れでぃ×ばと!〈3〉 (電撃文庫)
著者:上月司
イラスト:むにゅう
夏―それは開放的な季節
夏―それはいたずらな季節
まさにその、夏。事件は起こるのでございます……。
と、いうわけでなんと秋晴がセルニアの自宅へ二泊三日のお泊まリ旅行に行くことに!?
お泊まりとなればそりゃもうドキドキワクワクなイベントがてんこ盛りに待ちかまえているわけでして……?
そのほか、四季鏡の意外な「オトナの事情」が発覚したり、突然秋晴の婚約が大発表されたり、今回も一冊まるっとどこ見ても波瀾万丈!
セルニア=伊織=フレイムハートは、かつて無い程の後悔に襲われていた。
―そう、初めはちょっとした仕返しのつもりだった。
普段から日野秋晴の態度は目に余るものがあったし、人の髪型を言うに事欠いて掘削機扱いをするという暴挙を繰り返すし、一度とっちめてやろうと思っていたのだ。
そして……従育科試験の案内が来た。
これだ、と思った。二泊三日で自宅に招かなければならないのは甚だ不本意ではあるけれど、拘束している間はいくらでも言うことが聞かせられるに違いない。普段は生意気な日野秋晴は、一方で妙に義理堅いところがある。試験という形であれど主従関係を結ぶことになれば、その間はちゃんと従者らしい態度を取るはずだ。嫌々だろうがやるはずだ。
まさか、今回の試験内容がただの見学だなんて。
当日になっても気付かず、知った時のショックときたら、ピサの斜塔の屋上にいたら建物が急速回転し始めて遠心力で吹っ飛ばされたような気分だった。
おまけに前回の敗戦から学んで勉強し直したチェスでも勝てず、あろう事かお父様まで参戦したのに返り討ちに遭わされてしまいー
だから日野秋晴がワインに過剰反応をしているのを見て、むらむらとセルニアの胸の内に火が点いたのだ。
一発で気が付いた。この男はアルコールに弱いか、飲んだことが無いかのどちらかだと。
なら、きっと飲ませれば面白いことになるに違いない。いつも生意気なこの庶民があられもない醜態を晒すところを見ることが出来るかもしれないし、どうしても飲めないという情けない懇願を聞くことが出来るかもしれない……!
もうそう考えただけでウキウキして、セルニアは確信を持って秋晴を挑発したのだ。
見事それに応じた秋晴はグラスを僅かに傾けて、少しだけワインを口にした。高級なビンテージワインである九十年物のシャトーニフトゥールは豊潤な味わいとまろやかでほんのりとした甘さがあって、それを愉しむというのならその飲み方で間違いはない。
ただ、勢いをつけるような発言をした割に意気地のない飲み方で、しかもすぐに顔が赤くなった。やっぱリアルコールに弱いんだと、それを知っただけで一つ弱味を握ることが出来たような気になって、セルニアは上機嫌でワインを飲んで……
―そして現在、極度の緊張状態の中、秋晴の横で身を固くしてソファに座っていた。
そりゃあもう驚きだった。ちびちびとワインを飲んでいた秋晴が、不意にぐっと岬ってグラスの中身を空にしたかと思ったら、大きな声で笑い始めた。それだけでも目を丸くするには十分なのに、据わった目をしながらブツブツと何やら眩きだしたとなればもうアウトだ。どこをどう見てもアウトだ。
まずいですわ、今の日野秋晴に関わってはいけませんわね――と即座に判断したセルニアはそっと持っていたワイングラスをテーブルに置いて、そろりそうりと秋晴の側から離れ……
「―おい、セルニア」
今まで聞いたことの無い低く抑えられた声に、思わずセルニアの足が止まった。
強烈な磁力に引かれるように振り返ると、ソファにどっかりと腰掛けて足を組んだ日野秋晴が、いつもの数倍凶悪な目つきでこっちを見据えていた。
着ているのが従育科制服だからか、とんでもなく悪っぼくて怠惰な雰囲気が漂っているのに、やたらと鋭い棘のような眼光を放っていて……どう考えても真っ当に相手をしてはいけない。
あんなヤクザな目をする男からは一刻も早く離れなければ。
そう、ここは脱兎の如く、一瞬の躊躇も見せずに―
「ちょっとこっち来いよ、おい」
「嫌ですわよっ」
「―あぁ?」
ぎらりと鈍く光る細められた双眸に、一気に増す不機嫌オーラ。
それに呑まれてはいけないと、セルニアはキュッと胸元で右手を握り締め、
「わ、私はっ……」
「いいから来いってんだよ。仲良くお喋りするだけ、だろ?」
「………………」
有無を言わさないとはこのことか。
どれだけ反論しようと拒否の意思を伝えようと、聞く耳を持たずざっくり切り捨てられる。
……というより、酔っていて何が何だか分かってない?
