著者:松 智洋
イラスト:ぺこ
クリスマスの事件で足を骨折した巧は、病院で正月を迎えた。文乃、希、千世の三人は競って熱烈看護中。だがそこが千世の友人で財閥令嬢である夏帆の系列病院だと分かって騒ぎに発展。マイペースな夏帆に振り回され這々の体で退院した巧と迷い猫同好会を待っていたのは、季節外れの転校生だった。折しも目前に迫るバレンタインを焦点に、新たな恋の伏兵が三人娘に予想外の展開を呼び込んでいく。その時巧の出す結論とは?そして夏帆の思惑はなんなのか?
「いい?とりあえず、巧の足が治るまでは協定に従ってもらうかんね」
「だから、協定だかなんだか知らないけど、あたしは最初からそんなの結んだ覚えないわよ。だいたい、あたしは巧のことなんか……」
「文乃、それは嘘」
実際、用事を繰り上げて三日に戻っていたのは文乃も同じだ。だいたい、おせちを用意していなければ一番に到着していたのは文乃だと思う。希としても、看病について言いたいことはなくもないのだ。自分は同居しているのだから、荷物運びくらいはやらせてほしい。
なのに、勝手知ったる他人の家。希よりも昔から出入りしているが故に、文乃の方が効率よく乙女をサポートしてしまう。希が指示を待つのに対して、文乃は勝手に世話をしてしまうのだ。この差は大きい。たしかに、その呼吸はまだ希には難しかった。
「そーよそーよ。だったら一緒に来なければいいじゃん」
千世も希と同意見である。入院して以来、自分は空回りしている感じがするのは否めない。
その点、文乃は着実に得点を重ねているようでくやしいのだ。お金では解決できない、幼なじみのアドバンテージを感じざるを得ない。
「うっ……こ、これはあんたたちだけ行かせたら、また巧が大変なことになっちゃうかも知れないから!仕方なくよ!」
素直じゃないのもここまでくれば、ある意味すごいことかも知れない。
「巧、忘れ物を取りに来たわ!」
勢いよく開かれたカーテンの向こう、それを見て、彼女たちは真っ白になったのだった。
少し前に時間は遡る。
「さあ、巧様。お服をお脱ぎになって?」
ナースルックのままベッドサイドに腰を下ろした夏帆さんは、妙にしどけない姿で髪をかき上げた。香水の香りに混ざって、夏帆さんの髪からシャンプーの香りがする。
そして、頬を染めて今の台詞である。地球上の男子の九割八分五厘は同様の期待をするに違いない。って!何を言ってるんだこの人は!?
「なななな、何を言いだすんですか夏帆さんっ!!」
俺の動揺を感じたのか、夏帆さんは恥ずかしそうに頬を染めてうつむいた。
「あら、師長様から今日のご予定は確認して参りました。午後の予定は、清拭ですわよね。足のギプスが取れるまでは、看護師が体を拭くのでしょう?は、恥ずかしいのですけれど、私……頑張らせていただきますわ」
頑張るって何を!?
「い、いや、そうだけど。姉さんにやってもらうこともあるし!その時も背中と足以外は自分でやってますから!」
「まあ、そうでしたの?でも、足が痛いのではありませんか?」
大きな目をさらに大きく見開いて、心配そうに俺を覗き込む夏帆さん。
……そ、そんなに顔を近づけないでほしいなあ。
なんだか、胸がドキドキしてきた。
「無理をなさらなくてよろしいのですよ。私、こう見えても海外で看護講習は受けておりますの。日本の資格こそ持っておりませんが……大丈夫です。私、出来ますわ」
悲壮な決意を上気した顔で告げる夏帆さん。
「い、いや、そういうことじゃなくて」
「わ、私では、不足だとおっしゃいますの?私……心から尽くすつもりで参りましたのに」
悲しそうに言われても……
不足って何が不足なんだよおぉぉおおっ。
「私は……ただ巧様のお役に立ちたいと……至らないところがあれば直します。ご要望があればいかようにも努力いたします。どうか、私に巧様の看護をさせてくださいませ」
そういうと、夏帆さんは悲しげに目を伏せた。
「い、いや、そんな大げさな。体を拭く間は外に出ていてくれれば、その後でやってもらうことは何かあると思うからさ」
い、いかん。俺は何を言っているんだ。
というか、完全に夏帆さんのペースにはまっている!?
