著者:蒼山サグ
イラスト:てぃんくる
プール開き目前な本格的な夏到来。いまだ慧心学園バスケ部のコーチを続ける昴は、試合という新たなる壁にぶち当たっていた。そんな中、一人泳げずに悩める愛莉。これを克服することでセンターとしての精神的成長を促すためにも、昴は文字通り一肌脱ぐことにしたのだが、
「さーて、今のうちに脱ぎ脱ぎっと」
「いいから早く服を着なさい今すぐにっ」
「ううっ。やっぱり……恥ずかしいかも」
「おー、じゃあひなはこあらあたーっく」
「だ、だめだようそんな格好でこんなっ」
違う壁が昴の前に立ちはだかるのだった。そして、そこに忍び寄る女の影が―!?
朝、目覚めると天気はまずまず。いつもより早い時間に食事を摂りながらテレビで確認したところ、日曜までは比較的好天が続きそうだったので思わずよし、と声が漏れた。
準備を済ませて三沢家に向かい、やる気に満ちた六人が再び一堂に会す。ちなみに一昨日くらいから妙にみんなの機嫌が良いのだが……何か良いことでもあったのだろうか。安穏な疑問を内心に準備運動を終え、俺たちは意気込みよろしくプールに飛び込む。そうしてまずは水に慣れるため、また、水泳を楽しいものとしてイメージして貰うためのレクリエーションとして、みんなと鬼ごっこを開始した。
「わーい。今度はおにーちゃんが鬼!」
「わははー。待て待てー」
その、直後。
「あの、すばるんさま。お客様がいらしております」
「え?」
プールサイドからあまりにも状況にそぐわない久井奈さんの呼びかけが聞こえ、混乱のままに顔を向けると、
「そんな馬鹿な」
うつむき加減に全身を震わせる――葵の姿がそこにあった。
疑問、恐怖、諦観。受け入れがたき状況に脳がフリーズし、プールの中と外で数メートルの距離を挟んだまま、俺と葵は互いに無言で呆然と向き合い続ける。
「……馬鹿な、ですって?」
やがて、先に硬直を解いたのは葵。能面のような笑みですっと顔を上げると、俺の言葉を愉映そうに反芻してみせる。
「それは、こっちの―」
そして、ぎくしゃくとした動作で両足の靴とソックスを脱ぎ捨て、
「台詞だこの大バカアアアアアァアアアアァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
叫びながらプールサイドを踏み切り跳躍した。
「っておま!ななななな何を―ドフッ!」
持ち前のバネで高く舞い上がった葵の身体が、まっすぐ伸ばされた両足を先端として俺の顔面に突き刺さる。
……中学の頃街中で発動し、偶然近くにいた女子プロレスラーさんに熱の入ったスカウトを受ける災難に見舞われてしまった伝説のミサイルパオパオキック。まさしくその再現であった。
ただ、シチュエーションもほぼ同じである中、唯一異なる点があるとすればそれは、今回俺たちの周りには大量の水が存在するという事だろう。直後、ドバアアンという盛大なしぶきと共に、白いブラウスにチェックのスカートという私服姿の葵の身体がプールに飲み込まれる。
そんな後先考えぬなれの果てを、どこか人ごとのように水中をさまよいながら眺めていた俺の意識は、やがて若干のラグを挟んで暗い水の底へ沈殿していくのだった。
久井奈さんから渡されたタオルを頭から被り正座した葵の前。プールサイドに引きずり出された俺は、どうして良いか分からずおろおろと立ち尽くす。加えて言うと、葵の洋服が盛大に透けてやがるので視線を向けることすら躊躇われるのであった。
「……面目ないです。とんだ、ご迷惑を」
葵は白らの暴走を恥じた様子で項垂れており、俺への糾弾は一時的に収まってはいるものの……そんなのは刹那的なモラトリアムにすぎないだろう。
嘘の二つ重ねは、さすがに許してもらえまい……。
「こらやんばるっ!なんで連れてきちゃったんだよ!?」
「申し訳ありません。悪い方にはまったく見えませんでしたもので……」
傍らでは真帆が久井奈さんを糾弾しているが、そこを責めるのはどうしようもなくお門違いだろう。確かに葵は悪人面とはかけ離れているし、通常時は俺よりずっと礼儀正しい。
……ところで『やんばる』とは何だろう……と 隣思い、直後に把握。なるほど――やんばる・くいな――か。
真帆らしい命名だった。
「……うう」