ともあれ、酔っ払い独特の威圧感にセルニアは押されてしまっていた。
助けを求めようと、ちらりと横目で敬愛している父親と年の近い使用人を見てみれば、
「おおっ、そういえば明日は朝一で大事な商談があったんだよそうだ忘れていたハハハもうそろそろ眠るとしようかな!」
「まあ旦那様それは大変でございますね一秒も無駄にすることは出来ませんお休み下さいませ今すぐ床の用意を致しますので!」
早口でそんなことを言い合いながら、そそくさと応接室から出て行った。
………………これは、つまり…………見捨てられた…………?
信頼していた二人に大人の処世術と言うべき身代わりの早さで逃げられて、愕然としていたセルニアに再度かけられた秋晴の声に抗うだけの気力はなく、言われるがままにソファの隣に座る羽目になった。
ということで、大ピンチ。
酔った日野秋晴は大胆にこちらの肩に腕を回してきて、腹立たしいことこの上ない……けど、ここは我慢するしかない。最早助けは無く、自力でここから脱するには腕力面で心細い。
不幸中の幸いといえるのは、既にワインは空っぽということ。自分と父で殆ど飲んだ結果、これ以上秋晴がアルコールパワーを帯びるということはなくなった。なら後は酔ったまま眠るか酔いが醒めるのを待つだけだ。
今は屈辱に耐える時ですわ―そう自分に言い聞かせ、とんでもなく居心地が悪いのを我慢して、セルニアはじっと秋晴の横に座っていた。
とはいえ……じろじろと遠慮無く舐めるような視線にすぐに限界が訪れてしまって、耐えきれずに口を開いてしまう。
「な、なんですのよ……?」
「別に何でもないけどよー……いやある、あるか。お前といい四季鏡といい、何食えばそんなに胸がでかくなるんだよ。それは高校生の持ち物じゃねーだろ」
「ぅなっ―!?」
直球な言葉に、瞬時に顔が真っ赤に染まる。セルニアはそれを自覚して、恥ずかしさを振り払うように、
「なっ、な、なにを言いますのよこの男はっ!?せ、セクハラですわ!無礼にも程がありましてよ!?」
「あー~何がセクハラだ自信過剰のエロ乳女。いつもいつも見せびらかすような薄着でいるヤツが生娘みたいなこと言ってんじゃねーよ」
「え、えろちち……この私が、えろ……」
「んだよ、褒めてんだから喜べっつーの。お前ならそこいらのグラビアアイドルにも負けないくらいの人気者になれるぜ。試しに駅前で軽く全裸になって来いよ」
「…………」
次々と投げつけられる恥辱の言葉に、セルニアは肩を震わせて頬をひくつかせた。
金髪碧眼ツインテドリルで……巨乳!
豆乳に見えたのは秘密な!!1
れでぃ×ばとアニメ化しないかなぁ。 「れでぃ×ばと! 」ドラマCD なら出てるけど動いてないとね……
セルニア役は戸野綱麻世さんで怪盗ロール風でおながいします。広森なずなさんで環 零那風でもいいです。でもはわわはかんべんな!
