著者:松智洋
イラスト:なかじまゆか
ある日突然、可愛い三姉妹と一緒に暮すことになったら?」
長女はツンデレ、次女は小悪魔系、そして三女は無垢で無邪気な三歳児。
いずれもそんじょそこらではお目にかかれない美少女(内一名、美幼女)だ。
まさに男の夢。
最高にハッピーな同居生活がはじまる……わけがなかった。
大学に合格し、新生活をスタートさせたばかりの瀬川祐太は新しい友人や憧れの人に巡り会い普通の大学生活を送っていた。しかし、姉夫婦の乗った飛行機が行方不明になった事から事態は一変。一人暮らしの六畳間に、中学生の空、小学生の美羽、保育園児のひなが同居することになってしまったのだ!いきなり思春期の少女達のパパになってしまった祐太の運命は!?
空ちゃんの口からアパート全体を揺るがすような悲鳴が響き渡った。
「どうも、すみませんでした」
そう言って、俺は玄関先で大家に向かって頭を下げた。
悲鳴を聞きつけてやってきた大家に事情を説明してなんとか注意だけで済んだものの、男の部屋に未成年の女の子がいることに少なからず難色を示していた。
去り際に言われた「くれぐれも問題は起こさないように」という言葉が耳に痛かった。
そして部屋に戻れば、今度は空ちゃんの突き刺さるような視線が待ちかまえていた。
「えーと……さっきはその……ごめん」
一瞬、なにか上手い言い訳がないかとも考えたりしたが、ここは素直に謝ることにした。
同居初日から変にギクシャクしたくはなかったし。
「……もういい。許してあげる」
その気持ちが伝わったのか、空ちゃんは溜息をつきながら言った。それから「狭い部屋だし、こういう事故もあるわよね……」と、まるで自分に言い聞かせるように眩いていた。
「お姉ちゃんってば気にしすぎだって。別に裸を見られたわけじゃないんだし」
「き、気にしてなんかないわよ!た、ただちょっと恥ずかしかったっていうか……」
そうしてまた、空ちゃんはもじもじとしながら傭いてしまう。
やっぱり年頃の女の子は難しいと、あらためて実感していた時。
こつん。と優しい音がした。眠気と重力に敗北したひなの頭がちゃぶ台とぶつかった音だった。その寝顔だけで、いままでの緊張が不思議なほど流されていく。
「ひなもあんな感じだし、とりあえず寝る準備をしようか」
さて、提案したものの問題は誰がどこで寝るかだ。
ひとまずスペースを確保するためにちゃぶ台を部屋の隅に片してみる。
「あ、しまった。布団一組しかない」
しかも仁村が自分専用に置いていったやつだ。
男性用の大きめサイズだけど、さすがに三人で眠るには狭いだろう。
「よし、こうしよう。空ちゃんとひなは、こっちのベッドで寝てくれ。そんで、美羽ちゃんはその布団を使えばいい」
「え……じゃあ……」
「俺は適当に床で寝るよ」
「そ、そんなのダメ!」
空ちゃんが焦ったように言う。
「そうですよ、いくら夏だからって風邪ひいちゃいます」
「座布団の二、三枚でも敷けば大丈夫だって」
実際ついこの前まで仁村はそうやって寝ていたし。
だけど、空ちゃんはどうしても納得できないらしく固い表情のまま口を開く。
「……やっぱり私たちだけベッド使うなんて、ダメ」
「でも、しょうがないじゃないか」
「あ、いいこと思いつきましたっ」
すると、美羽ちゃんがぽんと手を打って言った。
美羽ちゃんの言う「いいこと」とは、実に簡単で、でも少し困った提案だった。
「これでみんな布団の上で寝られますよね」
「う、うん……まあ……」
折りたたみ式のベッドを片付けて、二つの敷き布団をくっつけてしまった。
これで全員が寝られるスペースは確保できたものの、俺としては三姉妹と同じ布団で寝るようなもので、正直ちょっと落ち着かない。
「おーじーさん♪やっぱり真ん中に来なくてよかったんですか?」
「いやいやいや、そこはひなの場所だから」
からかうような美羽ちゃんの口ぶり。
ひなを間に挟むようにして横になる姉妹。
その隣で、俺は小さく身を縮めて眠ることになった。いや、別に縮こまる必要なんてないんだけど、なんとなく彼女たちとある程度の距離を保たないと落ち着かないというか……
……いかんいかん。早いとこ寝ちまおう。
次に開ける時は日が昇ってからだ――とばかりに固く目を閉じた。
……
って、ぜんぜん眠くないよ!
