
「それが、さっぱりわからないんだよ。どうも人見知りするみたいであんましゃべってくれないし。そもそも俺じゃ言葉が通じるかどうかも怪しい」
これは、苦労するかもなあ……まあ、ウチの店だと通訳には事欠かんが。
「巧……」
俺が渋い顔をしていると、希が不安そうに顔を覗き込んできた。
「心配しなくても、事情も聞かずに無理に追い出したりはしないから。おたがいさまだしな」
「……うん」
俺が笑って言うと、希は嬉しそうにうなずいた。帰ったらまずはコミュニケーション手段の確立だな。そしたら、一緒に飯を食おう。すべてはそこからだ。

「ただいまー……って、あれ?」
学校から帰ると、店はもぬけの殻だった。
「まさか……姉さん!?」
慌ててリビングに駆け込むと、テーブルの上を確認した。
「置き手紙はない……か」
ホッと安堵する。
「そういや、クリスもいないな」
姉さんがクリスを放って出かけるわけないし、二人で買い物にでも行ったのかな。
「うーん、ならせめて店をいつもの良心市モードにしといてくれりゃいいのに」
ご町内の善意に頼った良心市モード、すなわちお客さんに勝手にお金を払って商品を持ち帰ってもらうシステムは、売り上げこそふるわないが今までのところ、一度も泥棒などの被害に遭ったことのない我が店の命綱である。隣近所の皆様のご協力あってこそ可能な荒技だ。
しかし、どこに行ったんだろう?
「巧」
希が風呂場の方を指さしていた。耳をすますと水の音、それからかすかに話し声がする。
「なんだ、風呂か」
クリスと一緒に風呂に入ってるのか。良かった良かった出奔じゃなくて。
「一緒にお風呂……羨ましい?」
ホッとしている俺を何を誤解したか、じーっと見つめていた希がそんなことを言いだす。
いくら金髪碧眼美少女でも、それは俺を変態扱いしてるのと変わりないって、希。
「……後で一緒に入る?」
「だ、だだだ、誰とっ!?」
「わたしと巧」
「は、入らん入らんっ!俺は一人で十分だっ」
本心としては、ぜひよろしくお願いします!と頭を下げて頼みたいが、それはデビル巧の囁きで、エンジェル巧としては絶対に折れちゃいけない男の於持である。
「そう。じゃあ、この子たちと入る」
まとわりつく猫たちを抱え上げ、希はくすりと笑った。なんて羨ましいんだ、お前たち。俺も猫なら良かったのに。……いかん脱線した。今、目の前にある問題は、姉さんとクリスが一緒に風呂に入ってるのかってことだ。そっと、脱衣所のドアに身を寄せてみる。
耳をすませば、姉さんが歌っている調子はずれの鼻歌が聞こえてくるような……。
『ぎゃああああああっ!』
いきなり甲高い悲鳴が響き渡った。
「姉さんの声じゃない……クリスか!」
俺は大急ぎで風呂場へと走った。
風呂場の扉がもの凄い勢いで開いて、中から小柄な体が飛び出してきた。
「た、助けてっ!シャンプーは嫌いなんだよ!せめてシャンプーハッとを……」
英語で何かを叫びながら転がるように飛び出してきたのはクリス。

「ん?」
なにか、クリスの足と足の間にとっても見慣れた物体があるんですが。

迷い猫オーバーラン!〈4〉みんな私が拾います (集英社スーパーダッシュ文庫)です。
巧のハーレムに一名追加です。クリスです。金髪碧眼美少女(?)です。
金髪碧眼美少女(?)なのにツインテドリルじゃありません。
Chris.jpg
聖歌を歌うクリス

もうやだ三次元」とってもよい言葉ですね。


迷い猫オーバーラン!〈4〉みんな私が拾います (集英社スーパーダッシュ文庫)

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迷い猫オーバーラン!〈3〉…拾う? (集英社スーパーダッシュ文庫)
著者:松 智洋
イラスト:ぺこ

夏祭りで宣伝とパティシエールである希のおかげで『ストレイキャッツ』は立ち直りつつあった。千世も初めてのバイトに慣れないながらも頑張っている。だが好事魔多し、梅ノ森学園の体育祭を舞台に、ブルマ派の千世とスパッツ派の文乃が対立し、学園全体を巻き込む騒動に発展する。さらに、迷い猫同好会の活動が原因で希が元々いた施設に彼女の所在がばれてしまい、家族の関係に危機が訪れる?恋の二人三脚で巧と共に走るのはどの迷い猫なのか!?

