著者:静川 龍宗
監修:森瀬 繚
イラスト:文倉 十
高校生として普通の生活を送っているトオルのもとに、家を出て行ったきり戻ってこない考古学者の父親から突然、大きな宅配便が届けられた。
南極発のその荷物には、40キロほどの玉虫色の塊と「荷物の中身をお湯につけて三分間待つこと」という指示書が。
怪しみながらも、謎の物体Xをお風呂で温めるトオルの前に現れたのは、なんと可愛らしいメイドさん!
テケリさんと名乗る彼女は、トオルの身の回りを世話してくれることに。
トラブル続きではあったけれど、御奉仕精神いっぱいのテケリさんとの新生活にトオルが慣れ始めてきたころ、彼らの生活を脅かす魔の手が迫ろうとしていた……!
「しつもんしつもーん。僕の気が確かなら、大きいテケリさんと小さいテケリさんが見えるんだけど。テケリさんはどうして二人いるのかな!?」
うむ、我ながらクールな態度だ。たった半日で、非日常的イベントに慣れてきたのかとちょっと恐ろしくなるが、これまでに幾度もテケリさんの人外っぷりを目にしていたので、テケリさんが一人くらい増えたところで驚きの声をあげることもない。
ちょぴっとだけ、声が上ずっちゃったけどさ!
二人並んだテケリさんを比べると、買物帰りのテケリさんの身長は、台所にいたテケリさんの胸の高さくらいだ。顔立ちも体格も、身につけた服もほとんど同じに見えるのだけど、サイズが小さいので全体的に幼さを感じさせる。
大きいテケリさんの見た目は十代の半ばをちょっと過ぎたあたり。僕よりもちょっと年上くらいに見える。対して、小さいテケリさんは小学校高学年くらい。僕がさっき姉妹みたいだと思ったのも、この外見年齢の差によるものだ。
「ご紹介が遅れてしまいました。この子は私たちの私です。私たちが流しのまわりを綺麗にしている間に、夕ご飯の材料を買いに行きました!さっき教えていただいた和菓子屋さんで、お茶請けの芋ようかんも買ってきましたからねー」
テケリさんはそう言うと、小さなテケリさんをきゅうっと抱きしめる。僕はちょうど二人を横から見る位置にいたのだけど、そこから先の光景は、何か大事な数値が減ってしまう気がするので、あまり思い出したくなかったりする。
僕が実際に目撃した光景を物凄く控えめに描写すると――小さなテケリさんは、大きなテケリさんの腕の中でぐにゅんと玉虫色のゼリーになり、じゅるじゅるという異音を立ててテケリさんに同化していったのだ。
「……人前でみだりに合体しないようにお願いしたほうがいいんだうな、これは」
「ふうっ。あれれ、どうしましたご主人様?お顔の色が青いですよ?」
「いやいやいやはっはっは。気にしなくていいよ。いいから、論理学的に考えて、一人よりも二人、二人よりも三人いたほうが仕事も早く終わるし、効率的だよね」
僕は、一人が一分かけて掘る穴を、六十人で掘れば一秒で掘れるという古典的ジョークを思い浮かべながら、ようやくそれだけ口にした。
六十人全員がテケリさんだった。そして、それはシャレになっていなかったのだ。
「簡単な用事を済ませるなら、手足を増やすだけで事足りますけど、いっぱいの荷物を運んだり、お掃除やお洗濯、お買物、お料理をいっぺんに済ませるには、こうやって分身を作って手分けしたほうがぱっぱと終わっちゃいます」
「サイズが半分になると、力も半分になるのかな?」
「いえいえ、私たちはみんな等しく私たちなので、分身しても元々の力や能力に特別な変化はないんですよ」
「外見はちょっと変化するみたいだね。さっきの小さいテケリさんは、大きい―ええい、ややこしいな。今のテケリさんよりもちょっと幼い感じがしたね」
「体を分けるときは、なるたけ小さめになっておいたほうが動きやすいんです。あれくらいの大きさの細胞を分離させたくらいなら、元々の私たちの姿も変化しないままでいられますし。
ぱっと見、わからなかったでしょうけれど、さっき分身中だった私たちは、ちょっとだけうすーくなっていたんですよ」
薄い。つまり、密度のことか。部屋いっぱいに体を膨らませて掃除するという技も、別に質量が増えているわけじゃなくて、風船みたいに膨らんでいたんだな。
超古代のスーパー生物といえども、質量保存の法則は有効らしい。
ラヴォアジエ先生、あなたの宇宙は今日も健やかです!