呑気な事を思ってしまった愚かしさを、後ろで愛莉が震えるように声を漏らした瞬間激しく恥じる。そんなことを、考えてる場合じゃない。
真帆以外の四人は肝を抜かれたように言葉を失い、寄り添っておっかなびっくりこちらの様子を窺っていた。突然の乱入者に再び平穏を乱されて、みんな気が気ではないだろう。
「……なあ葵。少し、落ち着こうひぎぃ!」
ここは俺が納めねばなるまいと笑顔を繕って呼びかけたのだが……どうやらファーストコンタクトの方法を激しく聞違えたらしい。逆鱗に触れられたように葵はタオルを翻して立ち上がり、俺の後ろ髪をひっつかんでプールサイドから離れ、並木の陰へと引っ張っていく。
「わ!ちょ!な!―っ!」
そしてのど輪で首をつるし上げて、木の幹に貼り付け、
「私を何度も騙してた奴が、それは楽しそうにパンツ一丁で小学生の女の子を追い回していた。……これを、穏便に見過ごせと?」
こめかみをビクビクさせながら、無理矢理形作った感丸出しの笑みでこちらを射すくめる。
ロウきゅーぶ!〈3〉 電撃文庫です。
水着です。ミニバス娘5人とプールです。約1名、スク水です。
そんな中、幼馴染みの葵ちゃん参戦です。
ロウきゅーぶ!〈3〉 (電撃文庫)
著者:和泉フセヤ
イラスト:瀬之久史本
要人護衛組織『アイギス』に所属する新人エージェント・如月修史に下った新たな指令、それは『女装して全寮制女子校に潜入し、女学生として生活しながら対象を護衛せよ』という無茶な内容だった。
嫌がる修史だったが、無理やり女装させられ、山田妙子として禁断の花園に投入される。そこで出会うのは淑女の中の淑女・春日崎雪乃、スポーツ万能少女・椿原蓮、小悪魔的策略家・新城鞠奈をはじめとする女の子たち。
修史の奇妙な学生&護衛生活が始まった!
「彼女が今日転入してきた山田妙子さんです」
「そうですか……」
中央の学生が短く答える。
さっき返事したのは彼女らしい。透き通るような、美声だ。
「山田さん、彼女が会長で三年生の春日崎雪乃さんよ」
麗美が紹介する間、修史は、その美声の持ち主の、いや警護対象の顔を見ようと、目を凝らしていた。
「は、はい」
一拍遅れて返事をする修史の後ろで麗美が電灯のスイッチを入れたのか、立ち上がった雪乃の顔がはっきりと見えた。
「私が、会長の春日崎雪乃ですわ。ようこそセント・テレジア学院へ」
優雅な笑顔の雪乃に見つめられ、修史はなぜか全身を射抜かれたような気がした。
「それから、向かって右側の彼女が副会長の椿原蓮さん」
麗美が手を差し出すのに合わせ、蓮が頭を下げた。
「教室ではお声を掛けずに申し訳ございません」
「い、いえ、こちらこそ」
やはり蓮も、雪乃とはまた違った笑顔で修史を見ている。
二人とも本部で見た写真よりも実物のほうがずっと美人に見える。
「ようこそ撫子会へ。歓迎します。副会長の椿原蓮です」
「よ、よろしく……です」
ショートカットの蓮は一見、快活そうに見えたが、実物は幾分か落ち着いた印象である。
「そして彼女が新城鞠奈さん。撫子会では会計を担当してます」
麗美が向かって左側の学生に手を向ける。
「初めまして、妙子様。一年の新城鞠奈と申します」
鈴を転がす様な声とはこの事か、と修史は思った。他の二人よりも幾分身長が低く、あどけない顔がどことなく高価なアンティーク人形を思わせた。
髪を両側で結った、入形のような鞠奈がペコリ、と頭を下げた。
鼓動が早まる胸を抑えつつ、修史も頭を下げる。
三人とも女性嫌いの修史も認めてしまうほどの美少女だ。それに気品もある……。クラスメイトの真田設子と同じ雰囲気を感じる。
「こちらこそ……。ところで、学生会のことを撫子会と呼ぶんですよね?」
「はい、その通りですわ。セント・テレジアの学生会は、撫子会と呼ばれておりますのよ」
先ほどと変わらず、鈴を転がすような声で鞠奈が答える。
奇異に聞こえる名称だが、いわゆる通称というやつか、と修史は納得した。
(大和撫子、のナデシコか……)
「さて、と。お伝えしていた通り、山田さんも撫子会に入るので、仲良くしてあげてくださいねー」
麗美がボン、とその背中を軽く叩くと、修史は条件反射的に頭を下げた。
「よ、よろしくお願いします、です」
「勿論ですわ。お友達が増えて嬉しいわ」