(ライトノベル)
著者:有沢まみず
イラスト:QP:flapper
大好きな雅人と同じクラスに転入することになった、福の神のキチ。これで日本一不運な雅人にちょっとは幸福が訪れると思いきや、そんなことはまったくなく……。突然、校長室を訪れた恋の伝道師の占いに、キチも雅人も二之宮さんも巻き込まれ、学校は大混乱に!
いったい雅人の運命の人って誰なの!?
その他、片想いの二之宮さんと、キチ、トト、夏美と一緒にプールに行く話や、天草沙代とめちゃくちゃ怪しげな屋敷で特殊な趣味の悪霊たちを退治する話など、お色気いっぱい夢いっぱい!
「……小説家と教授がやられたぞ?」
ひそひそ。
「ああ、どうも罠のようだ。凄腕の霊能者たちのようだ」
そう囁き合う。
「来ているのはどうやら可愛い女の子たちばかりみたいだな……」
「バカ!そこが奴らの汚いところなのだ!純粋な我らのどうしようもない弱点につけ込んで! く! 可哀相に小説家と教授。もっとセーラー服と水着を愛でたかったろうに!」
「だが、死者を悼んでばかりいてもしょうがないぞ?我らも用心せねば」
「そうだな。いいか?出てはならんぞ?たとえどれだけ可愛い女の子が理想の服を着ていたとしても」
「うむ、仕方ない。ここは我慢しよう」
そして五体の霊は「がまんがまん」と眩きながらうずくまるようにその場に気配を落とし込んだ……。
同時刻、雅人たちはプールの奥に発見した急勾配の階段を登っている。先頭は相変わらずキチとトトだ。彼女らは今度は張り合うようにして互いに先頭に立とうとしていた。
原因はキチとトトの心情にある。
キチは結果的に雅入を氷づけにしてしまったが、それでも霊体を一体倒して雅人に貢献したトトに対して焦りを感じている。
特にキチには直接的な攻撃力はほとんどないので尚更だ。
「ま、全くお前は!いつもいつもマサトにいらないことばかりして!」
と、言葉では言っているが、自分も早く雅人の役に立とうと気がせいていた。一方、トトはトトで霊体を一体倒したとはいえ、結果的に雅人を氷づけにしてしまったことにちょっとしゅんとしている。雅人は「大丈夫大丈夫」と笑って許してくれたが、早くその失点を回復したい気持ちで一杯だった。
トトは割と本気で雅人のことが好きだった。
そのため二人は、
「く?この?」
「~~~~!」
押し合いへし合いしながら新たな敵のいる三階を目指しているのである。そしてそれを少し後ろから天草沙代が、
「全く」
と、溜息をつきながら足を進めていた。
「お子様たちは元気ね~」
少し上から目線でモノを言って鼻を鳴らす。彼女は上を見上げ、なんとはなしに、キチとトトの真っ白と真っ黒というそれぞれ対称的なスカートの中身を比較する。
"あの子たち、下着の色まで正反対なのね……"
と、苦笑しかけ。
そこで。
凍りつく。
ばっと思わず自分の短いスカートの裾を手で押さえた。強ばった顔でぎぎっと後ろから登ってくる雅人を振り返る。
すると。
「?」
雅人はばつが悪そうにそそくさと目線を逸らした。この急勾配の階段。自分からキチとトトのスカートの中身が見えたと言うことは……。
「ぐ、く!」
すぐに天草沙代は拳を握り固めている。雅人は慌てたように手を振って、
「や!ち、ちが!見えてないよ!ずっと下を向いて歩いていたよ!」
「ぐ、こ、この!」
「だ、だってだって?天草さん、毎度毎度さっさと僕の前に登っていっちゃうんだもん!」
「く」
天草沙代がなんとか怒りを堪えようとしたその時。
「だから、最初の一回だけ」
と、雅人がいらんことを言ってしまう。
「それしか見てないよー!ほんとにそれだけ!」
ぷつんと天草沙代が切れた。彼女はすうっと形の良い足を振り上げ、
「あ、あんたは」
そのまま下の位置にいる雅人に向かって。
「あ、あんたは!」
流星のような蹴りを放つ。
「毎度毎度、一度はわたしのパンツ見ないと気が済まないのか!」
そのままゲシゲシゲシ。
雅人の悲鳴。
「わ、わー?天草さん?ぶば!ぐ!は!また見えるって!見えちゃうって!」
さらに激しくなる蹴り。
真っ赤な顔の天草沙代。仰け反ってなんとか階段から転げ落ちまいとしている雅人。二人の