普段は日付が替わる前に横になることなんてほとんどないし、なによりも隣には女子中学生や女子小学生が寝ているという未知の状況が俺のことをちっとも落ち着かせてくれない。
ていうか、一番の問題はこの部屋に充満するなんとも言えないイイ香りだ。
コンビニから戻って来た時からすでに気づいてはいたが、我が家の狭いユニットバスで三人もの女の子が入浴するとまさに部屋全体が風呂場にでもなったかのように香りが広がってしまうらしい。結構長い時間入っていたらしいし、上がってからも長い髪を乾かすのにずいぶんと時間がかかっていた。
不思議なもんで、並日段嗅ぎ慣れてるはずのシャンプーやボディソープの香りが女の子の体から漂ってくるというだけでまったく違うモノに感じられてしまう。
これなら床で寝た方が気がねしなくていい分まだマシだったかもしれない。
こういう時はあれだ。古来より伝わる秘技"羊を数える"だ。
ベタな方法だが、長く受け継がれているということは、それだけの信頼と実績があるということなのだ。たぶん。きっと。
というわけで、頭の中で一匹ずつ羊が柵を飛び越えていく光景を想像しながら数えていく。
「羊が一匹、羊が二匹、羊が三匹……」
そうして我が牧場の羊の数が三桁の大台を超えた時、事件は起こった。
「う、ううん……」
そんな声とともに、何かが俺の上に覆い被さってきた。
「え……ちょ、ちょっと空ちゃん……!?」
転がってきた空ちゃんが、抱き枕よろしく俺の体にしがみついてきたのだった。
「あの、ちょっとこれはいろいろとマズイっていうか……」
「んー……やだあ……」
「おおう!?」
成長期に突入したばかりの十四歳とはいえ、女の子の体というのはどうしてこうも柔らかいのか。正直ちょっと寂しいと思っていた胸なんかも、こうして密着してみると案外膨らんでいたりして……
「って、なにを考えてるんだ俺は!?つーか、ほんとにマズイって!」
「うるしゃい!」
バシッ!
「あだ!?」
顔面を引っぱたかれてしまった。
さらに空ちゃんは放さないとばかりにきつく抱きついてくる。
ど、どうしたらいいんだ?
パパのいうことを聞きなさい! (集英社スーパーダッシュ文庫)です。
叔母さんはそこで一旦言葉を切ると、これまでより強い口調で言った。
「はっきり言います。アナタには無理です」
金銭、学校、生活、叔母さん、妙にリアルです。
でもそこはライトノベルです。
常にフフン♪とした方向に持って行ってくれます。です。
迷い猫オーバーラン!とは違った楽しさです。
空ちゃんの嫉妬っぷりがよろしいです。な。
パパのいうことを聞きなさい! (集英社SD文庫) (ライトノベル)
「触っちゃだめー!」
カゴに手を伸ばそうとした俺を、鋭い声が制止した。
「空ちゃん、どうしたの?」
「い、今すぐそこから離れて!」
いぜんとして、空ちゃんは鋭い口調で俺の一挙手一投足に注意をはらいながらふたたび制止した。
空ちゃんというのは、つい最近、俺と同居することになった14歳の美少女だ。
なぜそうなったのかという話は、長くなるのでここでは割愛する。
ただまあ、今、この俺を噛みつかんばかりに顔を真っ赤にして睨んでいるのが、俺の新しい家族のひとりだということだけ、理解してくれればいい。
「で、でも……」
「でもじゃないですっ! すぐに離れなさーいっ!」
彼女が俺を遠ざけようとしているのは、我が家の狭いユニットバスの隅に置かれたカゴだ。
いわゆる洗濯カゴ。汚れ物の集積地だ。
書き下ろしweb限定短編小説「コインランドリーの受難」もどうぞです。
著者:松 智洋
イラスト:ぺこ
二年生になった巧たち迷い猫同好会は、意外な展開に驚いていた。
部室に入りきらない程新入部員が集まったのだ。大喜びの千世だがその為に他の部活動に人が集まらず、部員を選抜することに。
結果、新入部員は二名に絞られてしまう。
しかもその二人、一癖も二癖もある迷い猫だったのだ。その間にも気持ちを確認してしまった文乃達は、微妙な距離に悩んでいた。希達の恋の行方は?
(公式ページの書き下ろしひとこま漫画より)
アニメ話で熱中して、つい手が止まっていた。
「本当ですね。早く仕上げましょうか、都築先輩」
「だな!」
俺と十和野は慌てて、背景セットの仕上げに入る。でもさっきからアニメ話で盛り上がってしまった勢いは、どうにも止まらない。
「そういえばさ、違うアニメの話だけど……」
今流行の学園闘争アニメについて話題にする。
ヒロインが可愛くて、同じ部活の子たちとわいわいきゃあきゃあしながらも、各部対抗頂上決戦をしている話なんだが、どうにも幼馴染みとくっつきそうで、最近は少しハラハラしてる展開なんだ。
「あれはできるなら、最終回までヒロインは幼馴染みとくっつかないでいてほしいよなあ」
そうは思うものの、なんか告白フラグが立ちまくってて、戦々恐々だ。
その思いを十和野と分かち合えれば、と思ったのだが。
「……待ってください、今なんて言いました?」
「え?」
十和野の声のトーンが、三つほど下がる。
「ヒロインと幼馴染みがくっつくわけ、ないじゃないですか」
十和野が剣呑な目で睨んでくる。
……ああ、これはよく見るもんだ。
『だって、モモたんはオレの嫁!』症候群。
うんうん、家康もよく言ってるよ。
「だよなあ、やっぱりヒロインは誰ともくっつくわけが……」
「彼がくっつくのは、敵の部の部長に決まってますっ!!!!」
はい?