「そんな……私に背中を拭かせるのは不安だ、そうおっしゃるのですね。悲しい……悲しいですわ。巧様。確かに私は以前、勘違いから千世様に間違ったアドバイスをしてしまったかも知れません。でも、あれから私は考え直しました。それにこのたびは、私の初めての人である巧様のお世話をして差し上げたいと思ってここに参りましたのに……背中すら……うう」
おーい。俺、ものすごい悪人っぽい展開なんですけど。
周りにいる入院患者さんたちがドン引きしてます。
「ち、ちょっと待ってーっ!夏帆さん、落ち着いてよ!なんでこんな……俺と夏帆さんは、梅ノ森の共通の友達ってだけでほとんど無関係なのになんでーっ!?」
の言葉に、夏帆さんは衝撃を受けたように口に手を当てた。
「……巧様は、私が誰にでも唇を許すような女だとお思いなのですか!?」
大げさな仕草で、夏帆さんは俺に顔を
著者:おかざき登
イラスト:高階@聖人
千紗と、キスしてしまった…。
わけを話せば長いんだけど、デーモンテイルとしてご町内の統治をまかされ(実質ただのなんでも屋だけど)、千紗的には順調に世界征服が進んでいたある日のこと。ちょっとした事故で、唇と唇がぶつかってしまったのだ。それ以来千紗とはなんとなくぎくしゃくしてしまっている。
デーモンテイルの活動もあるのに、なんだか微妙に避けられてるし…どうする、僕!
おまけに依頼のあった組織を調べているうちに、意外な事実が明らかになり…。
「いいね。頭のいい人は好きだなあ。状況を認識するのが素早い上に的確だから、とっても話が早い。それで、さっきの質問なんだけどさあ、君って何者?」
「酋通の高校生ですけど。学年とクラスと出席番目でも言いましょうか?」
「はは、笑える。冗談置っちゃいけないなあ、ただの高校生に、あの薬を中和することなんて不可能なんだけど?」
もう隠す気もない、というわけか。ざっくばらんに来やがりましたね。
「僕が何かしたとは限らないでしょう」
「パーティで何も口にしないような川心深い人が無関係だって?いやあ、それはちょっと無理があるでしょ。まして、薬と聞いて驚きもしないし?」
「全部状況証拠じゃないですか」
「状況証拠で充分だと思うけどなあ?正直に話してよ。政府にでも犬として飼われてるんじゃないの?だとしたら、酷い話だよねえ。高校生の君に、こーんな危険な真似をさせるなんて」
政府の犬、ねえ。
まあ、デーモンテイルの一員というよりはありえそうな話だろうか。少なくとも、悪の組織が真っ先に考える仮想敵は政府だろう。
んー、そう思っててもらった方が楽だろうか。少なくとも話は早そうだし、デーモンテイルの名前を出さずにすむなら、かえって好都合だ。
よし、それで話を合わせていこう。
「……そこまでわかっていて、始末するわけでもなく、わざわざ話をしようってのはどういう魂胆なんです?」
「あはは、認めたね?そりゃあ簡単なことだよ。君にはこっち側に来てもらいたいなあ、って思ってるだけさ」
「ダメですっ!」
叫んだのは千紗だった。
「千紗。静かにしていて」
振り返って、怒るというよりは優しく言った。
「でもっ」
それでも食い下がってくる千紗に、僕は自分の唇の前に入差し指を立ててみせた。
「静かに。大丈夫だから」
それでようやく口を閉ざした千紗にうなずいて、僕は虎之介に視線を戻す。
「僕に裏切れ、と?」
「うん。君は、野党とはいえ有力な議員、鯨岡雪彦の息子でしょ。あ、だからこんな妙な役目を背負わされてるのかな?ま、その役目も、こっちに来てくれればダブルスパイとして美味しく活かせるしね」
ここで父の名が出てくる……?ああ、ありすではなく僕を呼びつけた真意はそこか!