攻防はしばらく続くのであった……。
ラッキーチャンス! 4巻です
階段パンツは避けられません。これぞラッキーチャンス!です。
それなんてエロゲ?的展開です。
でもエロは無いですよ、ライトノベルですから(^^
あ、階段であまり上向いて歩いていると周りの人にバレバレですよ(@@
著者:入間一間
イラスト:ブリキ
宇宙人が見守ると噂されるこの町で、俺の青春ポイント獲得ミッション(具体的には女子との甘酸っぱい高校ライフ大作戦)はスタートした。
「地球は狙われている」らしい。同居する布団ぐるぐる電波女・藤和エリオからの引用だ。俺の青春ポイントが低下する要因であり、本ミッションを阻害する根源でもある。
天然癒し系な爽やか健康娘・リュウシさんや、モデルさんもびっくりの長身(コスプレ)少女・前川さんとの青春ポイント急上昇的出会いを経たにもかかわらず、俺の隣にはなぜか布団でぐーるぐるな電波女がいるわけで……。
……俺の青春って、一体どーなんの?
青春ポイントの話をしよう。
青春ポイントの、1度の行動による最高獲得点数は5点満点。行動の一例を挙げてみるとだ。
まず1点の行動。これは休み時間に女子と他愛ない話をしたり、学校帰りに男友達と飯を食う、言ってみれば学生生活を真っ当していれば大抵、日常的に加算されるポイントと言える。
ただし青春ポイントは放っておくと日々滅退していくので、これだけではプラマイゼロになりかねない。その時その時は何だか楽しかったけど、卒業して振り返ったら特筆する思い出がなかったぜ、と後悔する可能性が高いので、現状維持に甘んじてはいけないのだ。
次に2点。これはさっきの通り、夜の公園で同年代の女子と会話するといったものが代表的か。1点行動に『夜の』とか『部活中に』といった、雰囲気と状況を加味することで加点されることが多い。1点が基本なら、2点は応用とも言える。こちらは毎日といかないが、目聡く生活していれば決して少ない機会ってこともないだろう。
続いての3点行動まで来ると、成功率にまで随分と不確定要素が混じってくる。バスケットのスリーポイントと考えてくれたらいい。ここ一番で決めるのは難しい、だけど決められればそれまでの流れさえ変えられる可能性も秘めている。果敢に挑戦したいところだ。
恋い焦がれる相手とデートするのは、十分に3点獲得の領域だ。ただ、ここで大事なのは、正式に恋人同士となった相手とデートしても、点数が加算されることはほぼないということである。あくまでも片思いか、恋人未満の相手という条件が制限されている。
ここら辺、線引きが曖昧で踏み違えやすい。努々注意されたし。
他に3点は複数人での行動、といった特別ケースも取り扱っている。勢いに任せてみんなで旅行へ行ったとか、部活の引退時に何かを行うとか。ただ、ここまで点数が高まるのは稀である。
4点行為は、機会が限定されている活動に与えられることが多い。文化祭が良い代表例だろうか。ただし漠然と参加するのではなく、目的意識と、それに加えて連れ添う相手次第で点数の減点を防ぐ必要はあるが。
一方、体育祭は余程周囲の志気が高まって、熱血風潮が成り立っていなければ点数を加算することさえ難しい。運動能力は個入差が大きい為、盛り上がりきれない入が大多数だからだ。
卒業式も、やり方次第では点数を引き出すイベントと言える。感傷的な気分に、恥ずかしさを上回って浸れる人は狙ってみるのも一興だと思う。
そして5点はある意味、自己基準に大きく左右される。個々の価値観によって、「これだ!」と一つ際立つ思い出があるのなら、それはその本人だけの5点満点となっていいのだ。
異性の為に恥も外聞もなく町を駆け回ったとか、甲子園で優勝してみたとか、トラウマと栄光の混じり合う境界線を踏み続けて疾走した人間だけが、最高点へ到達出来る。
1点を獲得出来ない生活の奴は、まずこの5点の片鱗さえ見つけられない。
思春期も資本社会の中でしか育まれない、ということだ。
要領と器量に恵まれた奴は、高校三年間で20点以上の貯金を稼ぐことさえ可能だ。その貯金はそこから目先の進路、大学進学や就職先では、大した価値を成さないだろう。