「撫子会が三人きりなのは少々寂しいと思っていたので、大歓迎です」
「よろしくお願いいたします、妙子様」
三入の歓迎の言葉を聞いて修史は少し安堵した。こんなおしとやかなで優しそうな女の子たちとなら、なんとかやれそうかもしれない、こちらも徐々に慣れるとして、距離を置いての護衛なら可能だ、そう思った。
「それじゃー、あとは若い者同士で~。山田さん、ではまた~」
「は、はい」
右手をひらひらと振り、麗美が部屋を出た。
「ご苦労様でした、星野先生」
雪乃が、その背中に頭を軽く下げる。
麗美が出て行ってからも三人は静かに笑みを浮かべていた。
が、しばらくするとその顔から笑みが消えた。
「……行ったわね?」
「ああ、行った」
麗美の足音が遠のいていくのを聞き届けると、蓮が雪乃に頷いて見せた。
三人の笑顔が一転して気だるそうに見え、口調も先ほどと少し変わっている。
「あー、肩凝ったぁ」
鈴を鳴らすような声だったアンティーク入形が、疲れ果てたような声で、まるで『やってられない』といった顔で肩を大きく回した。
「……へ?」
その様子を見て修史はしばし呆気にとられた。
(あれ?)
「ふーっ」
大きな溜息をついて、雪乃が玉座のような椅子に腰掛け、白く細い足が露出するのも構わず大きく脚を組み出した。その隣では、蓮が大口を開けて欠伸をしている。
修史には彼女たちの豹変ぶりが理解できなかったが、しばらくの思考の末、ある答えに辿り着いた。
(まさか、さっきのは芝居で、こっちが本性だというのか?)
唖然とする修史の前で、面倒くさそうに雪乃が口を開いた。
「さっぱり理解できないわ。どうして、こんな子が、学内から選びに選ばれた者だけが入ることを許される撫子会に入ってきたのかしら?」
ちらり、と雪乃が修史を見た。その目つきはまるで下賎な者を見下ろす女王のそれのように思えた。
(なんだ……?)
「ふうーっ」
二度目のため息の後、さらに深く椅子にもたれながら、スカートの中が見えるのもお構いなしに雪乃が、組んでいた脚を広げた。
「理事長が面倒を見て欲しいと仰られたから、仕方なく承知したけれど……」
ふうっと、女王が肩を落とす。
「どう見ても、普通の子よね」
「お婆様の知り合いの子だって言ってたけど、お茶会やパーティでも見かけたことないよ」
女王に続き、アンティーク人形が、下からじろっと修史を見上げる。
「こんなに目立つのになぁ」
「あ、あの、目立ちますか、あたし?」
おずおずと修史が口を開く。
「ああ。目立つ目立つ。目元まで隠れたもっさい前髪に、そばかす。確かに、野暮ったくてかえって目立つな」
さも当たり前、と言わんばかりに蓮が腕を組んだ。
「しまった……」
周りに聞こえないように修史が咳く。
万全のカモフラージュだと思っていたこの女装がかえって目立つとは思っていなかった。
「ふむ……。素材は悪くなさそうなのに、なぜそんなにダサくしてる?もったいないじゃないか」
蓮が覗き込むように言ったので、修史は思わず後ずさった。
「もったいない、ですか?」
「うん」
「そんなあ。蓮様、何をどういじってもこれが良くなるものですか」
「……ほっとけ」
高笑いの鞠奈に、思わず地の声が出た。
「え?」
思わず、三人が修史を見る。
「い、いえ、放っておいてください」
「へえ……?」
「ほおー、意外と気が強い?ウチら撫子会のメンバーにその態度とは」
雪乃と鞠奈がこちらを見ると、修史の背中を冷たいものが走った。
恋する乙女と守護の楯〈上〉―The shield of AIGIS (集英社SD文庫)です。
題名を見ただけで「あぁ」と思われた方もいると思います。
そう、PS2ゲーム恋する乙女と守護の楯 The shield of AIGIS(通常版)の、ノベライズ版です。
題名を見て「あぁ」と思った多くの方はこっちの「大きなお友達版」恋する乙女と守護の楯を想像したんじゃないかな。おいらはそうでした。そしてこっちしかクリアしてません。
ストーリーは5人を旨く絡めて纏めてあるんじゃないかな。さすがプロ。「大きなお友達版」をプレイしたおいらにはもう少し欲しかったけど。
あと、後書きを読んでて思ったんだけど著者の和泉フセヤさんって名前の通りのトコに住んでるのかな?