「どう?気に入った?」
メイドニ人をひきつれ、梅ノ森がやってくる。
「いや、気に入るもなにも……」
やりすぎ。
この光景を見て出てくる言葉はそれだけだ。
「アンタ、やっぱバカじゃないの?たかだか高校の体育祭でなにやってんのよ。オリンピックでもするつもり?」
「せっかく全世界に公開するんだもん。多少は見栄えも整えないと」
多少……これが、多少なのだろうか。
「当日までには、各チームの櫓と観客席が完成してるはずよ」
このうえまだ何か作ろうってのか。
「櫓ごとに定点カメラを設置するの。あと、放送席と観客席にも一台ずつ。もちろんハイビジョンよ、ハイビジョン」
「画質にこだわるのはけっこうだが、地元の体育祭なんぞ見て誰が喜ぶんだ?」
「その点も、もちろんぬかりないわ。佐藤、鈴木!」
梅ノ森が声をかけると、クオリティの高い背景画のように控えていたメイドさんが前に進み出る。そして、おもむろに自らのメイド服を脱ぎ捨てた。
「なっ!?」
そこに現れたのは、学校指定の体操着姿の元・メイドさんだった。
だが、よく見ると体操着は体操着でも大きな違いがあった。
普段は分厚い布地に隠された絶対領域が、最大サイズの広さで存在感を示している。
その名は誰もが知っているが、二次元と一部マニア向けなモニョモニョ以外では、いまや実物を拝むこと自体があり得ない伝説が、今、目の前に展開していた。
「なんで……ブルマ?」
「ふっ……いいところに気づいたわね」
梅ノ森は、我が意を得たりと頷いた。
「いや、普通気づくって」
「巧、うちの体操着はなにか言ってみなさい」
「は?いや、短パンだろ」
「そう、短パンよ。今どきはどこの学校だって短パンなのよ……」
「それがなんだっていうのよ。付き合ってらんない。行くわよ、巧」
「ちょっと、芹沢文乃!人の話は最後まで聞けってのよ!」
俺の腕を掴んでさっさと行こうとする文乃を、梅ノ森は慌てて止める。
「鈴木、マイクを!」
鈴木と呼ばれたメイドさん――現ブルマさんがすかさず無線式のマイクを差し出す。
梅ノ森は恭しく差し出されたマイクをひっつかむと、いきなり大声で怒鳴る。
「みんな、ちゅーもーっくっ!」
もう一人の元メイド――現ブルマさん、ええいややこしいな。
とにかく、片割れのメイド佐藤さんが持つ拡声器から梅ノ森の大声が何倍にも拡大されて朝の学校に響き渡る。近くを通りかかった生徒が何事かと足を止め、次々と振り返る。
そして千世はたっぷりと間を持たせてから唐突にこう宣言した。
「今日をもって、梅ノ森学園女子の体操着はブルマになるわ!」
朝っぱらから重大発表だった。
それも、もの凄くどうでもいい内容だ。なんというか、わざわざ大々的に言うことでもない
し、ましてメイドさんがわざわざ着替えるまでもないと思う。
だが、周囲の反応は俺の予想とはまったくもって違っていた。
「「うおおおおおっ!」」
一部で上がる、雄叫びのような歓声(主に男子)。
「「ええええええっ!」」
また一方では、不満を絵に描いたような絶叫(主に女子)。
「すでに、人数分のブルマは用意してあるわ。もちろん色は紺と小豆の二色!」
「「うおおおおおおおっ!」」
ふたたび男たちが沸いた。
「さすが梅ノ森!俺たちに出来ないことを平然とやってのけるッ!」
「そこにシビれる!あこがれるゥ!」
「今日は記念日だ!俺たちの夢が現実になっためでたい日だ!」
「梅ノ森!梅ノ森!」
口々に梅ノ森を賞賛する。
