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CARNIVAL  (カーニバル)
著者:瀬戸口廉也
イラスト:川原誠

「世界は残酷で恐ろしいものかもしれないけれど、とても美しい。思えば、そんなこと、僕らは最初から知っていたはずなんだ」
殺人の容疑をかけられ護送中のパトカーから逃亡したマナブ。そんな彼と一緒に失踪する道を選んだリサ。あれから、七年―。
二人は行方不明となりその安否も確認できないまま、七年の月日が流れた。
ある日、リサの弟・洋一に一本の電話がかかってくる。姉・リサからの思いがけない電話だった。
彼女たちの消息を追い、七年前の事件について調べ始める洋一。
浮浪少女・サオリとともに、事件の真相に迫っていくが…。
リサ、マナブの行方は?事件に翻弄されたイズミ、エイミたちのその後は?洋一が新たに見つけた希望の光とは…。

 


九条洋一
温厚で篤実な人柄の青年。七年前に突如居なくなった姉の消息を追い、その時に起こった事件について調べ始める。特殊な性癖を持ち、それをコンプレックスとしている。

サオリ
自分の身を売り、その援助金で浮浪生活をしている少女。貧困、複雑な家庭環境に生まれながら、明るく元気に生きている。特別天然な性格で一般的な常識を少し欠いているが、その容姿は端麗。

木村学
七年前の事件を引き起こした犯人として、殺人・強姦・傷害の容疑がかけられている。当時は、典型的ないじめられっこで、空想癖があり、理沙以外の人間には心を閉ざしていた。現在は、理沙と共に逃亡中。

九条理沙
洋一の姉。七年前、幼馴染みの学と一緒に突如姿を消す。当時は社交的で責任感が強く、成績優秀な学園のヒロインだった。父親に小さい頃から虐待を受けており、学に依存されることに幸福を見いだしていた。

度会泉
理沙の親友。理沙を尊敬し、彼女にずっと劣等感を抱き続けていた。七年前の事件では、警察に通報しなかったことが取り沙汰された。その後、事件に関与していないことが証明され、不起訴となった。今は大学を卒業し、新聞社に勤めている。

志村詠美
学達の先輩。七年前、後輩の学達を高圧的な態度で虐めていた。そんな彼に、祭りの夜強姦されてしまった。

志村麻里
詠美の妹。洋一とは同い年。七年前の当時は、町をふらふらしている好奇心の強い少女だった。現在、ビジュアル系のインディーズバンドを結成し、活動している。


「学」彼は僕の本当の名前を呼ぶ。それは彼がつけてくれた名前だ。
「あなたは何年も僕や母さんに対して後ろめたく思ってくれていたんでしょう。少なくとも、僕に対してはそれだけで十分ですよ。逃げてから、いろいろお世話になったけれど、これ以上迷惑をかけちゃいけないと思うんです」
「私を許してくれるのか?」
すがるような目つきで僕を見つめている。僕はその弱々しい態度が見ていられない。
「別に。ただ、罪悪感で自分自身を苦しめちゃう人とか、そう言うモノが少しでも世の中にあるのが、嫌になっただけですよ」
「しかし」
「いいですか、死んだ人間は永遠に許してくれない。でも、生きている人間同士なら、許し合うことが出来るんだ。それはすばらしいことだと思いませんか」
父さんは黙り込んでしまった。多分、僕はいま正しいことを言ったはずだ。
少なくとも、正しいことのつもりで言った。
これでもまだ間違いならば、もう誰に何を差し出せばいいのか解らない。
窓から見える空に、燕が舞っている。部屋が沈黙で満ちる。僕の心はシンと冷え切っていた。
そういえば、忌まわしい僕の歪んだ思念の皮膜を剥ぎ取った、ありのままの世界は、こんなに静かで美しいモノだったのか。溜息が、胸の中にあった何か堅くて苦しいものを一瞬で砕いてしまった。
いや、本来そういうものだとは想像していた。生きていることが素晴らしい、そう言って涙を流す人の顔に嘘の匂いは感じない。ただ、それは僕よりももっと立派で賢くて善良な選ばれた人間だけが味わうことを許された特権で、僕みたいなどうしようもない人間には縁がないものだと思っていた。僕には何一つ純粋で美しい感情はなくて、何を見ても心は泥のように無反応で、ずっと鬱屈した暗くて醜いモノだけを心の中に育てて生きてゆくモノだと思っていた。
なんだか、涙がボロボロとこぼれてきた。
「生まれてきて本当によかった」
今なら自然に言えるかもしれないと思って、試しにそう言ってみた。
言葉だけ浮いてしまうんじゃないかと心配していたけれど、驚いたことに、つられて父さんも泣き出してしまった。僕は、どうやらそれらしく言えたらしい。
それとも、お互いにギリギリまで弱ってるだけか。

僕と世界の間に、再びあの気色の悪い膜が姿を現してくる。
僕の感覚をノイズが汚し、たった一瞬だけ開いてくれた世界は、再び閉じ始めてしまう。
今まであった全てを肯定してくれるようなこの不思議な感触を、僕はもうすぐ忘れてしまうだろう。光が完全に消え去ってしまう前に、少しでも理紗のために残しておきたいな、と思った。
僕は父さんを置いてすぐに病室に戻り、ノートとペンを取り出した。思いつくまま、乱暴な文字で文章を書き綴る。意識が曖昧になってしまって、あまり長い文章を書くことが出来ない。理紗はここから、何か読み取ってくれるだろうか。僕の言いたいことを分かってくれるだろうか。
書き終わると、ベッドに仰向けに横になった。旨く書けたかどうか分からないけれど、これが今の僕に書ける精一杯だ。
風景が真っ赤で、マグマのように、というよりかは誰かの内臓の中にいるかのように、どろどろと溶け落ちてしまう。身体に力が入らない。こりゃ、今まででいちばん最悪の状態だな。もうほとんど僕は残ってないのだ。
僕の大部分は向こう側についてしまった。協力して対抗することはおろか、自分の明確な意志も解らない。さっきの瞬間が、僕の最後のすべてっだたのだろう。誰の物ともつかない声が頭の中で渦巻き、なんだか解らない極彩色のヘドロが視界に充満している。それらの全てはただ僕を否定するだけで、何も生み出してはくれない。

「生きろ」

声は延々と繰り返し、大合唱をしている。
声に言われたおかげで僕は、自分が何をしようとしているのか、気がついた。
そうだ、声はいつでも僕のやりたいこと、正しいと思っていることの逆を言っていたじゃないか。
僕は立ち上がって病室を出ようとして、一度戻り、さっきのメモ帳の最後に追伸を付け加えた。

不思議に、何の後悔もない、充実した気分だった。 


ゲームのエンディングから7年後のお話です。
しかしこの本売ってねぇ!!
かなり探したけど売ってない……
売ってないと欲しくなるんだよなぁ
あ、でもゲームは見つけた
アマゾンで検索したら中古がとんでもない値段で出てた
amazon
新品は、もっととんでもない値段だったよ……
で、頑張って探したね、ダウンロード版だけどさ

CARNIVAL(S.M.L)
CARNIVAL(S.M.L)

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