恋する乙女と守護の楯 The shield of AIGIS(通常版)
著者:松 智洋
イラスト:ぺこ
クリスマス直前。ケーキ作りに聖夜の芹沢教会でのチャリティー企画に、迷い猫同好会は大忙し。
文乃。千世、希は、牽制し合いながら巧へのプレゼント選びに余念がない。
そんなある日、巧の姉、乙女が新たな迷い猫を拾ってくる。それは金髪の美少女?だった。
クリスと名乗る迷い猫が持ち込んだ大騒動に、乙女の愛が炸裂する!乙女と巧の思い出の日に、新しい奇跡は生まれるのか。三人娘の恋の行方はいかに?
「なんだ、やけに疲れてる顔だな」
教室に駆け込んできた俺や文乃、そして梅ノ森の顔を見て、家康が言った。
「どうした?また乙女師匠がなんか拾ってきたとか?」
「そのまさかだ」
「うそん、マジで……?」
家康も冗談のつもりで言ったんだろうけど。
「この状況で新キャラか。ってか増えすぎじゃねー? 今度はなんだ?いや、待て、当ててみせる……うーん……はっ!わかったぞ、今足りないのは、そう!メガネっ娘だ!」
「おまえが何を基準に足りないとか言ってるのかはあえて追及しないが、ハズレ」
「金髪よ金髪。しかも年端もいかない女の子」
俺がもったいぶっていると、梅ノ森があっさりバラした。
「金髪ロリ美少女!そっちできたか!梅ノ森と被ってるようにも見えるがさにあらず。梅ノ森は神聖なロリ道に反した見た目だけ幼女だ!やはり正しくは十二歳以下!」
そっちってどっちだよ。梅ノ森も怒るより呆れて溜息をついている。
「さすがは乙女師匠。古典的でありながらも強力なキャラクター配置。たぶんそのロリっ娘は実は吸血鬼とか、どっかのお姫様とか、ナイスな設定があるとみたね」
ないって。つーか、現実とギャルゲーを混同するな。可哀相な人みたいだぞ。
「個人的には一人称『わらわ』が好みです。その方向でみなさん動いて下さい。いいですね」
「……おまえ、そのノリで話しかけたりするなよ?なんか儚げな感じの子だったから」
「わーってるわーってる。任せておきなさい」
ほんとにわかってるのか疑いたくなるような調子でうんうん頷く。
「今回はどんな事情なのだ?」
「それが、さっぱりわからないんだよ。どうも人見知りするみたいであんましゃべってくれないし。そもそも俺じゃ言葉が通じるかどうかも怪しい」
これは、苦労するかもなあ……まあ、ウチの店だと通訳には事欠かんが。
「巧……」
俺が渋い顔をしていると、希が不安そうに顔を覗き込んできた。
「心配しなくても、事情も聞かずに無理に追い出したりはしないから。おたがいさまだしな」
「……うん」
俺が笑って言うと、希は嬉しそうにうなずいた。帰ったらまずはコミュニケーション手段の確立だな。そしたら、一緒に飯を食おう。すべてはそこからだ。
「ただいまー……って、あれ?」
学校から帰ると、店はもぬけの殻だった。
「まさか……姉さん!?」
慌ててリビングに駆け込むと、テーブルの上を確認した。
「置き手紙はない……か」
ホッと安堵する。
「そういや、クリスもいないな」
姉さんがクリスを放って出かけるわけないし、二人で買い物にでも行ったのかな。
「うーん、ならせめて店をいつもの良心市モードにしといてくれりゃいいのに」
ご町内の善意に頼った良心市モード、すなわちお客さんに勝手にお金を払って商品を持ち帰ってもらうシステムは、売り上げこそふるわないが今までのところ、一度も泥棒などの被害に遭ったことのない我が店の命綱である。隣近所の皆様のご協力あってこそ可能な荒技だ。
しかし、どこに行ったんだろう?