だけど死ぬ間際の満足感が、普通の人とは天と地の差を生む。
人生の『過程』はその『結末』の為にあるのだから、如何に高校生活が重要か分かるだろう
「はい、ここが真くんの第二の家よ」
料金を支払って俺の隣に並んだ女々さんが、にこやかに上方を上書きする。親戚の叔母ん家ではなく、マイホームとして扱えと言っているのだ(図々しい)。
しかし、俺の新しい生活の拠点は見上げても、色々特筆したいのに自然と書き出せる要素が少なかった。
ふっつーなのである。写真に撮ってご町内の至るところに張り出せば『まあ、素敵でクリアランスな豪邸』とか評価を受けずに『カルト?ねえカルト宗教?』と不気味がられる、中堅に纏まったお家なのだ。まあそれは表面上だけで、中は忍者屋敷みたいに回転扉とか実生活では迷惑極まりないだけのギミックに溢れてるのかも知れない。
「さ、入りましょ」「はい。……えっと、よろしくです」
家に入る前に、改めてご挨拶。息子の態度がアレだと両親の教育が疑われるからな。
「これはご丁寧に」先程、俺が発した文章内容をコピペしたみたいに、言い方だけ整えて女々さんが再利用してくる。
「こっちこそよろしく。ほんとごめんねよろしく」
早口で返事をされた。……ん?何だか謝罪みたいなのも混じっていたような……。
ああ、こんな立派なお屋敷でごめんってこと?ちょいと自信過剰だなあ、多分俺が。
俺の疑問解決など待たない女々さんが和風の戸を横に滑らせ、玄関に呑まれる。俺も続いた。
どんな生活の匂いがするかな、と鼻をひくつかせると……と、と、と。
「ただいまー」
女々さんが靴をするすると脱ぎ、軽やかに家へ上がる。……ちょっと待って。
スリツパ履く前に、
俺の名を呼ぶ前に、
爽やか笑顔の前に、
気にかけることが、あんたの足下にあるだろう。
足下に一直線に引かれていたはずのスタートラインが、ぐにゃりと歪んだ気がした。
「真くんも一回、言ってみて」
しかし俺の強い視線を受け流し、現金払いしたくなる笑い顔で歓迎の意を示す。
世界のピントが一気にぼやけだした。
「……え、ああ、はい」と返事すつつ、目線ば右下に釘付けですばい。
田舎に住んでたのに上手く田舎言葉が喋れず、角張った論りになる。それはどうでもいいけど、しかし……こう。玄関上がってすぐのカーペットの脇にいる、ある?のがさ、なんか。
……嫌な予感で、遠足前のようなワクワク感がもっさりし始めたのはここからだった。
写真で見ると異常に可愛い犬を直接見たら、『何だこのチンチクリンは、ノミが飛び立ちそうじゃないかキミィ』と抱き上げるのを拒否せざるを得なかったときの気分だ。
夢の新生活にどっさりと『現実』を運び込んできたもの。
俺がこれから嫌々学校へ行くときに見送り、遊び疲れた身体を引きずって帰ってくるときに出迎える愛しき我が家の玄関に、
なんかちくわみたいなのがいた。
地球上の何処にいても浮いてしまうファッションで着飾ったというか呑み込まれて。
寝転ぶことへの躊躇いを全てねじ伏せ、伸びきった足の裏。
思わず踏み潰すか蹴り飛ばしたくなる、衝動の中枢を刺激する丸まり具合。
「………………」
玄関の濁り硝子越しに降り注ぐ春の日差しが、粘る汗と軽い寒気を背中に生む。
青線が額に生える感覚が、肌の上を踊った。
俺の青春ポイント、マイナスに返り咲き。
みたいにちょっと壊れた話かな?とか思いながら読んだけど普通に青春男の話ですな。リュウシさんはフラグ立ったみたいだし藤和エリオや前川さんのフラグもたちかけっぽいしこやつはきっとリア充だろう。 2巻買ってきます
電波女と青春男 (ライトノベル)
著者:支倉凍砂
イラスト:文倉十
ロレンスたちがケルーベまで追うこととなった美しき女商人エーブ。貴族だった彼女が、いかにして今のような商人となったのか。"もうひとりの狼"エーブの過去を描く、読みごたえ満点の書き下ろし中編『黒狼の揺り籠』。
ホロとロレンスが立ち寄った村では、村人が諍いを起こしていた。そこでホロが思いついた驚きの解決法とは!?