とりあえず納得すると、僕の心のアンテナは次なる疑問へと向けられる。
「なるほどねえ。だとすると、どのくらいの人数まで分身を作ることができるの?ほら、大掃除とか引越しの手伝いとか、サッカーやラグビーの助っ人にもいつ何時駆り出されるかもわからない今日この頃だしさ」
そんな機会が起こりようもないものまで口にしてみたが、分身テケリさんの上限値にはとっても興味があった。こういうのを、ゲーム脳というのかも。
「試したことはないのですけれど、数に上限はありません。でも、今の私たちの体は大昔に比べると、とっても小さくなってしまったので、あまり小さくなりすぎないように注意しているんです。こうやって口で説明するよりもご主人様に見てもらったほうが早いかと思います」
そうしてテケリさんは、先ほどの書斎の掃除のときと同じように握り拳を作り、全身に少し力をこめる。ややあって、シャンパンの栓が抜けるようなぽんっという音がしたかと思うと、
「うわっ!」
「ひのふのみの……十二人いる」
「まえー、ならえっ!」
とりあえず、ちびテケリさんと呼ぶことにした。
先頭のちびテケリさんの号令一下、四人一組の三列縦隊を作った十二人のちびテケリさんたちが、僕の前で綺麗に整列していた。
「いつもはこんな感じですう。もっと分身は作れますけどお、これ以上の数になると性能も落ちちゃうしー、私たちという自我が保てなくなって合体できなくなるんです。だから、この数と大きさがベストですねぇ」
ちびテケリさんの一個小隊が、気をつけの姿勢で僕を見上げた。身長六十センチくらいのちびテケリさんたちの体は四頭身ほどに縮まっていて、分身する前の大きなテケリさんと同じ、メイドの格好をしている。
なるほど。テケリさんが自分のことを、いつも「私たち」という一人称を使っている理由の一端が理解できたような気がした。
フィギュア・コレクションみたいだけど、これだけの人数が揃うと実に壮観だ。
小隊を構成しているちびテケリさんは兵隊型とでも言えばいいのか、全員がオリジナルのテケリさんと同じ顔立ちをしていた。そして、ちびテケリさん小隊の先頭には、ちょっと様子が違う感じの、指揮官型のちびテケリさんが立っている。
先ほどの号令を発したのは、真ん中の小隊の先頭にいるちびテケリさんだ。この子が一番、オリジナルのテケリさんの姿に近い。少しのんびりとした顔立ちで、間延びした喋り方。レース細工の帽子ではなくカチューシャをしていて、おでこを出すようにして髪をまとめている。
僕は、このちびテケリさんをのんびりテケリさんと命名した。
のんびりテケリさんに比べて、その左右に立つ指揮官型ちびテケリさんは、外見上の違いがはっきりとわかる。右のちびテケリさんは直立不動の姿勢で腕を後ろに組んでいて、その目は吊り上がり気味で鋭かった。どこか軍人を思わせるちびテケリさんだったので、そのイメージからてきぱきテケリさんとの名称を思いつく。
左のちびテケリさんは器用に口の右端だけ吊り上げて、三白眼の目で僕を見ている。外見だけだとどんな性格をしているのか判断できなかったが、どこかクールなイメージがあるので、こちらはくーるテケリさんとでもしておこう。
他のちびテケリさんたちは……まあ、一緒くたにちびテケリさんでいいだろう。
「分身にはあ、私たちの自我を希薄にしてしまう危険があるんです。だからあ、分身する人数の上限は、十二人ぐらいが安全なんですう。これはあ、私たちが以前の主人に閉じこめられて眠りにつくまでに、注意深く試して割り出した人数ですぅ」
「すなわち、この状態こそがベストです。自我を失った原始的な細胞の塊になってしまわぬよう、いわば自我消失に対するリスク分散なのであります」
のんびりテケリさんとてきぱきテケリさんが、分身についての説明をしてくれた。
しゃべりかたもオリジナルとは違っていたが、外見そのまんまの口調だったので、違和感はまったくなかった。この差異はどこからくるのだろうという疑問はあったけど。
「ふんふん、なるほど。ちょっとしつもんさせて。僕の目から見ても明らかにキャラが立ってる君たち三人のうち、たとえば不測の事態で二人が迷子になっちゃったりした場合、残った一人がテケリさんの自我の基本となるということ?」
「―どれも同じ私たちですから、そういう心配はありません。アレですよ、再生力の強い生物を三分割して、そのうちの二つを捨てても残りのひとつから再生をはじめて元の生物に戻るという、アレ。それに私たちを滅ぼせるモノなど、ほとんど存在しませんわ。フフフ」
くーるテケリさんの声音は、なにか腹に含むところがありそうだった。
というか、いわくありげに「フフフ」を語尾につけられると、どんなに言葉だって裏がありそうに聞こえてしまう。
汝、自身を知れ!フフフ。
善人なおもて往生をとぐいはんや悪人をやフフフ。
莫迦め、クラムボンは死んだわ。フフフ。
あ、最後のやつは、なんだかしっくりくるじゃないか。
それにしても、テケリさんの新たな秘密が僕の頭にインプットされたわけだ。
何本も生やした腕を文字通りの意味でのびのびと使いこなし、十二人まで分身可能な可愛いメイドさん。その正体は、玉虫色の万能細胞が寄り集まった不定形生物!
いやいや、そこではなく。家事スキルが高く、気立てについても特に問題のない(いや、そこで怪しい笑みを浮かべたくーるテケリさんに一抹の不安はある)、なんといっても一生懸命な性格のメイドさん。人外という一点に目を瞑りさえすれば、テケリさんは当たり物件のような気がしてきたぞ。
「ご主人様ぁ」
のんびりテケリさんの声に、僕は我に返った。暫く黙りこくっていたので、ちょっと心配されてしまったらしい。
一個分隊のちびテケリさんたちは、なにやら真剣な面持ちで僕を見上げていた。
「なんだい、テケリさんたち?」
「私たちはぁ、このおうちでご主人様にお仕えしてもぉ、よろしいでしょうか?」
うちのメイドは不定形(スマッシュ文庫)です
ちびテケリさん欲しいです。
ミニスカメイド服にネコミミカチューシャ黒ニーソのあさひも捨てがたいです。
うちのメイドは不定形
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