「巧」
希が風呂場の方を指さしていた。耳をすますと水の音、それからかすかに話し声がする。
「なんだ、風呂か」
クリスと一緒に風呂に入ってるのか。良かった良かった出奔じゃなくて。
「一緒にお風呂……羨ましい?」
ホッとしている俺を何を誤解したか、じーっと見つめていた希がそんなことを言いだす。
いくら金髪碧眼美少女でも、それは俺を変態扱いしてるのと変わりないって、希。
「……後で一緒に入る?」
「だ、だだだ、誰とっ!?」
「わたしと巧」
「は、入らん入らんっ!俺は一人で十分だっ」
本心としては、ぜひよろしくお願いします!と頭を下げて頼みたいが、それはデビル巧の囁きで、エンジェル巧としては絶対に折れちゃいけない男の於持である。
「そう。じゃあ、この子たちと入る」
まとわりつく猫たちを抱え上げ、希はくすりと笑った。なんて羨ましいんだ、お前たち。俺も猫なら良かったのに。……いかん脱線した。今、目の前にある問題は、姉さんとクリスが一緒に風呂に入ってるのかってことだ。そっと、脱衣所のドアに身を寄せてみる。
耳をすませば、姉さんが歌っている調子はずれの鼻歌が聞こえてくるような……。
『ぎゃああああああっ!』
いきなり甲高い悲鳴が響き渡った。
「姉さんの声じゃない……クリスか!」
俺は大急ぎで風呂場へと走った。
風呂場の扉がもの凄い勢いで開いて、中から小柄な体が飛び出してきた。
「た、助けてっ!シャンプーは嫌いなんだよ!せめてシャンプーハッとを……」
英語で何かを叫びながら転がるように飛び出してきたのはクリス。
「ん?」
なにか、クリスの足と足の間にとっても見慣れた物体があるんですが。
迷い猫オーバーラン!〈4〉みんな私が拾います (集英社スーパーダッシュ文庫)です。
巧のハーレムに一名追加です。クリスです。金髪碧眼美少女(?)です。
金髪碧眼美少女(?)なのにツインテドリルじゃありません。
聖歌を歌うクリス
「もうやだ三次元」とってもよい言葉ですね。
迷い猫オーバーラン!〈4〉みんな私が拾います (集英社スーパーダッシュ文庫)
著者:本田 透
イラスト:桐野 霞
学園最強少女にしてライトノベル作家の流鏑馬剣は、あせっていた。
学園一かわいい女の子・市古ゆうなが偶然にも始めた夏休みのアルバイトをきっかけに、剣の仮の恋人である与八雲と急接近していたからだ。
その影響で、剣は創作に行き詰まり、担当編集・与心夏を困らせていた。
一計を案じた心夏は、剣と自身の従弟でもある八雲『そして絵師・ぽんぽん先生を夏の合宿へと誘い出す。三角関係を体感させることで、剣に刺激を与えようとしたのだ。
こうして、夏の海での合宿がスタート。
だが、水着での騒動や、次々と海の生物が出現したりと、予想外の展開に!
果たしてスランプ脱却なるか、そして三人の関係は?