旅の一幕を描く短編『狼と黄金色の約束』。
晴れた日、一枚の地図を見ながらポロとロレンスが思い立った寄り道と、その顛末を描く短編『狼と若草色の寄り道』。
北、東、南、西。
四つの方向全てに祈りを捧げ終わる頃には、きっと少年がこの世で知る限りのあらゆるご馳走の名を胸中で唱えたことだろう。
「んむ。ご苦労様。では、クローリィ」
いよいよだ。
クローリィは従順な仔犬のようにホロのほうを見た。
「天使や精霊様は笑顔が好きじゃ。にっと笑ってみよ」
素直な少年は、これ以上ないほどににっこりと歯を見せて笑った。
ひゅ、となにかが風を切ったのはその瞬間。パン!とすごい音がしたのは、その直後だった
「っ!」
周りで事の推移を見守っていた村人たちが、一斉に息を飲んだ音が聞こえた気がする。
全員が全員、度肝を抜かれてその光景に釘付けになっていた。
ポロは手をぷらぷらさせて、苦笑い。手加減なく、本気でやったのだろう。少年を笑わせたのは舌を噛まないため。
いきなり全力で頬を張られた少年は目を点にして、鼻血を拭くことも、体を起こすことすら忘れて、つい今しがたまで天使のように優しかったホロのことを見つめていた。
「人の記憶は曖昧でも、一生涯忘れることのできぬ瞬間というものは確かにありんす。勇敢な少年クローリィは、きっと何十年後も、今この瞬間のこの場所のこの景色を、決して忘れぬことじゃろうよ」
ホロが村人たちに向かい、笑いながら言うと、最初に起こったのはざわめきだった。
それは彼らがようやく我に返ったからで、すぐさまそれは大騒ぎになり、やがて笑い声へと変わっていった。
彼らはこの村にやってくる時に、きっと自分たちの住みなれた土地を出てきたはずだ。
新しい土地に向けての旅立ちの前、不安と期待に心揺さぶられ、村のはずれ、あるいは町のはずれで故郷を振り返ったに違いない。
それから、北、東、南、西、としっかりと目に焼き付けて、旅立ったに違いない。
だから、彼らは尋ねられればこのように力強く答えることができるはずだ。
自分が故郷を振り返るために立ち止まったあの場所を、今でも寸分違わず正確に示すことができる、と。
「この儀式に異議のある者はその手を挙げよ!」
村長が叫ぶと、村人たちは一度静まり返り、「ありません!」と声を合わせた。
口々に神とホロの叡智に感謝の言葉を捧げ、踊り出す者まで出る。
少年の下に歩み寄ったのはホロと村長、それに他ならぬ母親で、手を取られ、体を起こされると少年はようやく事態が理解できたらしい。
火がついたように泣き出して、立派な恰幅の母親にすがりついて泣きじゃくった。
「わっちのおった村ではこれを平手ではなく石でやるんじゃがな」
狼と若草色の寄り道
流れを慎重に見極めていた、ホロの勝利だ。
「お前には敵わない」
「当然じゃな」
もそり、と身じろぎして、直後にポロの狼の耳が小刻みに震えて、欠伸が聞こえてきた。
「ほれ……わっちが一番好むことを言ったんじゃ。なにか、話してくりゃれ?」
こんな子供っぽいことをねだられているのに、手綱を握っているのはホロなのだ。
ロレンスは悔しくてたまらないが、嫌な気がしない理由はもちろんよくわかっている。仕方ないので晩飯の候補の話をしてやった。
