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くりぽと すくすく☆魔法少女塾 (GA文庫)
著者:小幡 休彌
イラスト:八重樫 南

「昨日からあたしのこと尾行してたんでしょ。あんたみたいな真性ロリコンストーカーがしそうなことよ」
「お前のウヌボレぶりはあれだ、いっぺん病院行った方がいいぞ」
代々呪禁師の家に生まれた高校生・芦名春覚は、小学生の女の子たちが通う、魔法少女専門の進学塾の助講師として働く羽目になる。
だが受け持つことになった生徒のひとり星神りりすとは、先日最悪な出会いを果たしたばかり。
おまけに担当するクラス自体も、一筋縄ではいかない問題児だけを集めた最下級クラスで!? 
ただでさえ子供の苦手な春覚は、果たして彼女たちの先生になれるのか!?


「なんかあんたたち顔見知りみたいだけど、あらためて紹介するわね。この子は星神りりす。四年生よ。ご覧の通り獣化変身者。カラスとジャッカルにしかなれないけどね。注意事項は……今さら君わないでいいか。これでやっとこのクラスの生徒が全員揃ったわね」
教室に戻った玲先生は、やっぱり例のけだるげな調子で、ファム組最後の生徒を春覚に引き合わせた。今はちゃんと服を身に着けて、ゆうべ会った時のままの女の子だ。
もっとも、あの宵闇色の瞳を持つ少女・星神りりすは、ギロリと春覚をひとにらみして、
「死ぬといいんだわ、この真性ロリコンストーカー」と吐き捨てただけだった。
春覚は春覚で、りりすの方を見ようともしない。お尻が痛くてそれどころじゃないのである。
「病院に、病院に行かせて下さい玲先生!不潔な動物に噛まれました!バイ菌が!いや狂犬病が!」
りりすが横から叫んだ。
「だ、誰が不潔な動物よ!あんたみたいな変態のお尻噛んじゃったこっちが死にそうよ!オエー!」
「お、おれは変態じゃない!むちゃくちゃ言うな!」
「変態じゃない。女子トイレに忍び込んで、女の子の着替えのぞいて!ねっとりとイヤラシイ目つきで人の裸見て!これが変態じゃなかったらこの世に性犯罪者なんかいなくなるわよ!この真性ロリコンの真性ストーカー!」
「こらこら、ちょいちょい事実無根の話を挟み込むな!女子トイレに入ったのは他の子たちにかつがれたせいだし、いやらしい目つきなんかしていない。だいたいお前みたいなガキの裸見て何が面白いと思ってるんだ。あほか」
「あ、あたしみたいな美少女に、年齢は関係ないのよ!どうせ、昨日からずーっとあたしのこと尾行してたんでしょ。あんたみたいな真性がしそうなことよ」
なんかもう腹が立つというより呆れ返って、春覚は応えた。
「さっきから思うんだが、お前のウヌボレぶりはあれだ、病気だぞ。いっぺん病院行った方がいい」
ぐぶっ。
誰かが吹き出した。
見れば、風歌、亜月、愛音が顔をそむけ、小刻みに震えながら笑いをこらえていた。
春覚のツッコミに、いくぶんの同意があるらしい。
摂だけは、我関せずでマンガに没頭している。
りりすは真っ赤になって、愛らしい顔をますます険悪にした。
「ぐぬぬう……な、生意気な真性野郎ね」
「し、真性真性言うな!なんか別の意味で腹立つわ!」
「だって真性じゃない!」
「違う!おれに真性の部分は心身どこにもない!強いて一点微妙な部分を挙げるとしても、そこは(仮)だからなー」
りりすは頭上に大きめの「?」マークを浮かべ、ちょっと困惑の体だ。
「なにそれ。意味わかんない」
おちびの愛音が、かたわらのボーイッシュ少女・風歌をつついた。
「かっこかり、ってなあに?」
「わかんねえ。摂、わかるか?」
やはり話がわからない風歌は、クール少女の摂に尋ねる。摂はただ、
「ふっ」
と、含み笑いをするだけ。愛音は今度は、いちばんお姉さんの亜月のスカートを引っ張った。
「ねえねえ、かっこかりってなあに?」
亜月はなぜかひとり赤面して、かたくなに
「知らない。わたし知らない」
とかぶりを振るばかりだった。
そこへ玲先生が進み出、めんどくさそーに春覚の肩に腕を回した。
「ま、そうムキになんな。(仮)ならそんなに問題ないし、真性だったら手術も保険利くらしいから」
「うおー!だから違いますから!」
興奮のあまり、自ら要らぬ墓穴を掘ったことに気づいた春覚は、悔恨に頭を抱えていた。
「とにかく、ご挨拶は無事すんだみたいね」
無事。このわずか数十分のうちに起こったドタバタを、無事というのかこの塾では。春覚はまだ鈍痛がおさまらない顔面とお尻を撫でながら傑然とした。
しかしそんな春覚の様子にまるで頓着することなく、玲先生は暢気に、春覚の背中をぼんぼんと叩いたのだった。
「とりあえず、ようこそファム組へ」

