著者:入間一間
イラスト:ブリキ
宇宙人が見守ると噂されるこの町で、俺の青春ポイント獲得ミッション(具体的には女子との甘酸っぱい高校ライフ大作戦)はスタートした。
「地球は狙われている」らしい。同居する布団ぐるぐる電波女・藤和エリオからの引用だ。俺の青春ポイントが低下する要因であり、本ミッションを阻害する根源でもある。
天然癒し系な爽やか健康娘・リュウシさんや、モデルさんもびっくりの長身(コスプレ)少女・前川さんとの青春ポイント急上昇的出会いを経たにもかかわらず、俺の隣にはなぜか布団でぐーるぐるな電波女がいるわけで……。
……俺の青春って、一体どーなんの?
青春ポイントの話をしよう。
青春ポイントの、1度の行動による最高獲得点数は5点満点。行動の一例を挙げてみるとだ。
まず1点の行動。これは休み時間に女子と他愛ない話をしたり、学校帰りに男友達と飯を食う、言ってみれば学生生活を真っ当していれば大抵、日常的に加算されるポイントと言える。
ただし青春ポイントは放っておくと日々滅退していくので、これだけではプラマイゼロになりかねない。その時その時は何だか楽しかったけど、卒業して振り返ったら特筆する思い出がなかったぜ、と後悔する可能性が高いので、現状維持に甘んじてはいけないのだ。
次に2点。これはさっきの通り、夜の公園で同年代の女子と会話するといったものが代表的か。1点行動に『夜の』とか『部活中に』といった、雰囲気と状況を加味することで加点されることが多い。1点が基本なら、2点は応用とも言える。こちらは毎日といかないが、目聡く生活していれば決して少ない機会ってこともないだろう。
続いての3点行動まで来ると、成功率にまで随分と不確定要素が混じってくる。バスケットのスリーポイントと考えてくれたらいい。ここ一番で決めるのは難しい、だけど決められればそれまでの流れさえ変えられる可能性も秘めている。果敢に挑戦したいところだ。
恋い焦がれる相手とデートするのは、十分に3点獲得の領域だ。ただ、ここで大事なのは、正式に恋人同士となった相手とデートしても、点数が加算されることはほぼないということである。あくまでも片思いか、恋人未満の相手という条件が制限されている。
ここら辺、線引きが曖昧で踏み違えやすい。努々注意されたし。
他に3点は複数人での行動、といった特別ケースも取り扱っている。勢いに任せてみんなで旅行へ行ったとか、部活の引退時に何かを行うとか。ただ、ここまで点数が高まるのは稀である。
4点行為は、機会が限定されている活動に与えられることが多い。文化祭が良い代表例だろうか。ただし漠然と参加するのではなく、目的意識と、それに加えて連れ添う相手次第で点数の減点を防ぐ必要はあるが。
一方、体育祭は余程周囲の志気が高まって、熱血風潮が成り立っていなければ点数を加算することさえ難しい。運動能力は個入差が大きい為、盛り上がりきれない入が大多数だからだ。
卒業式も、やり方次第では点数を引き出すイベントと言える。感傷的な気分に、恥ずかしさを上回って浸れる人は狙ってみるのも一興だと思う。
そして5点はある意味、自己基準に大きく左右される。個々の価値観によって、「これだ!」と一つ際立つ思い出があるのなら、それはその本人だけの5点満点となっていいのだ。
異性の為に恥も外聞もなく町を駆け回ったとか、甲子園で優勝してみたとか、トラウマと栄光の混じり合う境界線を踏み続けて疾走した人間だけが、最高点へ到達出来る。
1点を獲得出来ない生活の奴は、まずこの5点の片鱗さえ見つけられない。
思春期も資本社会の中でしか育まれない、ということだ。
要領と器量に恵まれた奴は、高校三年間で20点以上の貯金を稼ぐことさえ可能だ。その貯金はそこから目先の進路、大学進学や就職先では、大した価値を成さないだろう。
だけど死ぬ間際の満足感が、普通の人とは天と地の差を生む。