一方、女子更衣室は言うまでもなく大騒ぎになっていた。
「あれ?こゆりん、ちょっとおっぱい膨らんでない?2ミリほど」
「そ、そっかな~?やっぱり『飼料の中に女性ホルモン様物質が入っている』とゆー都市伝説を持つ鶏さんの肉を多めに食べたのがよかったのかな?」
「それ、マジっすか?あたしも学生時代にチキンを食べればよかったのか、くっそ~!」
「なっちゃんも、まだまだたくさん食べていっぱい寝れば成長するって。一緒にめざそうBカップ!がんば!」
「あたしは成長期なんてとっくに終わってるよーん!がお、がおっ!」
与家の二人が、実にスモールなレベルで胸の自慢話に興じている合間に―。
剣は目をギラリと光らせながら、他の三人に背を向けて鞄から買ったばかりの「勝負水着」を取りだしていた。
「……ふ、ふ、ふ。つるぺたな人々が、見てもわからない微妙なレベルで胸が大きくなっただの小さいだのと一喜一憂するさまを目にするのは、なかなかに愉快なものだな……」
往きの電車内でずっと緊張していたのは、この勝負水着を八雲の前で着なければならなかったからだ。
「今まで私は、女性の胸などというものは格闘術の妨げになる爽雑物だとばかり思っていたが……今こそ、私をこのような女性らしい姿に産んでくれた母上に感謝したい。こ、こ、このっ……"びきに"を着て、私は八雲の視線を独占するっ!」
ビキニの水着。
厳格な父・流鏑馬半次郎に見つかったら、間違いなく叱責された上に下手をすれば号泣されてしまうであろう、実に不将きわまる露出度の高い水着である。
半次郎いわく、ビキニなどというものはブラジャーとパンティを「水着」だと言い張っているだけのシロモノであり、軽挑浮薄かつ淫乱淫靡。伝統ある日本女性!!大和撫子が身につけるものではない、のだそうな。
年頃の独身女子たるもの、頭をキャップで覆い、全身を肘と膝まで伸びた横縞模様の水泳着(いわゆる「シマウマ」)で包み隠して泳がねばならない、というのが流鏑馬家の教えなのだが。
「……確かに、これは下着と変わらぬ露出度。実にえっちだ……し、しかし、胸が大きい私がこのビキニを着れば、合法的に八雲に「見せてあげる』ことができるのだ。なに、浜辺で他の男どもがじろじろ見てきたらこの視線で威圧して蹴散らせば良い。ゆえに八雲以外の男に見られる恐れはない!のーぶろぶれむだ!」
このような露出度の高い水着を着て八雲の前に出ることに抵抗感を拭いきれない自分に、無理やり言い聞かせるように「こくこく」とうなずく剣。
「ふふ、ふふふふっ……これで市古さんに勝てる!そして二人は、水平線に落ちる夕日を見つめながら……ほわ~ん……」
またまた剣が、妄想劇場を脳内でスタートしようとしていた、その時だった。
過酷な現実が、剣を襲った。
「おわあっー!?ぽんぽん、あんた!?そんなに、おっぱいデカかったのっ!?」
「ひいいいん。声が大きいです、与さんっ」
「うわあ……いいなあ、市古ちゃんって実は隠れきょにゅーだったんだね」
「そ、そんなことありませんよ、こゆりさん。べ、べ、別にそんなにおっきくないですっ。普通くらいですっ」
「ううん。どうみても普通サイズじゃないよっ。もしかしてDカップくらいあるんじゃないの?いいな~。こゆりは、やっとAサイズにたどり着いたばかりだとゆ;のに……高校生になったら、こゆりもこれくらい大きくなってるかな?」
「そ、そんなに大きくありませんってば!ほんとですっ。ああもう、はずかしくて水着姿でビーチに出るのが怖くなってきました……あううっ」
「ふっふっふっ。朴念仁のやっくんも、ぽんぽんが案外おっぽい大きいと知ったら眼を覚ますかもね~」
……そんなバカな。
この世には“等価交換の法則”というものがあってだな、市古さんのような最強にかわいい女の子が最高にかわいいイラストを描けてその上おっぱいまで大きいだなんて、そんな「学園美少女三冠王」みたいな恵まれた女の子が現実に存在するはずは。
私はまた、悪夢を見ているに違いない。
「何しとるん、流鏑馬さん?ほらほら、ぽんぽん先生の『ボイン』ぶりを見てみなさいって」
「はわわ。「ボイン』言わないでください、与さんっ。なんだかさっきから親父くさいですっ」
「えっへっへっ、そりゃあこんなかわいいツラしておっぱいだけでかい小娘に対する嫉妬が原因やね。嫉妬のあまり、あたしゃ中年親父になりさがっとるんや~」