その夜。
プリムグラム魔法塾から少し歩いたところにあるファミリーレストラン(フォーチュンズ)。
ここに、ファム組の問題魔法少女ご一行様がいた。
塾の授業のあと、彼女たちが何事かよからぬ相談をぶつ時、しばしば作戦本部として使われるのがここである。
というかまあ、なんにもない日でも、疲れた脳に糖分補給の口実で、甘い夜のおやつを食べにくる行きつけのお店なのだが。
「とにかく許せないわ、あの真性変態教師。あんたもそう思うでしょ風歌」
眼前にうずたかくそそり立つジャイアントフルーツサンデーをざくざく掘りながら、憤懣やるかたないりりすが言う。
隣の風歌は、ラズベリーソースのクリームチーズケーキを思いがけずちまちま食べながら、ニッと笑ってうなずく。
「失礼なヤツなのは間違いねーな。つーか、前のヤツより骨がありそうで、イジリ甲斐があるよな」
ガトーショコラブラウニーをつついていた亜月が、弱々しく口を挟む。
「わ、私はそんなに嫌いじゃないよ、あの先生。優しそうだし、それに、その、ちょっとかっこいいじゃない……?」
りりすがさっそく噛みつく。
「はあ?あんなフヌケ鬼畜のどこがかっこいいの?愛音はどう思う?」
マンゴーブリンをばくばく食べていた愛音は、大きく口を開けてニハッと笑う。
「あのん、ガクちゃん好きー!おもしろいー!」
「どこが?」
「うんとね、りりすにお尻かじられて「ギャーッ」って言ったところ!」
小悪魔な笑みをたたえて、りりすはささやいた。
「そっか。それじゃ、明日はもっと「ギャーッ」って言わせてやろっか?」
「ゆわすー!」
クリームでべたべたになった愛音の口の周りを紙ナプキンで拭いてやりながら、亜月は不思議そうに尋ねる。
「りりすは、どうしてそんなに芦名先生を嫌うの?着替えを見られたのは、風歌たちだって悪いんだから。もう許してあげたらつ」
バニラアイスの塊をかぷっと口に放り込んで、その冷たい甘さをしばし味わうと、りりすは剣呑な顔で亜月を見つめた。
「あたしが許せないのはそこじゃないの。や、それもちょっとあるけど。でもメインは別のこと!」
「なあに、それ?」
「あたしの裸見て、『何が面白い』つったのよアイツ!こんな、こんな絶世の美少女の高貴な素肌を間近で見たクセに!あのトーヘンボク!なんなら拝観料取りたいくらいよ!これは乙女のプライドの問題よ!」
「うぜえ」
「うざい」
風歌と摂が声を揃えて、苦々しげにつぶやいた。
りりすは「うっ」と少しだけたじろいだが、その勢いは収まらない。
「な、なによ。だいたいあの男、昨日の晩だって……」
「昨日?そういえばお前、なんかアイツと顔見知りみたいだったよなあ。昨日アイツと何があった?おっちゃんに言ってみ?ああん?」
風歌がいよいよニヤニヤしながら、りりすの細い肩に腕を回して顔を近づける。
「な、なんでもないわよ。うるさいわね」
りりすは急に困ったようにうつむき、ジャイアントフルーツサンデーの中腹を発掘する作業に取り組むふりをした。
「で、懲らしめてやるとして、具体的にはどうするの」
それまでほとんど何も喋らず、隅の席で黙々と白玉ぜんざいをすすっていた摂が、口を開いた。虚を突かれて、りりすは口ごもった。
「えっ。そ、そうね……」
「呪殺?毒殺?車裂き?」

くりぽと すくすく☆魔法少女塾 (GA文庫)です。
くりぽとってのは魔術関連で登場する用語の1つだそうです。
ろりぽとって読んじゃちょん切るそうです……
魔法少女塾です。小学生です。同僚に同級生が居ます。もちろん幼馴染みも居ます。
ライトノベル的に完璧なんじゃない?