「なるほど、貴方の父親が失脚して政界へのパイプがなくなったから、新しいパイプが欲しいってワケですか、阿久津虎之介さんとしては」
「お。さすが、よく調べてるね」
自嘲気味に、虎之介は笑った。
「まったくさあ、馬鹿な父親を持つと苦労するよ?票集めのためとかって散々資金をせびっておいて、役に立つ前に勝手に墓穴を掘って失脚しちゃうんだから、呆れてものも言えないでしょ。いやあ、ご立派なお父上をお持ちの君が羨ましいなあ」
「それはどうも」
たいした父親じゃないとは思うけど、まあ、阿久津よりはマシか。あんなのが父親だと思うと、その点だけは同情したくなる。
「悪い話じゃないと思うけどなあ。。政府がいくら出しているのか知らないけど、確実に待遇があがることは保証するよ?それに、承諾してくれるなら、そのお嬢さんも無事に返せるしね。なんだったら、一緒に住める部屋も用意させようか?」
穏やかな言い方でも脅迫だね、それ。
「で、貴方はいったい何を企んでいるんです?」
僕は虎之介をまっすぐに見据えて、灘いた。
「裏切れとか言っているんだから、そのくらいは教えてくれるんでしょ?逆に、それを聞かなきゃイエスもノーもないし」
「もちろん、これから話すさ」
虎之介は猫をなでていた手を大仰に左右に広げて、機嫌よさそうに、
「ボクはね、赤尾君。人は猫になるべきだと思っているんだ」
「は?」
「猫は素晴らしい、神が創りたもうた。至高の芸術だよ。あの愛らしさは、薄汚い人間なんか足下にも及ばない。そう思うんだよね」
「はあ」
「ボクは、猫のための世界を創りたいんだ。人が半猫化して猫に奉仕し、すべての猫が幸福に暮らせる世界。そう、そんな『猫のための千年王国』を建国したいんだよ!」
……。
どう反応しろと。
呆れ気味の僕にはお構いなしに、虎之介は熱っぽく持論を展開し続ける。
「人はいずれ、そのすべてがボクらが開発した薬で半猫化して、歓喜のうちに猫に奉仕する日々を送るんだ。猫は人に奉仕され、永遠の繁栄を迎える。それこそが、ボクが!!指す理想郷!素晴らしいだろう?こんな愚劣で独簿的で欺備に満ちた最悪の社会から、ようやく人類は脱却できるんだよ!」
「……えーと、その論でいくと、結局寝返っても僕に待っているのは猫化した日々なんですが」
「もちろんさ。それに何の不満があるんだい?愛らしい猫のために口々を費やし、一日中猫と触れ合い、猫のことを想って過ごせる。これこそ幸せの極地、もっとも心穏やかな人の在り方じゃないか!」
馬鹿ですか。馬鹿丸出しですか!交渉の機微とか駆け引きとか全部無視かよ!それを言っちゃって僕がなびくと本気で思ってんの!?
