狼と香辛料
著者:支倉凍砂
イラスト:文倉十
行商人ロレンスは、麦の束に埋もれ馬車の荷台で眠る少女を見つける。
少女は狼の耳と尻尾を有した美しい娘で、自らを豊作を司る神ホロと名乗った。
「わっちは神と呼ばれていたがよ。わっちゃあホロ以外の何者でもない」
老獪な話術を巧みに操るホロに翻弄されるロレンス。
しかし彼女が本当に豊穣の狼神なのか半信半疑ながらも、
ホロと共に旅をすることをロレンスは了承した。
そんな二人旅に思いがけない儲け話が舞い込んでくる。
近い将来、ある銀貨が値上がりするという噂。
疑いながらもロレンスはその儲け話に乗るのだが──。
とにかく走り続けたかった。
とても止まれる雰囲気ではなかった。
左腕が沼地に嵌っているかのように重く、また真っ赤に焼けた鉄の棒が刺さっているかのように熱かった。そのくせ左手の手首から先が冷たいのは血がどんどん流れ出ていっているからだろう。このぶんだともう長くは走れない。ロレンスも旅の途中で怪我をすることがしょっちゅうなのだ。ある程度自分の体の限界は解っていた。
それからどれだけ闇雲に走っていたのかわからない。だんだん怪しくなる意識の中、飛び交う怒号と足音の反響音が、夜の草原で大雨に降られたときのように頭の中を浸食していった。それすらが遠いものとなったのは、ホロのことを気遣う余裕どころか自分の体があとどのくらい前に進むかもわからなくなってからのことだった。
「ロレンス」
自分の名前を呼ぶ声がして、ついに死神がやってきたのかと思った。
「ロレンス。大丈夫かや?」そして、ハッと我に返った。
気がつけば自分の体が意志壁に寄りかかっていたことに気づいた。
「ああ、よかった。ぬし、何度呼んでもうごかんから」
「……く……う、大丈夫だ。ちょっと眠かっただけだ」
にやりと笑えたかどうかはわからなかったが、ホロは少し怒ったようにロレンスの胸を叩いてきた。
「しっかりしてくりゃれ。もうすこしなんじゃ」
「……。何がだ?」
「聞こえてなかったのかや?。光の匂いがする。地上に通じとる場所があると言ったじゃろ」
「あ、ああ」全く記憶になかったが、ロレンスはうなずくと壁から体を離し、ふらつきながら前に出ようとして気がついた。
いつの間にか左腕に包帯代わりの布が巻かれていた。
「……包帯、か?」
「服の袖を破っての。ぬし、それすら気がつかんかったのかや?」
「いや、気がついていた。大丈夫だ」
今度こそきちんと笑いながら言えたので、ホロはそれ以上何も言ってこなかったが、歩き出したら前に出たのはホロだった。
「もう少しじゃ。あの道を突き当たって、右に曲がれば……」
ホロがロレンスの手を引き、振り返りつつ言った言葉が途中で切れた理由はロレンスにもよくわかった。後ろから足音が聞こえてきたからだ。
「早く、早く」
ホロがほとんどかすれた小さな声で急かし、ロレンスは最後の力を振り絞って足を前に出す。
足音はロレンスに近づきつつあったがまだかなり距離がある感じだ。このまま地上に出てしまえば、ロレンスは大けがを負っているのだ。町の人間に助けを求められなくもない。
そうすればメディオ商会の連中も表立って騒ぎを起こしたくないはずだから、その間にミローネ商会に連絡をつけ、改めてホロだけを逃がせばいい。今はとにかくミローネ商会の物と連絡を取り、仕切り直すことが重要だ。ロレンスはそんなことを思いなが石のように重い体を引きずって前に進み、やがてホロの言葉どおりに光が目に入ってきた。
光は突き当たりの右から左に向かって差し込んでいるようだ。後ろの足音も近くなってきている。しかしこのままいけばなんとかなりそうだった。
ホロが急かすように力強くロレンスの右腕を引っ張り、ロレンスも出来る限りそれに答える。
そして、ついに突き当たりを右に曲がる。道の最奥に、明白な光があった。
「地上に通じとる。もう少しじゃ」ホロの言葉にも活力が戻り、ロレンスは元気づけられるように前に進んでいく。
狩りは獲物側が僅差で勝った。
ロレンスは少なくともそう確信した。ホロが、泣きそうな声をあげるまでは。
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