くりぽと すくすく☆魔法少女塾 (GA文庫)(ライトノベル)

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ライトノベルの楽しい書き方 2 (GA文庫)
著者:本田 透
イラスト:桐野 霞

学園最強少女にしてライトノベル作家の流鏑馬剣は、あせっていた。
学園一かわいい女の子・市古ゆうなが偶然にも始めた夏休みのアルバイトをきっかけに、剣の仮の恋人である与八雲と急接近していたからだ。
その影響で、剣は創作に行き詰まり、担当編集・与心夏を困らせていた。
一計を案じた心夏は、剣と自身の従弟でもある八雲『そして絵師・ぽんぽん先生を夏の合宿へと誘い出す。三角関係を体感させることで、剣に刺激を与えようとしたのだ。
こうして、夏の海での合宿がスタート。
だが、水着での騒動や、次々と海の生物が出現したりと、予想外の展開に!
果たしてスランプ脱却なるか、そして三人の関係は?

 一方、女子更衣室は言うまでもなく大騒ぎになっていた。
「あれ?こゆりん、ちょっとおっぱい膨らんでない?2ミリほど」
「そ、そっかな~?やっぱり『飼料の中に女性ホルモン様物質が入っている』とゆー都市伝説を持つ鶏さんの肉を多めに食べたのがよかったのかな?」
「それ、マジっすか?あたしも学生時代にチキンを食べればよかったのか、くっそ~!」
「なっちゃんも、まだまだたくさん食べていっぱい寝れば成長するって。一緒にめざそうBカップ!がんば!」
「あたしは成長期なんてとっくに終わってるよーん!がお、がおっ!」
与家の二人が、実にスモールなレベルで胸の自慢話に興じている合間に―。
剣は目をギラリと光らせながら、他の三人に背を向けて鞄から買ったばかりの「勝負水着」を取りだしていた。
「……ふ、ふ、ふ。つるぺたな人々が、見てもわからない微妙なレベルで胸が大きくなっただの小さいだのと一喜一憂するさまを目にするのは、なかなかに愉快なものだな……」
往きの電車内でずっと緊張していたのは、この勝負水着を八雲の前で着なければならなかったからだ。
「今まで私は、女性の胸などというものは格闘術の妨げになる爽雑物だとばかり思っていたが……今こそ、私をこのような女性らしい姿に産んでくれた母上に感謝したい。こ、こ、このっ……"びきに"を着て、私は八雲の視線を独占するっ!」
ビキニの水着。
厳格な父・流鏑馬半次郎に見つかったら、間違いなく叱責された上に下手をすれば号泣されてしまうであろう、実に不将きわまる露出度の高い水着である。
半次郎いわく、ビキニなどというものはブラジャーとパンティを「水着」だと言い張っているだけのシロモノであり、軽挑浮薄かつ淫乱淫靡。伝統ある日本女性!!大和撫子が身につけるものではない、のだそうな。
年頃の独身女子たるもの、頭をキャップで覆い、全身を肘と膝まで伸びた横縞模様の水泳着(いわゆる「シマウマ」)で包み隠して泳がねばならない、というのが流鏑馬家の教えなのだが。
「……確かに、これは下着と変わらぬ露出度。実にえっちだ……し、しかし、胸が大きい私がこのビキニを着れば、合法的に八雲に「見せてあげる』ことができるのだ。なに、浜辺で他の男どもがじろじろ見てきたらこの視線で威圧して蹴散らせば良い。ゆえに八雲以外の男に見られる恐れはない!のーぶろぶれむだ!」
このような露出度の高い水着を着て八雲の前に出ることに抵抗感を拭いきれない自分に、無理やり言い聞かせるように「こくこく」とうなずく剣。
「ふふ、ふふふふっ……これで市古さんに勝てる!そして二人は、水平線に落ちる夕日を見つめながら……ほわ~ん……」
またまた剣が、妄想劇場を脳内でスタートしようとしていた、その時だった。
過酷な現実が、剣を襲った。
「おわあっー!?ぽんぽん、あんた!?そんなに、おっぱいデカかったのっ!?」
「ひいいいん。声が大きいです、与さんっ」
「うわあ……いいなあ、市古ちゃんって実は隠れきょにゅーだったんだね」
「そ、そんなことありませんよ、こゆりさん。べ、べ、別にそんなにおっきくないですっ。普通くらいですっ」