「もうその日はすぐそこまで来てるんだよ。そうだ、実際に見てみるといいよ。ホラ」
虎之介が合図をすると、下アが開いて、虚ろな目をした魚住さんが入ってきた。
「なっ……!」
「う、魚住さん!?」
同時に、僕と千紗が驚愕の声を上げる。その声に、魚住さんの猫耳がぴくりと反応した。
くっ、じゃああれはカチューシャじゃなくて本物耳か。
「もしかして、彼女の薬を中和して助けたつもりだった?違うよ。それは大いなる勘違いだって。こんな腐りきった世界で、競争とストレスに苛まれて、神経を磨り減らすような生き方をして、どこに幸福があるっていうの?ボクはね、そんな苦痛と退屈に満ちた生き方より、猫を愛でながら穏やかに過ごす生き方を提案しているだけなんだよ」
くすくすとさも可笑しそうにに笑って、虎之介は、
「前回連れてた女の子はずいぶん無茶な食べ方をしてたけど、どうなったの?こんな感じかな?」
ぱん、と手を叩いた、その瞬間、
「にゃっ」
と、弾かれたように魚住さんの目に精気が戻る。
魚住さんは一度室内を見回し、「にゃあ?」と首を傾げつつ、僕らの方へと歩み寄ってきた。そして僕の前で立ち止まり、一度小首を傾げて、僕の肩を押さえつけた。そのまま、僕に覆い被さるようにして顔を近づけてくる。
「え、ちょ、う、魚住さん……っ!?」
「な、な、何をやってるんですかっ!」
千紗が声を荒らげる、何って、こっちが聞きたいんですけど!
「ははは、赤尾君、すごい人気だね!言っておくけど、今の彼女はなんの指示も暗示も受けてないよ?素で、感情のままに、本能のままに行動してる」
ええっ!?
ってか、じゃあなんで僕の方に来るの!?魚住さんは虎之介に憧れてたはずなのに!
「理性で考えるから、ストレスが生まれるんだよ。理屈で考えるから、苦しくなるんだよ。そんなものは最低限でいい。ほら、魚住さんの無邪気で楽しそうな顔を見なよ。、幸せそうでしょ?人も、本能に従えばこんなにも解放される」
魚住さんは「にゃ?にゃ?」などと時折首を傾げながら、ほぼゼロ距離で僕の顔や首筋のあたりを嗅いで回っている。
うわ、ちょ、くすぐったい!
「な、な、りゅ、竜太さんっ!いくら猫耳だからって、デレデレしてる場合じゃないですッッッ!」
二人で始める世界征服〈3〉 (MF文庫J)です。
ネコミミです。水着です。スク水です。
何故かドラゴンの着ぐるみです。
だんだん積極的になってきてます。
そして敵が今までの味方になる為の前振り用の敵じゃなくなり一気に強くなります。
リンドブルムピンチ!
二人で始める世界征服〈3〉 (MF文庫J)
著者:おかざき登
イラスト:高階@聖人
僕こと赤尾竜太は、どこにでもいる本好きの高校生……のはずだったんだけど、クラスメイトの千紗の「お願い」を受け入れたせいで、スイッチひとつで巨大なドラゴン・リンドヴルムに変身できるようになってしまった。
リンドヴルムの姿でやることは、ずばり世界征服。
千紗=ラプンツェルと一緒に日々励んでます。そんなある日、僕たちのクラスに転校生がやってきた。
「わたくし、ドラゴンが大好きなんですの!」人の話をまったく聞かない迷惑千万なそのお嬢様は、なんとリンドヴルムのために転校してきたらしい……。
「ご機嫌よう!デーモンテイルの皆様、そしてリンドヴルムさん!」
土手の上に停めたリムジンから降りて高笑いをしている青いカスタム・ミニスカ着物にロボット装甲手足のこいつだ。
今日は半魚人どもの乗った装甲車バスの数は少なめで、馬鹿でっかいトレーラーを一台引き連れている。
「……今度は何の用だ、乙姫」
「もちろん、貴方を連れに来たのですわ!」
やっぱりか。やれやれ。
「何度来ても結果は同じだ。作業の邪魔だから帰れ」
「そうですっ!リンドヴルムは、貴女のところへなんか行きませんっ!」
とラプンツェル。
リトル・レッドフードはもう何を言うでもなく、あかんべーをしている。
「……不愉快ですわね、貴女たち。これだから品のない人たちはいやですわ」
「金にものを言わせて引き抜き工作するヤツにも品はないと思うけど!?」
リトル・レッドフードが揶揄たっぷりに言った。
いやしかし、真つ正面から交渉してくる乙姫の手口でも工作とか言うのかな……?