中には肩を組んで歌い始めるやつ、遠くの空に向かって祈るやつ。
そして最後は怒濤の梅ノ森コール。
一躍カリスマと化した梅ノ森はいつも以上に女王様な顔で野郎どもを脾睨する。
だが、女子はというと、先ほどにもまして不満と嫌悪感を露にしていた。
「ブルマとかマジでありえなくない?」
「ていうか、男子必死すぎ」
「ぶっちゃけキモいよねー」
「男子キモーい」
「もう先に逮捕しといた方がいいんじゃね?」
汚物でも見るかのような反応。
ブルマブルマと騒ぐ連中もどうかと思うが、女子は女子でかなりヒドイな……。
すると、まるで俺の感想が伝わったかのように女子たちの前に進み出る一人の勇者がいた。
「黙れこの三次元のメスブタどもがあ!」
家康だった。ひっこめ菊池、菊池マジシネ、菊池キモい、などなど罵署雑言が浴びせられる
中、それでも家康は一歩もひくことなく女子たちの前に立ちはだかる。
「オレは……オレは……オレはブルマが好きだああああああああっ!」
なんかもういろいろと最低だった。いい歳した高校生が涙と鼻水で顔面をぐしゃぐしゃにしながら言うセリフじゃあない。絶対ない。
「お尻を包み込む丸みを帯びたフォルム、化学繊維独特の滑らかな手触り、ふとももをキュッと締めつける裾の締まり具合……そのすべてがオレは大好きだ!愛していると言っても過言ではない!」
もはや、女子はブーイングどころかドン引き。
俺自身も今すぐ菊池家康という人間の記憶を脳内かち抹消したい気分だ。
「菊池ーっ、よくぞ言ってくれたぁ!」
「おまえってやつあ……くぅ」
って、おーい、男子諸君、なんで泣いてるんだー。
「二回死ねっ!」
そんなよくわからない友情シーンを打ち破り、文乃の背面蹴りが家康を襲う。
「あふん!」
妙な声をあげつつ吹っ飛ばされた家康が、台風で飛ばされたビニール傘みたいに地面を転がり、真新しい入場門に激突。そのまま動かなくなった。
文乃は無言で恐怖で真っ青になった男子たちを睨みつける。
しばらくすると、自然と女子の間から拍手がわき起こった。
「さっすが文乃。いい蹴りしてる。大晦日はアンタで決まりダネ☆」
委員長がバチーン☆とウィンクしながら現れた。
「叶絵……見てたなら手伝いなさいよ」
「おっと、あたしゃ荒っぽいのは専門外だよ。それに、ここで文乃のパンツを観賞したい」
「どこ見てんのよ!」
文乃は真っ赤になってスカートをおさえると、すぐさま俺の方をギロリと睨む。
「アンタ、見たでしょ」
「え?いや、見てない見てない!」
文乃のお気に入り、水色ストライプのしましまパンツを慌てて頭から振り払った。
「いやー、今日はピンクかあ。モテカワっすか?モテカワなんすか?」
「え?なに言ってんの委員長。今日は水色でしょ?つーか、ピンクは文乃のとっておきだからここぞって時にしか穿かない……あっ」
しまったーと思った時にはもう遅かった。
振り返ると、文乃は鬼の形相。
委員長にいたっては、ニヤニヤと笑っている。
「へえ……ずいぶん詳しいのねえ……」
「ま、待て、文乃。今のは違うんだっ」
「なにが違うの?アンタが、あたしのパンツを逐一チェックしてるような変態野郎だってこと?」
「チェックなんてしてない!本当だ!ただなんつーか、毎日見てると自然とローテーションとかそういうのがわかってきたりするだけで……」
「一万回死んでこおおおおおおおおおおおおおいっ!」
ローファーのつま先でえぐりこむように放たれた蹴りがみぞおちを襲う。