「ううん。どうみても普通サイズじゃないよっ。もしかしてDカップくらいあるんじゃないの?いいな~。こゆりは、やっとAサイズにたどり着いたばかりだとゆ;のに……高校生になったら、こゆりもこれくらい大きくなってるかな?」
「そ、そんなに大きくありませんってば!ほんとですっ。ああもう、はずかしくて水着姿でビーチに出るのが怖くなってきました……あううっ」
「ふっふっふっ。朴念仁のやっくんも、ぽんぽんが案外おっぽい大きいと知ったら眼を覚ますかもね~」
……そんなバカな。
この世には“等価交換の法則”というものがあってだな、市古さんのような最強にかわいい女の子が最高にかわいいイラストを描けてその上おっぱいまで大きいだなんて、そんな「学園美少女三冠王」みたいな恵まれた女の子が現実に存在するはずは。
私はまた、悪夢を見ているに違いない。
「何しとるん、流鏑馬さん?ほらほら、ぽんぽん先生の『ボイン』ぶりを見てみなさいって」
「はわわ。「ボイン』言わないでください、与さんっ。なんだかさっきから親父くさいですっ」
「えっへっへっ、そりゃあこんなかわいいツラしておっぱいだけでかい小娘に対する嫉妬が原因やね。嫉妬のあまり、あたしゃ中年親父になりさがっとるんや~」
「ひいいん。なんでわたしの胸を触ってくるんですかっ?落ち着いてください~」
逃げてはいかん。剣は、「くわっ」と意を決して振り向いた。
ワンピース型の水着を身につけた市古が、なぜか心夏に襲われていた。
こゆりは「いいな~」とつぶやきながらスクール水着に着替えている途中。
「……大きい」
確かに、小柄な身体と幼い童顔に似合わない、なかなかのボリュームだった。
水着の上からでも、はっきりとわかる。
くらっ。
剣の口から、またもやたましいが抜けかけたが、そこはプロの小説家。
言葉の魔術でどうにかこの絶望的状況を乗り切ろうと、屍理屈を考えはじめる。
……ひらめいた。
「ふ、ふ、ふ。市古さん、これで勝ったと思わないことだな!」
完全に悪役の台詞だった。しかも、負け犬臭い。
「か、勝ったって……流鏑馬さん?な、何がですか?」
「八雲は与家に生まれ育った少年だからな、つるぺたの女の予に慣らされているのだ。そう、胸の大きな女の子は苦手なはずなのだ。ふっふっふ。ずばり、八雲は……八雲は幼児体型の女の子が好みに違いないっ!」
「は、はあ、そうなんですか……」
「じゃあ、剣さんはお兄ちゃんのストライクゾーンからボール十個ぶんくらい離れてるねっ!市古ちゃんよりもおっぱい大きいもんね!」
こゆりがジト目で、容赦ないつっこみ。
"幼児体型"と言われてかちんときたらしい。
「……はっ!?ああっ、そうだったっ!?い、いや、私は別に自分のプロポーションが八雲のストライクゾーンから逸脱していようが、そんなことは全然気にしていないぞ!?む、むしろ、せ、せ、せいせいするっ」
「とか言いながら、どーしてビキニ水着を手に握りしめてるわけ?うわっ、いやらしーっ。剣さんってば、そんな露出狂みたいなちっちゃな布切れを着てお兄ちゃんをまどわせるつもりだったんだ!へんたいだー、へんたいだー!」
「……ち、ち、ち、違うっ。これは違うのだ。わ、私は色白なので浜辺で紫外線を全身のお肌にまんべんなく当てる必要があって、そのっ……けっ決して八雲に見せつけてサービスしてやろうとか八雲の視線を独占とか八雲の好感度を回復しようとか三角関係に決着をつけようとかそのようないやらしい下心は」
「って、全部自分でゲロってるし。ほんと、剣さんってわっかりやす~い」
ぷつん。
「……うあああああああっ!!!!」
ぶんぶん。真っ赤になった剣がビキニを握りしめたまま、腕を振り回しはじめた。
女子中学生に言葉で追い詰められて切れるとは、作家失格である。
「ぎゃー、流鏑馬さんが壊れたー。どうどう、おとなしくなさいっ!」
「は、はわわ~。流鏑馬さん、なんだかよくわかりませんが、もしかしてひとえにわたしのせいなのでしょうかっ?ごめんなさいごめんなさいっ」
「いいから、さつさと着替えなさいよ。お兄ちゃんを一人で浜辺に放置しておくとね、勝手に岩場の生物観察に出かけちゃうんだよ?」
「……なんだとっ?」
早くビーチに出て八雲を捕まえねば、すべてが水の泡になる。
剣は、大あわてで服を脱ぎはじめた。


