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ラッキーメイド天くん (HJ文庫)
著者:わかつきひかる
イラスト:里海ひなこ

1億円でお金持ちに「買われて」しまった大黒天(あまね)。
でも彼を買ったのは小さいころ結婚の約束をした伊集院千早お嬢様だった!千早は天にメイドとして働くことを強要。
メイド服に身を包んだ天は清楚で愛らしい女の子に大変身!その日からメイドとして働く天だが、どうも彼の遺伝子が狙われてるらしく、あちこちから迫られ大ピンチ!


「疲れた?」
希実子が聞いた。
天は無言でうなずいた。
窓拭きは大変だった。窓拭き用のクリーナーでくるっと拭いたらハイ終わり、ではなく雑巾でいちいち拭いていかなくてはならなかった。
なにしろ凝ったつくりの洋館なので、斜めや円形に桟が入っていて、小さなガラス窓がたくさんはめこまれている。メイドさんが一枚一枚拭いていくしか方法がないのである。
疲れているのだろう。紅茶の甘さが舌に残り、なぜか苦く感じてしまう。
「あのう、天くん、紅茶、それぐらいにしておいた方がいいですよぉ」
「ダメよ。桜子さん、言わないで」
「でも、希実子先輩、やっぱりそういうの、良くないと思うんですぅ」
メイドさんたちが言い争いをはじめた。
思考力が落ちているのだろうか。ふたりが何を言っているのかわからない。
天は紅茶のカップを机に置き、クッキーに手を伸ばした。
―意外だな。桜子さんが希実子さんに反論するなんて……。なんか、桜子さんって、気が弱そうに見えるのに。
あくびが漏れた。
―眠いな……。
頭がズキズキして痛い。
今朝は二時間ほどしか眠っていない。眠くなって当然だ。
手からぽろっとクッキーが落ちた。
ほんの一瞬だが、船を漕いでいたらしかった。
「天くん。眠いなら、部屋で昼寝してきたらどうかな?碧さんはしばらく伝票整理だし、ディナーの用意までまだ少し時間があるわ」
「でも、千早ちゃ……お嬢様が帰ってきたら、忙しくなるんですよね?」
「大丈夫よ。忙しいのはお嬢様付きのメイドだけだから」
そういえば、碧も、おやつ休憩のあとは少し休んで良いと言っていた。
「そっか、だったら僕、寝てきます」
天はフラフラしながら立ちあがった。
飲んでいたカップを流し台に置き、洗って伏せるのもそこそこに、よろよろした足取りで休憩室を出る。
「効いてるわね」
「効いてますですぅ……」
休憩室を出る寸前、希実子がうれしそうに、桜子が不安そうに話していたような気がするが、急激にやってきた睡魔が思考力を奪う。
よほど意識しないと、波のように押し寄せてくる眠気に溺れてしまいそうだ。
天は、目をこすりながら廊下を歩いた。
「はー、やっとついた……」
部屋に戻った天は、ベッドにバタッと仰向けになった。

メイドさん用の狭苦しいベッドは、天の小柄な身体をやわらかく受け止めた。
廊下で行き倒れになるのではないかと思うほど、睡眠欲求は強烈だった。
どうにか部屋に戻ってこれて安堵する。
ベッドに仰向けになると、もう次の瞬間には、眠りの淵へと引きずりこまれた。
―なんかおかしい……。
確かに疲れているし、睡眠不足なのだが、この睡魔は強烈すぎる。
―効いてるわね。
希実子さんはそう言っていた。
紅茶はやけに甘く、そして苦かった。まるで薬みたいに。
紅茶を滝れてくれ、昼寝するように勧めてくれたのは希実子さんだった。
―さっきの紅茶、何か薬が入ってた?希実子さんが薬を盛った、とか?
―まさかね。
眠りに落ちる瞬間、そんなことを考えた。

天のメイド部屋のドアが静かに開いた。
希実子がそうっと忍びこんできて、入口でもたもたしている桜子を手招きする。
桜子がこわごわと天の部屋に入ってきた。
ふたりの先輩メイドは、ベッドの脇に立ち、髪飾りのカチューシャもメイド服のエプロンもそのままでぐっすり眠っている天を見下ろす。
「ふふ……よく寝てるわね」
ひそめた声で希実子が言った。
「天くん、ほんとにかわいいですう。まるで眠りの森のお姫様みたいですぅ」


