著者:松 智洋
イラスト:ぺこ
二年生になった巧たち迷い猫同好会は、意外な展開に驚いていた。
部室に入りきらない程新入部員が集まったのだ。大喜びの千世だがその為に他の部活動に人が集まらず、部員を選抜することに。
結果、新入部員は二名に絞られてしまう。
しかもその二人、一癖も二癖もある迷い猫だったのだ。その間にも気持ちを確認してしまった文乃達は、微妙な距離に悩んでいた。希達の恋の行方は?
(公式ページの書き下ろしひとこま漫画より)
アニメ話で熱中して、つい手が止まっていた。
「本当ですね。早く仕上げましょうか、都築先輩」
「だな!」
俺と十和野は慌てて、背景セットの仕上げに入る。でもさっきからアニメ話で盛り上がってしまった勢いは、どうにも止まらない。
「そういえばさ、違うアニメの話だけど……」
今流行の学園闘争アニメについて話題にする。
ヒロインが可愛くて、同じ部活の子たちとわいわいきゃあきゃあしながらも、各部対抗頂上決戦をしている話なんだが、どうにも幼馴染みとくっつきそうで、最近は少しハラハラしてる展開なんだ。
「あれはできるなら、最終回までヒロインは幼馴染みとくっつかないでいてほしいよなあ」
そうは思うものの、なんか告白フラグが立ちまくってて、戦々恐々だ。
その思いを十和野と分かち合えれば、と思ったのだが。
「……待ってください、今なんて言いました?」
「え?」
十和野の声のトーンが、三つほど下がる。
「ヒロインと幼馴染みがくっつくわけ、ないじゃないですか」
十和野が剣呑な目で睨んでくる。
……ああ、これはよく見るもんだ。
『だって、モモたんはオレの嫁!』症候群。
うんうん、家康もよく言ってるよ。
「だよなあ、やっぱりヒロインは誰ともくっつくわけが……」
「彼がくっつくのは、敵の部の部長に決まってますっ!!!!」
はい?
「あの二人は敵同士でも、熱い想いを密かにはぐくんでいるんですっ!だから合宿の時に彼の出番が少なかったじゃないですかっ!何見てるんですかっ?あれは二人がこっそリデートをしてたんです、こんなの当たり前のことですよっ!」
……なんですと?
「えっと……あいつが合宿に来なかったのは、単に夏休みだから田舎に帰ってるって設定だよな?」
「表向きに決まってるじゃないですかっ!秘密の恋人ですよっ!おおっぴらにデートしてるって言えないから、言い訳にそんなことを言ってるんですっ!」
「い、いや、でもあの部長って彼女がいるはずだし……」
「そんなもの知りませんっっっ!!設定なんか脳内消去で終わりですっっっ!!」
俺の目の前で、ぜえはあと、肩で息をつくのは、だ、誰だ?
えっと、ちなみにここで一つ補足しておいてもいいかな?
ヒロインの幼馴染みっていうのは男だ。
んでもって敵の部の部長っていうのも……男。
でも十和野は二人ができてると思ってて?秘密の恋人……ってナンデスカ?
「えっと……」
「ああもうっ、先輩は何を見てるんですかっ!」
まだ十和野は興奮中。そうだ、たしかこういう子をなんとかって言うんだ。
俺たちが、アニメ好きじゃない奴らから、キモオタとか呼ばれるように。
ええっと。
ええっと……。
ああ、そうだ!