「ふん、よく回るロですこと。言うことを聞かないなら、カずくで聞かせるまで!」
言いながら、乙姫が手を挙げて何かの合図をした。
それに呼応して、トレーラーの荷台が、ぶしゅーっ、とか音を立てて開いていく。
「好条件を呑んでおけばよかった、と後悔しても遅くてよ!」
荷台から姿を現したのは、リンドヴルム状態の僕より一回り大きなゾウっぽい鉄塊。僕も含めて、それを見た全員が言葉を失っていたに違いない。
「さあ、今日は無理矢理でも連れて帰りますわよ!わたくしのペットとして!」
「誰がペットだッ!」
「問答無用ですわ。ご安心を、殺したりはいたしません。ふふ、反抗的な猛獣を時間をかけて手なずけるのもまた一興ですものね。ほら、そこ!撃たれたくなければ退いてらっしゃい!巻き込まれたら命はなくてよ?」
荷台からよたよたと不格好な鉄塊が降りてくる。なるほど確かにそれには翼が生えていた。その体に比べてあまりにも小さかったけれど。
その鉄塊には、確かに尻尾があった、むしろ五本目の足としての機能しか備えていないように見えたけれど。
その鉄塊の首はドラゴンのように長く、その先の頭には確かに角が生えていた。角は左右で大きさが違ったけれど。
その鉄塊の目には、僕のような牙はなかった。そのかわり、口からは機銃が覗いていた。
そして、その鉄塊には僕にはないパーツもあった、おそろしいことに、それは背中から突き出た戦車並みの砲身だった。その不細工な姿とは裏腹に、物騒この上ない装備だ。
「ラプンツェルッ、レッドフードッ、レッドキャップ隊もッ!手伝いに来てくれた皆さんを連れて急いで避難しろッ」
叫びつつ、似ても似つかない僕の偽物に向かう。メカ・リンドヴルムも、不格好な足を駆使して、がっしょん、がっしょん、と音を立てつつ器用に上手を駆け降りてくる。
ヤツの首が、つまり機銃が持ち上がった。
舌打ち。後ろにはデーモンテイルの仲間のみならず、一般市民もいる!それはつまり、意地でも弾丸を後逸はできないってことだ!
口の機銃が火を噴いた。フルオートの連なった銃声が響き、背後から銃声に怯える悲鳴がいくつも上がった。
僕は自ら銃身の前に出て二足で立ち上がり、翼を広げる。
鉛の弾が容赦なく僕の体に叩きつけられた。
痛い痛い痛い痛い!
さすがに拳銃よりも遥かに強烈だ。
「いい加減にしろこの出来損ないがッ!」
なんとか掃射をやめさせようと、翼を広げたまま銃弾の雨の中を突進する。
その僕の動きに対応して、メカ・リンドヴルムもちょこまかと足を動かして僕から遠ざかろうとしていた。そして、背中の砲身が仰々しく動いて僕へと向けられる。
マジですか。いや、それはさすがに洒落にならない。熱は無効化できたとしても、着弾の衝撃や爆風によるダメージは防ぎきれない予感。
くっ、どうする?
炎を吐けば……いやしかし、それで戦車砲の弾なんぞをどうこうできるものか?目くらましになったとしても、撃たれてしまったら色々やばい。僕に当たっても致命的だろうし、外れても着弾点によっては巻き込まれる人が出そうだ。
手詰まりか……。だったら、やりたくはないけど、体で受けるのが最善か……?