人生の『過程』はその『結末』の為にあるのだから、如何に高校生活が重要か分かるだろう
「はい、ここが真くんの第二の家よ」
料金を支払って俺の隣に並んだ女々さんが、にこやかに上方を上書きする。親戚の叔母ん家ではなく、マイホームとして扱えと言っているのだ(図々しい)。
しかし、俺の新しい生活の拠点は見上げても、色々特筆したいのに自然と書き出せる要素が少なかった。
ふっつーなのである。写真に撮ってご町内の至るところに張り出せば『まあ、素敵でクリアランスな豪邸』とか評価を受けずに『カルト?ねえカルト宗教?』と不気味がられる、中堅に纏まったお家なのだ。まあそれは表面上だけで、中は忍者屋敷みたいに回転扉とか実生活では迷惑極まりないだけのギミックに溢れてるのかも知れない。
「さ、入りましょ」「はい。……えっと、よろしくです」
家に入る前に、改めてご挨拶。息子の態度がアレだと両親の教育が疑われるからな。
「これはご丁寧に」先程、俺が発した文章内容をコピペしたみたいに、言い方だけ整えて女々さんが再利用してくる。
「こっちこそよろしく。ほんとごめんねよろしく」
早口で返事をされた。……ん?何だか謝罪みたいなのも混じっていたような……。
ああ、こんな立派なお屋敷でごめんってこと?ちょいと自信過剰だなあ、多分俺が。
俺の疑問解決など待たない女々さんが和風の戸を横に滑らせ、玄関に呑まれる。俺も続いた。
どんな生活の匂いがするかな、と鼻をひくつかせると……と、と、と。
「ただいまー」
女々さんが靴をするすると脱ぎ、軽やかに家へ上がる。……ちょっと待って。
スリツパ履く前に、
俺の名を呼ぶ前に、
爽やか笑顔の前に、
気にかけることが、あんたの足下にあるだろう。
足下に一直線に引かれていたはずのスタートラインが、ぐにゃりと歪んだ気がした。
「真くんも一回、言ってみて」
しかし俺の強い視線を受け流し、現金払いしたくなる笑い顔で歓迎の意を示す。
世界のピントが一気にぼやけだした。
「……え、ああ、はい」と返事すつつ、目線ば右下に釘付けですばい。
田舎に住んでたのに上手く田舎言葉が喋れず、角張った論りになる。それはどうでもいいけど、しかし……こう。玄関上がってすぐのカーペットの脇にいる、ある?のがさ、なんか。
……嫌な予感で、遠足前のようなワクワク感がもっさりし始めたのはここからだった。
写真で見ると異常に可愛い犬を直接見たら、『何だこのチンチクリンは、ノミが飛び立ちそうじゃないかキミィ』と抱き上げるのを拒否せざるを得なかったときの気分だ。
夢の新生活にどっさりと『現実』を運び込んできたもの。
俺がこれから嫌々学校へ行くときに見送り、遊び疲れた身体を引きずって帰ってくるときに出迎える愛しき我が家の玄関に、
なんかちくわみたいなのがいた。
地球上の何処にいても浮いてしまうファッションで着飾ったというか呑み込まれて。
寝転ぶことへの躊躇いを全てねじ伏せ、伸びきった足の裏。
思わず踏み潰すか蹴り飛ばしたくなる、衝動の中枢を刺激する丸まり具合。
「………………」
玄関の濁り硝子越しに降り注ぐ春の日差しが、粘る汗と軽い寒気を背中に生む。
青線が額に生える感覚が、肌の上を踊った。
俺の青春ポイント、マイナスに返り咲き。
みたいにちょっと壊れた話かな?とか思いながら読んだけど普通に青春男の話ですな。リュウシさんはフラグ立ったみたいだし藤和エリオや前川さんのフラグもたちかけっぽいしこやつはきっとリア充だろう。 2巻買ってきます
電波女と青春男 (ライトノベル)
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googleさんが居るこのページでは
貼れないストーリーをこっちでやってます。
18歳以上の方向け……。
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