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縛られることに慣れ、いつの間にか浸かってた「ぬるい幸せ」になんか手を振ろう
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れでぃ×ばと!〈2〉
著者:上月司 
イラスト:むにゅう

 安全ピンの三縦ピアスに無骨な傷跡、そして茶髪。どこからどう見ても単なる「やんき一」な高校生・日野秋晴(でも実はビビリ)が、外見とは似ても似つかぬメルヘンな夢をかき抱き、執事を育てる白麗陵学院従育科の門を叩いてはや一週間。もちろん平穏無事に執事修行、とはいかないもので……!?
白麗陵に盗撮犯侵入!?の第四話、
見た目小学生のちっちゃい先輩再登場の第五話、
秋晴の寡黙で無愛想なルームメイト・大地薫が胸に秘めるヒミツをだだ漏らしにする番外編の三本立てでお送りしますっ。

Butler.jpg


「……このままだと、出られない……」
今、見事に何も身に着けていない。
シャワーを浴びるのだから当然だけど、裸を見られれば聞違いなく、女だとバレてしまう。
どちらかというと純粋に裸を見られる恥ずかしさの方が強くあるけど、重要性は前者が上だ。
男子として通っていたのに女だと露見したら、退学になるかもしれない。
それは絶対に避けたい。ああでも、裸……生まれたままの姿を見られるなんて、そんな…
どうせ見られるなら四季鏡くらい立派に育った体ならまだ良かったのに。
同い年の同じ日本人とは思えないはち切れんばかりに育った胸や意外に細いウエスト、そんなに太いわけでもないのにむちっとした太腿に日野の視線が釘付けになっているのは知っている。
やっぱりあいつも男だから、好みはああいう女らしい体型なんだろうな……って、何でこんなにあいつのとばかり気にしているんだ。
これじゃあまるで日野のことを好いて――まさかそんな、あり得ない、いや別に悪い男じゃないしどちらかといえば気のいい奴だけどそんなことは関係なくて、ただ今はそんな色事に割くような余裕はないというか――待てよ、それだと余裕さえあれば考慮するみたいな受け取り方も出来て……
まとまらない思考に、薫はダンッと拳で壁を打ちつけた。
「くっ……何もかも、日野が悪い……!」
勝手過ぎる責任転嫁だとは思いつつも、そう言わずにはいられない、女心は複雑なのだ。
……けど、嘆いていても始まらない。対策を練って、どうにかしないと。
薫はコックを捻って湯の温度を下げて、ついでに頭も冷やす、
結局は、裸を見られたらアウト――ということだ。なら逆説的に考えれば、そこをどうにかすればいい。
「……ドアを開けて、日野が振り返る前に気絶させる……これだ!」
更衣室とシャワー室を繋ぐドアから、普段日野が使うロッカーまでは五メートル弱の距離がある。
この租度なら一足跳びでゼロに出来るし、浅く開いたドアから石鹸を投げて気絶させる、という手もある。
怖いのは、失敗の可能性だ。
後ろを向いている時でないと決行は難しくて、おまけに日野はケンカ慣れしているからか面倒事に巻き込まれやすい経験からか、ここぞという時に勘が鋭い。
最速の一撃をかわされるとまでは思わないけど、当たり所をずらされる可能性は十分にある。
けど、他の方法を考えつかないのも事実だ。こうして迷っている間にも、いつ状況が悪化するとも分からない。
―やるしかない。
覚悟を決めた薫はシャワーを止めて、深呼吸。神頼みはあまり好きじゃないので、ご先祖様に成功を祈願する。不出来な子孫にどうかご加護を、と祈りを―
「なあ、大地」
「―っ!!」
祈り終えた、その直後。
日野の呼ぶ声と共に、ドアが開く音が聞こえてきた。少し遅れて、ピチャリという水気を孕んだ足音。
これはつまりどういうことか、薫には容易に想像が出来た。咄嗟に身を隠そうとするが、体を洗うのに使ったスポンジ以外何もない。
バクバクと未だかつて無い程に高鳴る心臓を抑えるように手を当てながら、薫は入り口側に背を向ける形で硬直した。祈りを捧げた直後にこれか。くそう、ご先祖様め。
涅槃で会ったら覚えていろよ、と泣きたい気分で恨みながら、薫は水滴を落とすシャワーノズルを睨みつけるようにして口を開く。
「な、何だ.用があるなら手短に、無いなら早く出て行け」
「ああ、お前がタオル持って入らなかったみたいだからな。渡そうと思ってよ」
至って普段通りの口調の日野に、薫は少なからずホッとした。
良かった、バレてはいないみたいだ。日野は単純というか感情が表に出やすい奴だから、そうと悟っていたら声に出るはずだ。それがないなら、大丈夫ということだろう。
……というか、よく考えてみたら仕切り板があるんだ。目隠しも兼ねているから、向こうからは顔とか足は見えても、胴体は見えないはずだ。裸というだけで普段から晒している部分でも見られると恥ずかしいが、見られたくない部分を見られるよりはよっぽどマシだ。
少し、落ち着いた..そして冷静になってみれば、シャワーを止めているのに後ろ向きのままというのはかなり不自然だと気付く。
「……わざわざ済まない。感謝する」
なので薫は、礼の言葉と共に振り返り―

仕切り板の上に腕を乗せてこちらを見ている日野秋晴と、目が合った。
 


薫のようなボーイッシュやみみなのようなロリもいいけどセルニアがいいね、セルニア。
金髪碧眼ドリルには勝てないよな

れでぃ×ばと!〈2〉 (電撃文庫)            (ライトノベル)

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