二人で始める世界征服 2 (MF文庫 J)です。
三人目のヒロイン龍造寺八都子さん登場です。
二人目は勿論ありすです。前巻の最後の方でさらっと仲間になってます。
もうめっさラブコメです。
二人で始める世界征服 2 (MF文庫 J)
二人で始める世界征服 (MF文庫J)
著者:おかざき登
イラスト:高階@聖人
僕こと赤尾竜太は、高校の入学式当日に、クラスメイトの女の子に声をかけられる。
「あの、覚えてませんか? 幼稚園のときおもちゃの指輪を探してもらった、千紗です」そう名乗った気弱そうな彼女は、地味だけど笑顔が可愛い、スタイル抜群の美少女だった。
声をかけられたことで仲良くなり、幼馴染みのありす、委員長の高槻もまじえて楽しい学園生活をスタートさせたが、ある日、千紗の両親が亡くなってしまう。「僕にできることがあったらなんでも言って」とはげますと、千紗はとんでもない“お願い”をしてきて……!? 問答無用のぽややん世界征服、始動!
「あの……自分でも、狡いなって思うんです」
「狡い?」
「はい。……わたくしは、ダメです。もたれかからずにはいられません。経済的には、片桐さんよりずっと恵まれているのに、です。……今、かなり自己嫌悪気味です」
「……いや、何のことかはよくわからないけど、ありすを基準に考えるのはどうかと思うよ?あいつの楽天家ぶりは、人類としては親格外だから」
「そんな言い方をしては呼哀相ですよ」
綺麗な長い髪をかすかに揺らして、久喜島さんはくすりと笑った。そして、
「えっと……、あの、少し、事情を説明しますね」
と切り出した。何というか、この話題はもう終わり、と一方的に言われた気がした。
「自分で言うのもどうかとは思いますけど、わたくしの両親はかなりの資産家でした。わたくしは一人娘でしたし、すでに遺言状なども川意してあった都合上、その資産の大半はわたくしが受け継ぐことになりました。相続税で半分持っていかれても、相当の額が残ります。……えっと、今のわたくしには、一生かけても、使い切る方法がちょっと思いつかないくらいの額です」
「それは……すごいね」
相続税で半分、という時点で億単位なのは間違いないだろうと思う。でも、都心に家でも買えば簡単に億単位の金額になるわけで、使い切るのが難しいとか言っている以上は、億は億でも相当桁が上なのだろう。まさか、兆までいってたり……?うーん、こんな大がかりな隠しエレベーターとかを見せられたら、ないと言い切れないから恐ろしい。
お嬢様だと聞いてはいたけど、どうやら僕の想像なんかは及ばない規模みたいだ。
「でも、……あの、思うんです。お金とか遺産とかより、もっと受け継がなければならないものは、志とか誇りとか、そういう遺志みたいなものなのではないか、って」
「うん、かもしれないね。立派な考えだと思うよ」
僕の言葉に、久喜島さんは嬉しそうに「ありがとうございます」と微笑んだ。しかし、すぐにしょんぼりとうなだれて、
「……でも、わたくしのような小娘についてきて下さる奇特な方はいらっしゃいませんでした。お父様とお母様が作り上げた組織は、わずか数日で瓦解してしまったのです」
つまり、会社とかの話だろうか。両親の事業を引き継こうとしたけれど、役員とか社員とかの反対にあって無理だったとか、そういう話……?
「大変だったね。で、それは何の会社だったの?」
「いえ、あの、会社ではありません。秘密結社なんです」
「……は?」
「ですから、秘密結社です。世界征服を目論む悪の秘密結社『デーモンテイル』、それがお父様とお母様が作り上げた組織なのです」
悪の秘密結社?世界征服?
え?ギャグ?もしかして、ここ、笑うとこ?
しかし、久喜島さんの顔は真面口そのもの。
……そういえば、このエレベーターも、冗談にしては凝りすぎている。もうずいぶん下り続けているし……いったい、どのくらいの深さまで掘ってあるんだろう……?
