半分の月がのぼる空 -looking up at the half‐moon-
著:橋本紡
イラスト:山本ケイジ
いきなり入院した。僕にとってはちょっと早い冬休みみたいなもんだ。
病院には同い年の里香って子がいた。彼女はわがままだった。
まるで王女さまのようだった。でも、そんな里香のわがままは必然だったんだ…。
里香は時々、黙り込む。砲台山をじっと見つめていたりする。僕がそばにいても完全無視だ。
いつの日か、僕の手は彼女に届くんだろうか?
彼女を望む場所につれていってあげられるんだろうか――?
「覚悟、出来たわ」
「え?」
「死ぬ覚悟よ」
やっぱり素直な感じで笑いながら。
「これで満足して死ねるわ」
その瞬間、闇の中に落ち込んでいく自分を感じた。何もかも間違っていたのだと、ようやく僕は気づいた。屋上に立っていた里香の姿が頭に浮かぶ。
「もう一度、あそこに行ってみたいな」里香はあのとき、そういった。「そうしたら、あたしも覚悟が出来るのかな」
覚悟という言葉の意味を、僕は深く考えていなかった。
曖昧に受け止め、その響きに宿っている、どこか肯定的で前向きな部分しか見ていなかった。
たぶん危険な手術に挑む覚悟なのだろう、と。生きることを求めるための覚悟なのだろう、と。
けど、違ったんだ。里香は死ぬ覚悟を固めるために、ここに来たんだ。
生きることを諦めるための覚悟だったんだ。
微笑む里香を見つめながら、僕は立ちつくしていた。なにか言おうと思ったが、僕の中には言葉は一つもなかった。こんなに頑張って、司に迷惑をかけ、亜希子さんを振り切って、僕は里香に死ぬ覚悟をさせてしまったんだ……。
半分の月が輝いていた。
シリウスが輝いていた。
「パパもこんな気持ちだったのかな?パパもここで―」
言葉が切れた。里香の瞳から何かがこぼれ落ちる。それは月の光をそのうちに宿し、キラキラと光りながら、里香の柔らかい頬の上を滑り落ちていった。光の滴はいくつもいくつも、あふれ出てきた。里香の口から嗚咽が漏れる。里香の涙にはきっといろんな意味があるんだろう。
父親の死、ここに一緒に来た昔、自分の心臓のこと、手術のこと―。
里香は今、そのすべてを抱えきれなくなっているのかもしれなかった。
僕は里香の頭に手を置いた。言葉は出てこなかった。さらさらした髪を撫でる。
何度も。何度も。
里香がその身体を寄せてきた。もう、何も考えなかった、身体が自然に動いていた。僕は里香の身体を抱きしめた。腕の中にすっぽりと収まった里香は思っていたよりもずっと小さかった。
その小ささが、やけに切なかった。
病弱の里香に萌える作品です
六年前ですね、初版。
アニメ版をリアルタイムで見たかったなぁと。
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googleさんが居るこのページでは
貼れないストーリーをこっちでやってます。
18歳以上の方向け……。
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