ライトノベルの楽しい書き方 2 (GA文庫)です。
海だ!水着だ!三角関係だ!です。
四角じゃねぇの?です。
タイドプールと言っていいのか解らないけど磯場の水たまりは楽しいです。
カニがいます。水着のおねーさん見てるより楽しいかもです。
浜辺は水着のおねーさんに紛れて白いビキニを着たト


ライトノベルの楽しい書き方 2 (GA文庫)

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超自宅警備少女ちのり2 エクストリーム・エグザミネイション (GA文庫)
著者:小幡 休彌
イラスト:しゅー

「あたし、やっぱり帰ろうかなあ」
「くじけんの早えーーー!まだ学校まで半分も来てませんよ!」
瀧口譲は梅木家の超自宅警備少女ちのりとともに、学校へ向かっていた。
天才のちのりといえども定期試験を無視するわけにはいかないからだ。
登校中、早速ぐずりはじめるちのりをなだめすかす譲。そう、譲の受難の日々はまだまだ続いているのだ。
そんな中、巨乳のボランティア講師シスター・プリンによる家庭訪問によって、ちのりのテンションは一気にヒートアップ!
だがそのシスターにもなんだか思惑があるようで……?
はた迷惑なヒキコモリ少女がひきおこすドタバタコメディー第2弾!


 いつもは混み合う朝の女子トイレも、今日ばかりは地の利の貸し切り状態。
のんびりと用をすませたちのりは、手洗い場でふと、人の気配を感じて顔を上げた。
鏡の中に見慣れた美しい顔があった。
シスター・プリンだった。
「おはようございます、チノリさん」
「あっ、ルゥルゥだ。おはよー」
ちのりは笑いかけながらも、小首をかしげる。
「今日はなんで学校にいんの?」
「もちろん、あなたに会うためですよ」
「へ?」
シスターの背後から、細く黒い触手がしゅるしゅると伸びた。触手はたちまちちのりの顔をぐるぐる巻きにし、その目と口をふさいだ。

 むぐう?目を開けたのに、なんにも見えない。声も出せない。
ちのりは身じろぎしたが、体はぴくりとも動かせなかった。どうやら目隠し、さるぐつわをされて、椅子に縛り付けられているようだ。少しすると、手足をきりきりと戒めている縄の感触がわかってきた。
今、どこにいるのかもわからなかった。わかるのはただ、鼻のまわりがやけにムズムズすること。意識を失う前に、何かの粉を吸わされたことはなんとなく覚えている。苦い、乾いたカビみたいな、イヤな匂いの粉だ。
その粉のせいか、どうも頭がぼんやりする。でも、なんだかちょっと、いい気分でもある。
「あら、もう気がついたのかしら?」
顔のそばで、シスターの甘い声がした。「ルゥルゥ」と呼びかけようとしたけれど、口に布をかまされているので、「ぐうぐう」というくぐもった声しか出なかった。
んもう、ルゥルゥったら、朝かち緊縛プレイなんて激しすぎ。
しかも学校でなんて、インモラル感倍増。やだ、これから追試なのにい。ああでも、こうやって全身縛られるのって、キライじゃないかも。なんだか、新しい可能性に目覚めそう。くふふ、くふふ。
「ねえ、この子、ヨダレだくだくで笑ってるけど、大丈夫かしら?」
シスターが言った。どうにもここには他にも誰かいるようだ。声変わり前の少年のような澄んだ声が応えた。
「没薬の効果やろ。はるかエジプトはネフレン=カの墓所深くから持ち出した神秘の粉や。あれだけ吸うたら、そこらの女子高生なんぞたちまち人事不省のラリパッパや」
んもう、あたしをこんなに縛り上げておいて、放置してお喋りしてるなんて、ルゥルゥひどい。ちのりは思った。
あっ、でも、こんな風にないがしろにされて放置っていうのも、けっこうクるわ。
そんなみじめな自分にゾクゾクきちゃう、根っからどMなちのり十七歳。