「あの、単刀直入に言います」
と、久喜島さんは僕の真っ正面に移動し、まっすぐに僕を見た。長い前髪の隙問から見える、形のいい大きな目。黒口がちなその瞳は、とてもひたむきで真摯だった。
「赤尾さんには、その、同志になって頂きたいんです。……新生『デーモンテイル』の一員として、わたくしの世界征服を、手伝ってほしいんです!」
……同士って。世界征服って。そんなムチャクチャな。
あまりに突拍子もない展開に、僕の脳はショート寸前まで追い込まれてしまった。
しかし、だ。よーく考えろよ?両親の影響で特撮が好き、ってことは両親も特撮が好きで、かつ、ちょっと使い切れないほどの資産を持っている。
そこから導き出される解は?
金持ちの道楽。贅沢に趣向を凝らした、壮大なるごっこ遊び……?
なるほど、そう考えれば少しは納得がいく。要は気晴らしの遊びにつき合ってくれる仲間を、彼女は探しているんじゃないのか?うん、きっとそうだ。あはは、常識的なところに踏みとどまれてよかったなあ、僕。
だとしたら、断る理山もない。ちょっと馬鹿馬鹿しい気もするけど、力になる、って..言い出したのは僕の方だしね。
「……うん、まあ別に構わないけど」
僕の返事に、久喜島さんは大袈裟なくらい頬を紅潮させて喜んでくれた。
「本当ですか……っ!?あ、あのっ、ありがとうございますっ!」
あまつさえ僕の手を両手でガッチリと握り、上下にぶんぶんと振りながら、
「あ、あの、すっごく嬉しくて……っ、ああっ、まるで夢のようです……!」
と、かなり興奮気味にまくしたてる。
「そんな大袈裟な」
僕が苦笑すると、彼女も幾分か冷静さを取り戻したらしい。
けど、僕の手を握っていたことに気づいて、せっかく取り戻した平静をあっさり放棄し、真っ赤な顔で慌てて手を放した。
「えっと、その……あの、……」
しどろもどろに何かを言いかけて、彼女はうつむいてしまった。さっきとは別の意味で、テンパッてしまっているらしい。
「あの、ご、ご、ごめんなさいッ!お祖父様ッ!」
久喜島さんがそう叫んだ瞬間、エレベーターの四方から何かが噴き出した。
「え!?な、何が……?」
なおも何かが噴出する「ぷしゅーっ」という音は続いている。驚いて久喜島さんの顔を見やると、いつの間にか彼女はガスマスク的な何かを装着していた。
……はあっ!?
エレベーター内が、噴出してきている何かで満たされていくのがわかった。頭がぼうっとする。ふらついて足がもつれた。バランスを失いかけたところを、ガスマスク姿の久喜島さんに支えられた。
何これ……?照れ隠しにも、ほどが……。
そして僕は、意識を失った。
二人で始める世界征服 (MF文庫J)です。
「はい、だって、とっても悪い事じゃないですか」
世界征服の第一歩として銀行強盗に行っちゃいます。
その銀行には他の強盗さんまでやってきます。
ありすかわいいよありす
「悪事を働くには優しすぎるのだ。我がデーモンテイルのお姫様は、な」
二人で始める世界征服 (MF文庫J)
ねんどろいど 初音ミク アブソリュートHMO・エディション (ノンスケール ABS&PVC塗装済み可動フィギュア)
劇場版“文学少女
ねんどろいど 97 雪ミク (ノンスケール ABS&PVC 塗装済み可動フィギュア)
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貼れないストーリーをこっちでやってます。
18歳以上の方向け……。
こそっと萌えようぜ
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迷い猫拾いました
大事に育ててくれますか?
え※ち猫オーバーにゃん!
拾った迷い猫と※なことをするCG集です。
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