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ねくろま4。
著者:平坂読
イラスト:じろう

マシロを狙う者たちとの争いに片がつき、やっと普通の生活に戻るソリス。だが、スカートめくり事件やのぞき疑惑といった不祥事が続いたためか、一部生徒から「生徒会副会長の座に相応しくない」と解職請求が出される。もともとシェンファによって生徒会に無理矢理引き入れられたソリスは、解職が承認されるようメイのアドバイスを受けながら自分の評判をさらに落とすために奔走するが―。一方そのころ、ソリスとの戦いに敗れたシズのもとにやって来たのは、新たな…?はだかいっぱい夢いっぱいの全裸系健康優良ラブコメ、ノリノリに脱ぎまくる第4巻。 。

 


「……四種目目はー可愛さアピール合戦だあああああああああああーーーーー!!!!」
拳を突き上げる司会者(全裸にバスタオル一枚)。
観客も選手たちもやけくそ気味に「うおおおおおおおおお」と盛り上がる。
司会者が例によってハイテンションで説明する。
可愛さアピール合戦=自分のペットがいかに素晴らしいかを自由なやり方でアビールするという、『ペット自慢大会』の名に相応しい競技。各出場者の持ち時間はそれぞれ五分。採点するのは観客。観客全員に花が配られ、いいと思った場合は花を掲げる。もっとも多くの支持を集めたペアが優勝。
「……シンプルなルールだけど絶対的な判断基準がないから対策が練りにくいな……」
「難しく考えなくても、先パイがどれだけマシロっちを愛してるかを自分の言葉で素直に言えばいいんじゃないですか?多分それが一番です」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「笑顔がステキって、そいつガイコツじゃん」
客席からそんなヤジが飛び、笑い声が起こる。
「白いのは肌じゃなくて骨だー!」「髪なんか生えてねえぞー」
……先ほど転んだゲルニカに向けられた温かい笑いとはまったく違う、嘲笑に近いネガティブな笑い。
しかも笑われているのは自分だけではない。
自動的にマシロも物笑いの対象となる。
羞恥と……言い返せない悔しさに歯噛みするソリス。
「だ、だからそれは……ええと……」
「―なんかキモい。ガイコツの使い魔なんかに入れ込んじゃって」
ぶち。
誰かが言ったその言葉を聞いた瞬間、頭の中で何かが切れる音がした。
(……あ、やばい〉
と頭の中で冷静に思う。
俺、今キレてる。
なんか恐ろしくあっさりと沸点を突破した。
言い聞かせる。
キレてはいけない、冷静になれ、キレちゃダメだ、キレちゃダメだー。
気持ちを落ち着けるために、すうーっと大きく深呼吸して、

「うっるせえええええええええ――――っ!!」

肺活量の限界に挑戦するかのような大声の怒声。
ぽかんとした顔で静まり返る観客たちに、ソリスはすごい剣幕で怒鳴り散らす。
感情の赴くまま、クールな天才という仮面などもはや見る影もなく。
ソリスは子供のように叫ぶ。
先の戦いでキースが言った通り―絶対に譲れないものが、向分にもあるのだ。
「うるせえんだよこのボケナスども!!バカにすんじゃねえこのクソ野郎ども!!いいかよく聞け聞きやがれ!!彼女は俺の……大切な人だ!!ペットなんかじゃねえ!!使い魔なんかじゃねえ!!使い魔なんかじゃ、ないんだ!!ふざけんなよくそったれ畜生馬鹿野郎!!」
「で、でもガイコツじゃん……」
客席から、恐る恐るといった感じでツッコミ。
感情的にわめき散らす自分の頭の奥で、彼らの言うことはもっともで、今の自分は実に滑稽だと批評する冷静な声が聞こえる。
「だから違うっつってんだうが!!」
戸惑った様子でざわつく観客たち。
「何が違うんだよ……」「わけわかんない」「引くなあ……」「自慢のペットを馬鹿にされて怒るのは解るけど……」
彼らの反応になおも苛立ちが募る。
ソリスが怒っている真の理由など彼らに解る筈もない。
そんなことは解っている―それでも、抑えられない。
「だからペットなんかじゃ……ああもう!!」
頭を掻きむしり――ふと、いいアイデアが浮かんだ。
解らないなら、教えてやればいい。
自分が何故怒っているのか――自分にとって彼女がどれだけ大切な存在なのか、
目に見えるカタチで教えてやる。
「よーく見ておけ!!」
叫び――

――ソリスはマシロに、キスをした。
身体に流れ込んでくる膨大な魔力。
マシロの身体が黒い霧に包まれ、ほどなくしてその霧が晴れる。
黒い霧の中から現れたのは、雪みたいな白い肌をした、長い黒髪の、誰もが思わず見とれるほど美しい少女。少女は輝くような極上の笑顔でソリスに微笑む。
ふと客席に視線を移すと、誰もが呆然とした顔でマシロを見ていた。
ざまあみろ、とソリスは思う。
高らかに―誇らしげに、ソリスは声を張り上げる。
「彼女の名前はマシロ・アナスタシア!!俺の幼なじみだ!!普段はわけあってガイコツの姿をしているが、本当の姿は……いや、これも厳密には本当の姿じゃないらしいけど、とにかく、見ての通り!!どうだ!!その……か、可愛いだろう!!」
真っ赤になって叫ぶソリスの言葉に、マシロが恥ずかしそうにうつむく。

 

 

やっぱり全裸です。全裸大会です。(^^

ねくろま〈4。〉 (MF文庫J)      (ライトノベル)

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