「ひいいん。なんでわたしの胸を触ってくるんですかっ?落ち着いてください~」
逃げてはいかん。剣は、「くわっ」と意を決して振り向いた。
ワンピース型の水着を身につけた市古が、なぜか心夏に襲われていた。
こゆりは「いいな~」とつぶやきながらスクール水着に着替えている途中。
「……大きい」
確かに、小柄な身体と幼い童顔に似合わない、なかなかのボリュームだった。
水着の上からでも、はっきりとわかる。
くらっ。
剣の口から、またもやたましいが抜けかけたが、そこはプロの小説家。
言葉の魔術でどうにかこの絶望的状況を乗り切ろうと、屍理屈を考えはじめる。
……ひらめいた。
「ふ、ふ、ふ。市古さん、これで勝ったと思わないことだな!」
完全に悪役の台詞だった。しかも、負け犬臭い。
「か、勝ったって……流鏑馬さん?な、何がですか?」
「八雲は与家に生まれ育った少年だからな、つるぺたの女の予に慣らされているのだ。そう、胸の大きな女の子は苦手なはずなのだ。ふっふっふ。ずばり、八雲は……八雲は幼児体型の女の子が好みに違いないっ!」
「は、はあ、そうなんですか……」
「じゃあ、剣さんはお兄ちゃんのストライクゾーンからボール十個ぶんくらい離れてるねっ!市古ちゃんよりもおっぱい大きいもんね!」
こゆりがジト目で、容赦ないつっこみ。
"幼児体型"と言われてかちんときたらしい。
「……はっ!?ああっ、そうだったっ!?い、いや、私は別に自分のプロポーションが八雲のストライクゾーンから逸脱していようが、そんなことは全然気にしていないぞ!?む、むしろ、せ、せ、せいせいするっ」
「とか言いながら、どーしてビキニ水着を手に握りしめてるわけ?うわっ、いやらしーっ。剣さんってば、そんな露出狂みたいなちっちゃな布切れを着てお兄ちゃんをまどわせるつもりだったんだ!へんたいだー、へんたいだー!」
「……ち、ち、ち、違うっ。これは違うのだ。わ、私は色白なので浜辺で紫外線を全身のお肌にまんべんなく当てる必要があって、そのっ……けっ決して八雲に見せつけてサービスしてやろうとか八雲の視線を独占とか八雲の好感度を回復しようとか三角関係に決着をつけようとかそのようないやらしい下心は」
「って、全部自分でゲロってるし。ほんと、剣さんってわっかりやす~い」
ぷつん。
「……うあああああああっ!!!!」
ぶんぶん。真っ赤になった剣がビキニを握りしめたまま、腕を振り回しはじめた。
女子中学生に言葉で追い詰められて切れるとは、作家失格である。
「ぎゃー、流鏑馬さんが壊れたー。どうどう、おとなしくなさいっ!」
「は、はわわ~。流鏑馬さん、なんだかよくわかりませんが、もしかしてひとえにわたしのせいなのでしょうかっ?ごめんなさいごめんなさいっ」
「いいから、さつさと着替えなさいよ。お兄ちゃんを一人で浜辺に放置しておくとね、勝手に岩場の生物観察に出かけちゃうんだよ?」
「……なんだとっ?」
早くビーチに出て八雲を捕まえねば、すべてが水の泡になる。
剣は、大あわてで服を脱ぎはじめた。
ライトノベルの楽しい書き方 2 (GA文庫)です。
海だ!水着だ!三角関係だ!です。
四角じゃねぇの?です。
タイドプールと言っていいのか解らないけど磯場の水たまりは楽しいです。
カニがいます。水着のおねーさん見てるより楽しいかもです。
浜辺は水着のおねーさんに紛れて白いビキニを着たト
ライトノベルの楽しい書き方 2 (GA文庫)
ねんどろいど 初音ミク アブソリュートHMO・エディション (ノンスケール ABS&PVC塗装済み可動フィギュア)
劇場版“文学少女
ねんどろいど 97 雪ミク (ノンスケール ABS&PVC 塗装済み可動フィギュア)
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貼れないストーリーをこっちでやってます。
18歳以上の方向け……。
こそっと萌えようぜ
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迷い猫拾いました
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拾った迷い猫と※なことをするCG集です。
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