迷い猫オーバーラン!〈3〉…拾う? (集英社スーパーダッシュ文庫)です。
ブルマ対スパッツの体操着バトル開始です。
ブルマの歌まで……
そして希は文乃と千世に爆弾投下!!
ムフフフ♪とお楽しみ下さい

『サンキュー・ブルマ~ありがとうのキモチ~』
作詞/作曲―菊池家康
歌     菊池家康とブルメイツ

(ブッブッブルマブッブッブルマ)
(ブッブッブルマブッブルマブッブッブルマ)
ちょっと聞いてよ地球が危ない。いつものことさオレは寝る。
SoftにTouch、HardにCatch、脱いだブルマは置いていけ。
オオサンキューブルマ、ありがとう、オオサンキューブルマ、また来週。
ちょっと奥さん街が燃えてる、オレ明日から本気だす。
coolにsmell、wildにPutOn。被るまえにはよく拝め。
オオサンキューブルマ、さようなら、オオサンキューブルマ、また来世。
※コーラス
〈イントロ〉
「さわるだけでええんか……?」
(※セリフ)
オオサンキューブルマさようなら
オオサンキュ!ブルマナマステナマステ
(ブッブッブルマブッブッブルマ)
(ブッブッブルマブッブルマブッブッブルマ)
(ブッブッブルマブッブッブルマ)
(ブッブッブルマブッブルマブッブッブルマ)
(イェア!ウッ!ハッ!)※フェードアウト
 


迷い猫オーバーラン!〈3〉…拾う? (集英社スーパーダッシュ文庫)

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迷い猫オーバーラン!2  拾わせてあげてもいいわよ!?(集英社スーパーダッシュ文庫 )
著者:松 智洋
イラスト:ぺこ

都築巧は血の繋がらない姉、乙女と偶然拾われた素性不明の美少女霧谷希と暮らす高校生。檄ツンな幼なじみの芹沢文乃と共に潰れかけの洋菓子店『ストレイキャッツ』を必死で維持している。だが、忙しすぎて学園理事長の孫で巧に想いを寄せる梅乃森千世が作ったサークル活動に出られなかった事から、千世の怒りが爆発。千世の幼なじみで純正セレブな竹馬園夏帆も加わって、事態はとんでもない方向に発展する!?