「キスしたら起きるかしらね。まっ。キスするの、オ×ン×ンのほうだけど」
「希実子先輩、やっぱりそういうの、よくないと思うんですぅ」
桜子が遠慮がちに進言する。
「桜子さんは幸運が欲しくないの?」
「そりゃ、ほ、欲しいですけど……。天くんはお嬢様の飼い犬だって聞いてますし……」
「でも、お嬢様、天くんに出て行けって言ったし、碧さんが折檻するの、止めなかったわ。お嬢様は、天くんの飼い主の役割を放棄してらっしゃるの。だったら、私が押し倒してもいいはずよね」
「でもでもっ。それでもやっぱりダメですうーっ」
桜子は半泣きで希実子を止めているが、希実子は仰向けになって寝ている天のメイド服のスカートをめくりあげるのに一生懸命だ。
「幸運が欲しくないの?」
「ほ、欲しいですけど、その……セッxスは……」
「あら、私は、セック×するなんて言ってないわ。手○キするだけよ。他のことだとスゴイのに、なんで桜子さんは、そっち関係は大人しいのかしらね」
やがて天は、メイド服をきちんと着ていながら、スカートをめくりあげ、ボクサーブリーフを丸出しにしたはしたない格好にされてしまった。
ニーソックスに包まれたすらっと伸びた足は、細くて長いのだが、膝小僧のごつごつした感じと筋肉の浮いた太腿に、わずかながら少年らしさが残っている。
「うーん。男物のパンツかあ……。ちゃんとオ○ン×ンがあるわねぇ。そりゃそうか。天くん、男だもんね」
「ううっ、やっぱりだめですうっ!!」
「だったらいっそ天くんの指を切り落とす?肉片だと遺伝子がタップリ入っているでしょうし。それともザックリやって、血を絞る?」
「きゃあっ、そ、そんなこと、できないですう」
「騒がないでよっ。せっかく薬を盛ったのに、天くんが起きてしまうでしょ。オ○ン×ンを絞ってビューって出たとき、先端にカップを伏せる人が必要なんだから、手伝ってほしいのよ」
「紅茶に薬盛るの、やりすぎだと思いましたですぅ……」
桜子は、しぶしぶという感じでエプロンのポケットに手を入れた。そして、ヨーグルトの空きカップを取りだした。
フタをパカッと開き、ベッドサイドに置いて、情けなさそうな顔をする。
「そのう、せめて、コ×ドームを……」
「バカね。コン×ームって、殺×子剤が入っているじゃないの。精×が死んでしまったら、遺伝子が取れないわよ」
「こ、これしか、方法が、ないんですか?」
「これしかないのよ。×液は、ちゃんと桜子さんにもわけてあげるわ。さっ、やるわよっ」
「うえええーん。見たくないですうっ」
桜子が両手で顔を覆う。
希実子が腕まくりをして、指を鳴らした。そして、先輩メイドのほっそりした指が天のお腹に向かって伸び、ボクサーブリーフをズリさげた。ペニ×がぶるんと飛び出した。
「わーっ。顔に似合わず巨根だわあっ。この子、メイドワンピースの下に、こんなおっきいの、隠し持っていたのねえ」
希実子はきゃあきゃあと騒ぎながら、天のブツを指先でイジリ回す。
桜子は両手を覆った指の間から瞳をランランと光らせて、はしゃいだ声をあげた。
「きゃああ、すごいですうっ。はじめて見ましたあっ」
「これでまだ×起してないんだもん。勃xすると、すごく大きくなりそうだわ」
希実子が肉茎の根本に指を絡めた。
コケティッシュな笑みが浮かび、赤い三角の舌が出て唇を舐める。
希実子が戦闘モードに入ったまさにそのとき……。
「そこまでだ」
ドアがバアンと開き、碧が飛びこんできた。
碧はスカートをめくりあげると、


ラッキーメイド天くん (HJ文庫)です。
ライトノベルです。おとこの娘です。わかつきひかる先生です。
天くんの取り合いです。イヤ、遺伝子です。
遺伝子の取り合いはいつの間にかTOBとかになっていきます。
でもおとこの娘です。

ラッキーメイド天くん
ラッキーメイド天くん

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