「ねえ、この子、ひとりでビクンビクン震え始めたけど……何かの副作用じゃない?」
少し心配そうに、シスターはもう一人の人物に尋ねる。声はうっとうしげに言う。
「そんなことはないやろ。だいたい別に副作用でもええやんけ。どうせこいつも、しまいにはイケニエや。ええから早く儀式始めんかい」
「だって、こんな風にケイレンしてたら気になって集中できないわ」
「邪魔くさいのお。気になるんやったらさるぐつわ取ったりいな」
口に押し込まれていた布が外され、目隠しもほどかれた。ちのりはそっと目を開けた。
そこは空き教室だった。視界はぼやけているが、どうやら数日前に迷い込んだ、旧書道教室のようだ。ただ、窓には黒いカーテンが引かれていて、中はひどく暗い。灯りは、ちのりの周囲の何本かのロウソクだけだ。
その教室の、本当なら教卓があるあたり。そこに置かれた椅子に、ちのりは縄で縛り付けられているのだった。
ちのりの目の前には、シスターらしい人と、その足下に、何か黒い小さな生き物がいた。パグ犬ほどの大きさの怪生物が、不敵に笑った。
「くっくっくつ、わしの姿を見てびっくらこいたようやな」
ちのりは目を細めてそちらを凝視するが、びっくらこいてはいない。
「眼鏡がないから、よく見えらい」
「チッ。なんや、いちいち難儀な娘やな。おい、眼鏡返したれ」
シスターが外れていた眼鏡をかけてくれる。ちのりの視界が、やっと明瞭になる。
「どや、ちょっとはたまげたか」
キノコのような、クラゲのような、うねる触手をもった奇怪な生物が、ぷくっと軽く体をふくらませる。胸を張っているつもりらしい。
ちのりは眉一つ動かさず、ただ
「ああ」
と言っただけだった。黒い生き物はムキになって怒鳴り散らした。
「おい!感動うっすいな自分!わしの姿よう見てみ!めっちゃ黒いやろ!触手めっちゃキモイやろ!ほてから日本語ぺらぺらしゃべってんねん!いくらラリパッパになっててもビックリするやろ普通!人知を超えたコズミックホラー感じるやろ!キャー言うやろ普通!お前脳みそどうなってんねん!」
「うむふぅー、あらし、異次元の生物とか見慣れてっからさあ」
あやしい呂律で、ちのりは言った。それから、首をシスターの方にめぐらせる。
「うわあ、ルゥルゥ!すごーい!」
こちらには素直に目を見張る。シスター・プリンのいでたちは、いつもとまるで違っていたからだ。
頭をすっぽり覆うフードの付いた長い黒いマント。そしてその合わせ目からのぞく衣装は、スキンタイトな黒のレザースーツだった。深い深い胸の谷間も、膝の上まであるロングブーツの上に露出している大腿部も、なんとも扇情的だった。フードの中からは、豊かな金髪があふれ出している。そして手には、やたらと大きくて分厚い本を抱えていた。
「ねえねえそのコス、自作?素材ろこで買ったの?オカドヤ?超エローい。鼻血ぶーだよ」
「コッ、コスプレじゃないわっ!これは儀式のための正式な装束よ!」
「儀式?」
シスターはフードをはね上げて顔を見せると、クックッと笑ってみせる。
「そうよ。太古に封印された、偉大なる異界の神を召喚する儀式。わたくしはその巫女の役を父祖から伝えられたる偉大な魔道師。そしてこれにあるは、《旧支配者》の先触れにして我が朋輩、ニョグタンよ」
ニョグタンと呼ばれた黒い生き物が、ぴるぴると触手を振った。
「そおいうこっちゃ」
ちのりは信じられない、という顔で、じっとシスターを見つめていた。
「……ひとつ、聞いてもいい?」
「何かしら」
「さっきトイレでは普通のカッコだったけど、そのばっつばつの女王様スーツ、わざわざ着替えたの?そこらの物陰かどっかで?ごそごそって?いやーんルゥルゥったらもうこのエロス番長!」
そう言ってキャキャキャと笑い出すちのり。真っ赤になったシスターは涙目で歯を食いしばり、ちのりをぶん殴ろうと、手にした巨大な書物を振りかぶった。慌ててニョグタンが触手を伸ばしてシスターの腕を押さえつける。