いつもと同じ、味気ないパンと干し肉と、干した木の実の食事。森の中を走ればもしかしたら鶉や兎が獲れるかもしれない、と話した時のホロの耳の立ち方には笑ってしまった。
そんなことを取りとめもなく話してやっていたら、やがてホロは寝息を立てていた。
ついさっきまではロレンスのことを手玉に取り放題だった狼は、遊び疲れたといった風情だ。
そんなホロを見ながら、いつか自分も流れを上手に掴んでホロの優位に立つことができるのだろうか、とロレンスは思う。
草原の上ほど暖かくはないが、二人で一つの毛布の下にいれば勝るとも劣らない。
子供のように、少しだけ体温の高いホロと一緒にいるとなおさらだ。
しかし、寝ている時はこんなにも無防備なのに、と思わなくもない。
鼻をつまんだって起きないだろうし、産毛に覆われた耳の中に指を突っ込んだって平気かもしれない。
散々滅多打ちにされたロレンスは、あんまりにも無垢な寝顔を見てそんな復讐心を心の内で弄んでいた。
すると、神の思し召しかもしれない。
ふと少しホロの体勢が崩れそうだったので、ロレンスはそれを支えがてら、ささやかな反撃に出た。
こっちがお前の保護者なんだぞ、と示すように、ホロの細い肩に腕を回して。
そして、自らも目を閉じようとした、その瞬間だった。
黒狼の揺り籠
しかし、ミルトンは信じてくれなかった。
「お嬢様」
オーラーの声に目が開くのは、ほとんど訓練された犬の反応に近い。
あるいは、その声がいつも自分の困難の時には支えになったからかもしれない。
ただ、今、そこにあるのは、自分を安全なところにまで導いてくれたオーラーの顔ではない。
険しい顔つきの、一人の老人がそこにいた。
「お嬢様。ご決断ください」
泣くことすら忘れて、聞き返した。
「決……断?」
「左様でございます。このままむしられ、盗られ、足蹴にされ、泥にまみれたまま生きていく
のか、さもなくば自らの力で立ち、歩いて進んでいくのか」
それがなにを意味するのかはわかる。
このまま商人を続けるのならば、服を取り返せということだ。
「お嬢様!」
オーラーが怒鳴ったのは、顔を背けようとしたからだ。
叱られた犬は、怯えながらも視線をそらせない。
「お嬢様。私がお嬢様を商人の世界に連れ出したのは、お嬢様が哀れだったからでございます。ただそこにいるのが役目でありながら、そのせいで、流され、堕ちるに任せるほかなかったお嬢様が。私はお嬢様に機会を差し上げたい。一人で立ち、歩くその機会を」
次回は長編らしいので楽しみです
狼と香辛料〈11〉Side Colors2 (電撃文庫)ねんどろいど 初音ミク アブソリュートHMO・エディション (ノンスケール ABS&PVC塗装済み可動フィギュア)
劇場版“文学少女
ねんどろいど 97 雪ミク (ノンスケール ABS&PVC 塗装済み可動フィギュア)
googleさんが居るこのページでは
貼れないストーリーをこっちでやってます。
18歳以上の方向け……。
こそっと萌えようぜ
同人誌 コスプレ 同人ゲーム
○っちぃPCゲーム コミック
ダウンロード販売サイト
迷い猫拾いました
大事に育ててくれますか?
え※ち猫オーバーにゃん!
拾った迷い猫と※なことをするCG集です。