「腐女子だっ!」
思わず、十和野を見つめながら言ってしまう。その瞬間、ついさっきまで熱弁をふるっていた十和野が動きを止めた。
「あっ」
目を見開いて、自分の口を手で塞ぐ。
「わ、わたし、今のは……そのっ!」
真っ青になった顔で、俺を見つめながらも、その表情はどんどん悲愴なものになっていく。
「ち、違いますっ、今のは都築先輩の話に、あ、あ、合わせようとして……だからっ、わたしは、別に興味もなくてっ、なにもないっ、なんでもないんですっ!」
オタクだってばれたとき以上の、激しい反応に、俺も慌てる。
「ちょ、ちょっと待った。別に俺は十和野が腐女子でも気にしないからっ。そんなこと言ったら家康となんて付き合ってられないし、それに、えっと、梅ノ森!あいつもオタクだからさっ」
「……えっ、梅ノ森先輩も……?」
「男同士のカップルとかで、キャーキャ⊥言ってるところは見たことないけど、あいつもアニメとか漫画好きの立派なオタクだぞ」
「……っ」
十和野が一瞬安堵しかけた表情を、またこわばらせる。
「……それじゃあやっぱり、梅ノ森先輩はわたしと違うじゃないですかっ!そうやって安心させてわたしを騙す気なんでしょう」
「ちょ、ちょっと十和野。落ち着けって」
「今までわたしに妙に近寄ってきてたのも、本当はオタクだ腐女子だって笑うつもりだったんですねっ!」
怪我を負った猫が、必死になってその傷を庇うようだ、なんて思った。
「本……見てないって嘘でしょう?ホントはずっと気づいてて陰でバカにしてたんだ……」
「ええっ!?」
本って前に十和野が落とした本?
慌てて隠したのは、その種の本だったからなのか!?で、俺が一番拒絶されてたのも、その理由はもしかしてそれですか?
そう言われれば、商業誌にしては妙に薄くて、教科書みたいだった。あれ同人誌か!?
「~~~っ」
うっすらと目の端に涙を溜めて、十和野は俺を睨みつける。俺もなんて声をかけていいのかわからなくて、十和野を見つめてしまい、二人でなんだか身動きが取れなくなってしまう。
バカにしてないし笑ってないし騙してない。
そう言っても、多分過去にそうされて傷ついた十和野が、信じてくれるとは思えなくて……
――つんつん。
ちょうどその時、制服の裾が引っ張られた。
「……にゃあ、巧」
トンカチを両手に持った希だ。
「ど、どうしたんだ?」
「……わたしも大道具を手伝う、巧と」
「あ……」
「……巧とわたしと心の三人ですれば、大丈夫。ちゃんと作れる」
希が右手のトンカチを、十和野に渡すと、傍目には変化がわかりにくいだろうけど、希はその口の端を上げて、確かに十和野に微笑んだ。
「……なかよし」
「わ、わたしは……、わたしは……」
十和野の顔が、どんどん赤くなる。
「ゴメンな、十和野。俺が変なこと言って嫌な気にさせちゃったよな。よかったら機嫌を直して、俺たちと一緒に頑張って大道具を作ろう」
「……えっ?」
「俺も今年の正月に、家康たちが聖地巡礼で年越し参りしてきたって聞いたときは、うわーっ、て思ったのに、その後に録画してもらってたアニメの神回を見たら、来年は俺も一緒に聖地巡礼に行くぜー、とか言ってたもん。やっぱ興奮すると、アレだよな、止まらなくなるのが俺たちのサガだよ、サガ」
十和野の爆走はちょっと驚いたけど、家康に変換したらあんまり大差ないって思える。
「……都築先輩……」
「ほら、一緒に大道具頑張ろうな」
精一杯にこやかに、十和野にそう話しかけた。仲間だよって気持ちを込めて。
一瞬、十和野の目から険が消えた、と思った途端。
「おおっ、さすが我が親友!十和野までも手中におさめたかっ!?」
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選りすぐりのオタクな新入部員男女1名づつ追加です。
巧ハーレムに参加するのか?
しかし男子部員が不憫です。
男子部員と家康とのTrueRootとかも入れてあげて下さい。です。
それは、迷い猫同好会に新しく入った、十和野心の一言から始まった。
「あ、あたし、このお店でバイトしたいんですけど……」
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