超自宅警備少女ちのり2 エクストリーム・エグザミネイション (GA文庫)です
引きこもりオタクな自宅警備員ちのりちゃんのドデカヘロンピーーンチ!です
外は危険がいっぱいです


超自宅警備少女ちのり2 エクストリーム・エグザミネイション (GA文庫)

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超自宅警備少女ちのり (GA文庫)
著者:小幡 休彌
イラスト:しゅー

「自宅警備って、あの何から……?」
「いろいろ。今は、主に地底人」
ごく平凡な日常を送っていた高校生・瀧口譲の人生はその日一変した。
お隣に住む同級生、梅木ちのりに学校のプリントを届けにいっただけなのに、出てきたのは小汚い下着姿で、自宅警備員を自称するちょっとヤバめのヒキコモリ少女。
だが、梅木家内で謎の通路に落っこちた譲が放り出された先には、広大な地下空間が拡がっていた!?
突然現れる巨大な戦闘機械、そこに駆けつける、謎のプロテクターに身を包んだ少女・ちのり。

 
―という夢を見た。
ああ、やかましい夢だった。
譲は布団の上に仰向けになったまま、もぞもぞと目をこすった。
ここはいつもの自分の寝室のはずだし、地底入なんかいないし、隣家にヘンなヒキコモリ少女なんかいない。
……そうだよね?
しかしどういうわけか、ここは見慣れない部屋。横たわっているのは馴染んだベッドではなく、いかにも急遽用意されましたという感じのソファーベッドだ。
夢じゃない。ずっしりした現実が、譲の上にのしかかってきた。
そうだ。ここは自分の部屋じゃない。梅木家のお父さんが使っていた書斎だ。おれのうちは梅木ちのり対地底人の激闘によって、ほぼ半壊状態になったままなのだ。
しかしそれを言うなら梅木家は、さらにひどい全壊状態になってしまったはずだ。それについてはカラクリがある。
あの戦いのすぐあと、ちのりは敷地の片隅にあるシェルターから千鶴ママを助け出すと、帰宅したちさきが喚き散らすのを尻目に、シェルターの備品の中から金属製の大きなジャーを引っ張り出した。中には銀色の顆粒みたいなものが入っていて、ちのりはそれを無造作にそこらにバラまいた。顆粒はちのりがこういう時のために発明し常備してあるナノマシンで、瓦礫を分解して同化しながら、自らも建材となって破損箇所を再生するんだそうだ。おそろしいことに、ほんの二時間ばかりで梅木家はすっかり元通りに復元されてしまった。
「じゃ、これでおれの家も直して下さいよ!」
そう訴える譲に、ちのりはあっさりと答えた。
「無理」
「なんでだよ!」
「だって、この家はもう何度もこんな風に破壊されて、基礎から構造設計を記憶済みのナノマシン建材になってるからこれだけ迅速に修復できるんだもん。譲くんちは普通のおうちだから」
「ひどいよ!俺とオヤジはこれからどこで暮らせぱいいんですか!」
ちのりはどう見ても嬉しさを噛み殺せないという顔で、とんでもないことを言い出した。
「おうちが直るまで、あたしんちに住めばいいよう。もちろんおうちの修繕費はあたしが出す
けどぉ、あれだけ潰れちゃつてると、修復までかなりかかるっぽいもん」
「潰したのは誰だよおい」
憤懣やるかたない譲であったが、なにしろ引っ越してきたばかりで他に頼るあてもない。
問題は、何も事情を知らない父だ。
事件の時には運良く釣り堀に出かけていたという父(言うまでもなく、ほぼ上半分が吹き飛んでしまった我が家の惨状に言葉もなかった)に、譲はとりあえず、なんとか理解してもらえそうな範囲でざっくりと事情を説明した。
父は事態が呑み込めたのかどうか、ただ「あ、そう」と言うのが精一杯だった。
そんなわけで、譲と父は、梅木家の書斎に寝泊りすることになったのだ。
んで、そのオヤジは?
譲は半身を起こし、ぐるりを見回した。もとは大きな机や、たくさんの本棚と蔵書があったそうだが、しょっちゅう家が壊されるので、最近は別に場所を借りて保管してあるのだと聞いた。
今はがらんとした、ただの八畳の洋間だ。傍らに、床にじかに敷いた布団だけが残されていた。
なんだ、オヤジ、もう起きたのか。
