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縛られることに慣れ、いつの間にか浸かってた「ぬるい幸せ」になんか手を振ろう
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たま◇なま ~生きている、理由~
著者:冬樹 忍
イラスト:魚

部活動の合宿で南の島に行くことになった透や由宇たち。
何故かそこに透に憧れまくっちゃってる愛華がついてきた。透を拘束して使役している悪の宇宙人、由宇を倒すべく同行してきたのだ。そんな中、謎の怪物が現れ、一行に襲いかかる!今回も災難だらけの透は、無事に合宿を終えることが出来るのか!?
そして野郎共の女風呂覗き作戦の行方は!?


「常識がないんですか、あなたは!」
「お前、……いちいち怒鳴るな。私に向かって」
「そうよ愛華ちゃんっ。相手は子供なのにっ。ほら、まだこんなに小さいのにっ」
「…………小さいのか、私は」
小さいって……何が。
いや。
透は、想像を止めた。
「以前、私は灯璃にこの問題を解決するべく、質問をしたのだが」
「なっ…………」
七尾が、怯んだ声を出した。
「やはり、こういう質問は、出来るだけ実績を上げた者にするのが望ましいと思う」
ざばっ、と、湯船をかき分ける音。
「お……おい、」
「ちょっと現物を見せろ。七尾。実際に」
「わー 何すんのっ。この子なにすんの。ぎゃー!」
「おお。なんだこれは。ヒトのこの部位は、こんなに」
「ちょ、ちょっと……」
「……」
七尾兄は、爽やかに親指を立てた。
「な?」
「なんて兄貴だ」
「おい透っ。年長者に向けて、なんて口を」
小さな四角い窓からどんどん吐き出される白い湯気が、中からの光に、照らされている。
「お、これはなかなか……私の手には、余る」
「おいっ止めろよなにやってんだこの子はっ」
「柔らかような堅いような、これはなかなか微妙な」
「何言ってんのっ止めろっやめろおい、やめろっ」
「じっとしていろ。私はちょっと将来におけるモデルケースを」
「おいっ止めろっちょっと止めろよっ……や、止めて……っちょっと……っ」
「ん?どうした七尾。体調でも悪く」
「何やってるんですかっあなたは!いい加減に」
「お前では参考にならん」
愛華の高い声を、由宇は低く切り捨てた。
「…………なっ」
「お前は、灯璃よりも更に、実績が低い」
「……何をっ言ってるんですか!」
カラカラカラ……
頭上で、また、サッシが開く音。
今度は、さっきのより、大きい。なんだか、凄く直接的というか、すぐ近くで鳴ったというか、そんな感じ。
「あ、灯璃さん、窓を開けるんですか?」
窓。
「大丈夫でしょ。外は海だし。まさか、誰かが下からよじ登ってくるわけでもなし」
…………。
「行くか」
「ああ」
二人の男は、頷き合った。そう、確か、玄関には、脚立が置いてあった。
何で、そんなことを思い出してんだよ。今、この場で。



たま◇なま 生きている、理由(わけ) (HJ文庫 ふ 3-1-3) (HJ文庫)

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