乙女姉さんを……水着コンテストに!? 
「い、いやあ、何も悪い方向に考えることはないんだよ。さっきも言ったけど、店の宣伝になるし。このところ景気もよくないでしょ?」
同じ商店街のご近所さんには、わかってしまうらしい。
ストレイキャッツが、今どれだけピンチな状態なのか……。
「うう~ん、水着コンテストかあ~」
あご先に人差し指を当てて、乙女姉さんは困ったような顔をした。
「乙女さんが出てくれれば、店の人気も、商店街の人気もうなぎ昇りだよ。ねっ?」
「う~ん、でも~別に私じゃなくても、いいような気が~……」
「そ、それは困るよ、乙女さん」
なぜか、精肉店の店主が慌て始めた。
「なんというか……その、それは非常に困るんだが」
「どうして~?」
「そ、それは、やっぱり乙女さんには華があるし……」
目を泳がせて、しどろもどろになる精肉店の店主。
確かに、乙女姉さんは町内の人気者だし、スタイルも抜群だもんな……
「ま、まあ、今すぐどうこうって話じゃないから、よく考えて、ぜひ参加をよろしく頼むよっ」
一方的にまくし立て精肉店の店主は、ケーキを一つ買うと慌ただしく去っていってしまった。
「……あたし、お店のためなら、脱ぎます!な~んちゃって、てへ♪」
それにしてもこの人、ノリノリである。誰がって?それはもちろん乙女姉さんです。
放っておいたら歌の練習も始めると思うな。振り付きで。
「乙女さんのスタイルなら、優勝間違いなしですよね」
ものすごく他人事な感じで文乃が言う。まあ、そんなもんだろうな。
我々の期待は選択の余地なく町内水着コンテスト優勝による当座の生活費獲得と町内への宣伝に向けられることになった。乙女姉さんも別に嫌がってないからいいかな、と……と!?
「ねー、巧、これ、どう思うー?」
ちょんちょん、とほっぺを突かれて振り向く俺。
視界には、鼻血を出して倒れている大吾郎と家康。
「ん~、またおっぱいおっきくなっちゃったのかな?なんだか小さいみたい……」
そして俺の至近距離には、どう見てもサイズに合っていないピチピチで紐と化した水着を身体に密着させた乙女姉さんのグラマラス豊満ボディがあったのだ。
「どわあああっ!姉さんっ!それマズイって!?」
「乙女さんっ、水着、破れそう!脱いで、脱いでっ!」
はち切れそうな姿に思わず叫ぶ俺。慌てた文乃が光速でバスタオルを姉さんに巻く。
その瞬間、ぶち、と可愛い音を立てて乙女姉さんの足下に水着の残骸が落ちた。ぐっじょぶ、文乃。そのバスタオルテクニックは特技に認定しよう。
「あ~。どうしよう、巧。お姉ちゃん、水着、これしか持ってないんだけど……」
姉さんの水着は外人体型。一番安くても万単位だ。あんな薄い布なのに、水着は高い。
がっかりして水着の残骸を見つめる乙女姉さんだが、さすがにこれを買い直す予算はない。
しかし、この期に及んで水着コンテストに出ないというわけにもいかない。
最大顧客である商店街を敵に回すわけにはいかないのだ。
「……希」
「……にゃあ?」
俺は、深く溜息をついた。既製品の安売り水着でも着られて、しかもコンテストでぶっちぎりの優勝が出来そうな美少女が、幸い、ストレイキャッツにはもう一人いる。
「悪いけど、希、姉さんの代わりに水着コンテストに出てくれないか?どうせ、文乃は出ないだろうし……」
言葉の途中で、ピキ、と空気の凍る音がする。
「なに、それ?」
文乃である。何を怒っているのか全然わからないが。
「どうしてあたしが出ないって決めつけるのよ!?」
「えっ、ええっ!だって、お前こういうの嫌いだろ?出るわけないじゃん」
「勝手に決めつけるな!で……出るわよ!あたしっ」
まて。落ち着け。
文乃は、基本照れ屋なのだ。というか、極端な照れ屋と言うべきだ。恥ずかしいから殴る、照れ隠しに蹴る。そういう人物が水着コンテストに出ては死人が出るかもしれん。
「文乃、無理しなくていいって。希、いいよな」
「……にゃあ。わかった」
希は快諾する。まあ、これだけでストレイキャッツの優勝は約束されたようなものだ。
しかし、全然収まらない狼少女がひとり。
「無理なんかしてないっ!二回死ね!あたし、出るわよ!お店のために優勝すればいいんでしょっ!ぜったい出る!出ますっ!」
……おい。
顔が耳まで真っ赤で目に涙がたまってますけど。そんなに嫌ならやめていいのに。
しかし、ここでトドメを刺すのが家康の役割だ。
「へっ、そう言いながらどうせワンピースにパレオに帽子にサングラス、ついでにパーカも着込んで完全防備なんてオチでしょ?知ってる知ってる。そういうツンキャラよくいるって」
「ビキニで出てやろうじゃないのーっ!!!」
文乃は、涙目で竜巻旋風脚を放ち、家康を粉砕した。だが落ち着け、それは墓穴だ。
冷静になれ文乃。縞々のパンツも見えてるし。俺は、今、やっと事態が呑み込めた。
俺が「出るわけない」って言ったから、狼法則が発動して本心は「出たくない」のに「出る」って言い出してるだろ、絶対。
「文乃、ホントに大丈夫だって。希が出てくれれば……」
「うるさいっっ!出るの!決めたのっ!巧の無神経――っ!!百回死ね――っ!」
文乃の黄金の左腕が繰り出すパンチで、星が砕けた。銀河が泣いた。
吹き飛ばされて気絶しそうな俺の耳元にしゃがみ込んだ希が、ぽつりと眩いた。
「……策士?」


迷い猫オーバーラン!2 拾わせてあげてもいいわよ!?(集英社スーパーダッシュ文庫 )です。
天然?美少女霧谷希、檄ツン幼なじみ芹沢文乃、ロリぺたお嬢様梅乃森千世に続いて純正お嬢様竹馬園夏帆参戦!
~~~~~
ふと、夏帆さんが、俺の方へ歩み寄ってきた。
「あなたに今回は色々と教えられましたわ。その恩返しというわけではありませんけど。私なりのお礼をさせて頂きたく思っております」
いや、そんな、礼を言わなきゃならないのはむしろこっちで――と言いかけた瞬間。
夏帆はぎゅっと俺の足を踏みつけ、思わず俺が仰け反った所に急接近し、そのまま俺の唇に唇を重ねてきた。いわゆる、キス、だ。
~~~~~~
ギャルゲならそろそろ選択肢が出てきて「どの娘を応援しますか」とか出てくるころだな。
 


迷い猫オーバーラン!2  拾わせてあげてもいいわよ!?(集英社スーパーダッシュ文庫 )

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まともな人間のどこが面白い

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貼れないストーリーをこっちでやってます。
18歳以上の方向け……。
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迷い猫拾いました
大事に育ててくれますか?
え※ち猫オーバーにゃん!
拾った迷い猫と※なことをするCG集です。

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