譲は狭苦しいソファーベッドの上で、大きく伸びをした。
そして。部屋の片隅に誰かいることに気がついた。オヤジではない。
「くふふふふ。お・は・よ♪」
ちのりだった。なんのつもりか、エプロンなんかして、壁際にじっと正座している。
どきっとした。
いや、この場合、いわゆる女の子とひとつ屋根の下で迎える朝に胸きゅんトキメキ的な「どきっ」ではないのをお汲み取りいただきたい。どつちかというと、心臓に悪い方面の「どきっ」である。「ひっ!」と小さく声が出る感じで。
いくら顔見知りで、そこそこ可愛い女の子だといっても、朝っぱらからじっと部屋の一角に座っていられると、それはやっぱり怖いのである。
譲はバクバクする胸を押さえて、こわごわとちのりに尋ねた。
「な、なにしてるんすか、そんなとこで」
「朝のごあいさつだよぅ。くふふふふ」
「いや、人が寝てる部屋にうずくまって何をしているのかと」
「噛みしめていたんだよう!ゆずきゅんと二人っきりの朝を迎えられるシヤワセを!」
「勝手に噛みしめないでくださいそんなもん!」
「あと、ちょっと匂いも嗅いだり。きゃっ」
「うわあああああああ!」
言い知れぬ気味悪さに総毛立つ譲。そんなようすを気に止めるふうもなく、ちのりは立ち上がった。正座のせいで足がシビレているのか、いくぶん生まれたての子ジカっぽい足取りで、よれよれと近づいてくる。
相変わらず薄着だ。ピンクの胸当てエプロンから、ナマ腕ナマ脚が丸出しだ。
「あっ、そうだ。お父様からおことづけがあるんだよ」
急に思い出したらしく、ちのりはくるっときびすを返して、もといた壁際に戻ると、床に置
いてあった紙切れを拾った。
「ごはっ!!」
時ならぬ呼気が譲の肺から吹き出した。背後から見て初めてわかった。ちのりは薄着どころではなかった。なんにも着ていなかった。エプロン以外。
「あっ、いやーん。気づかれちゃったかしらあん?」
ものすごくわざとらしくお尻を押さえて、ちのりはほんのり赤く染まった顔を譲に向けた。
「ちのり、がんばって挑戦してみました。お年頃の男子がもれなく夢見るという究極アイテム、裸エプロン♪はだかエプロニーング♪わおーん!どう?萌えた?グッときた?劣情誘発された?」
な、なにがエプロニーングわおーんだ。いや確かに裸エプロンは男子の本懐。いやしかし、それにだって適切な設定とタイミングというものが。こんな闇討ちみたいな裸エプロンはいやだ!やっぱりこのお姉ちゃんは、頭のタガがどこか緩んでいる。譲は枕を掩蔽壕のように体の前に置いて、ガタガタと震えるばかりだ。
ちのりは譲の足下に膝をつくと、二つにたたまれた紙切れを両手で「はいっ」と差し出した。
おそるおそる受け取って中を見る。父の筆跡だった。
『譲へ。お父さんは長期出張に出ることにしました。いや、なりました。当分帰りません。お前も連れて行きたかったが、学校もあるので無理でしょう。梅木家の皆さんにご迷惑をかけないように。達者で生きろ。父より』
ああっ、あの野郎。何を勘付いたのか、早々に自分だけずらかりやがったー息子をこんな怪奇スポットに残していきやがって、それでも人の親か。
気づけばちのりが、べったりとしなだれかかっている。
「くふふふ。ねえゆずきゅん、そろそろ起きて。お食事にする?シャワーにする?それとも、あ・た・し?」
「うわあああ、のしかからないで!食事!朝ごはんにします!あーおなか空いたなあー!」
「アーアーなんにも聴こえなーい」


超自宅警備少女ちのり (GA文庫)です。
腐女子です。
ヒキコモリで暗黒思考でアニメオタクでコスプレマニアでネトゲ中毒でやおいも百合もショタもロリも見境なしの変態で家事能力ゼロで社会性ゼロで人見知りで偏食でワガママな自宅警備員がちょろっと地底人と戦うお話です。
婦女子LIFEをお楽しみ下さい


超自宅警備少女ちのり (GA文庫)

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貼れないストーリーをこっちでやってます。
18歳以上の方向け……。
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