「あの二人は敵同士でも、熱い想いを密かにはぐくんでいるんですっ!だから合宿の時に彼の出番が少なかったじゃないですかっ!何見てるんですかっ?あれは二人がこっそリデートをしてたんです、こんなの当たり前のことですよっ!」
……なんですと?
「えっと……あいつが合宿に来なかったのは、単に夏休みだから田舎に帰ってるって設定だよな?」
「表向きに決まってるじゃないですかっ!秘密の恋人ですよっ!おおっぴらにデートしてるって言えないから、言い訳にそんなことを言ってるんですっ!」
「い、いや、でもあの部長って彼女がいるはずだし……」
「そんなもの知りませんっっっ!!設定なんか脳内消去で終わりですっっっ!!」
俺の目の前で、ぜえはあと、肩で息をつくのは、だ、誰だ?
えっと、ちなみにここで一つ補足しておいてもいいかな?
ヒロインの幼馴染みっていうのは男だ。
んでもって敵の部の部長っていうのも……男。
でも十和野は二人ができてると思ってて?秘密の恋人……ってナンデスカ?
「えっと……」
「ああもうっ、先輩は何を見てるんですかっ!」
まだ十和野は興奮中。そうだ、たしかこういう子をなんとかって言うんだ。
俺たちが、アニメ好きじゃない奴らから、キモオタとか呼ばれるように。
ええっと。
ええっと……。
ああ、そうだ!
「腐女子だっ!」
思わず、十和野を見つめながら言ってしまう。その瞬間、ついさっきまで熱弁をふるっていた十和野が動きを止めた。
「あっ」
目を見開いて、自分の口を手で塞ぐ。
「わ、わたし、今のは……そのっ!」
真っ青になった顔で、俺を見つめながらも、その表情はどんどん悲愴なものになっていく。
「ち、違いますっ、今のは都築先輩の話に、あ、あ、合わせようとして……だからっ、わたしは、別に興味もなくてっ、なにもないっ、なんでもないんですっ!」
オタクだってばれたとき以上の、激しい反応に、俺も慌てる。
「ちょ、ちょっと待った。別に俺は十和野が腐女子でも気にしないからっ。そんなこと言ったら家康となんて付き合ってられないし、それに、えっと、梅ノ森!あいつもオタクだからさっ」
「……えっ、梅ノ森先輩も……?」
「男同士のカップルとかで、キャーキャ⊥言ってるところは見たことないけど、あいつもアニメとか漫画好きの立派なオタクだぞ」
「……っ」
十和野が一瞬安堵しかけた表情を、またこわばらせる。
「……それじゃあやっぱり、梅ノ森先輩はわたしと違うじゃないですかっ!そうやって安心させてわたしを騙す気なんでしょう」
「ちょ、ちょっと十和野。落ち着けって」
「今までわたしに妙に近寄ってきてたのも、本当はオタクだ腐女子だって笑うつもりだったんですねっ!」
怪我を負った猫が、必死になってその傷を庇うようだ、なんて思った。
「本……見てないって嘘でしょう?ホントはずっと気づいてて陰でバカにしてたんだ……」
「ええっ!?」
本って前に十和野が落とした本?
慌てて隠したのは、その種の本だったからなのか!?で、俺が一番拒絶されてたのも、その理由はもしかしてそれですか?
そう言われれば、商業誌にしては妙に薄くて、教科書みたいだった。あれ同人誌か!?
「~~~っ」
うっすらと目の端に涙を溜めて、十和野は俺を睨みつける。俺もなんて声をかけていいのかわからなくて、十和野を見つめてしまい、二人でなんだか身動きが取れなくなってしまう。
バカにしてないし笑ってないし騙してない。
そう言っても、多分過去にそうされて傷ついた十和野が、信じてくれるとは思えなくて……
――つんつん。
ちょうどその時、制服の裾が引っ張られた。
「……にゃあ、巧」
トンカチを両手に持った希だ。
「ど、どうしたんだ?」
「……わたしも大道具を手伝う、巧と」
「あ……」
「……巧とわたしと心の三人ですれば、大丈夫。ちゃんと作れる」
希が右手のトンカチを、十和野に渡すと、傍目には変化がわかりにくいだろうけど、希はその口の端を上げて、確かに十和野に微笑んだ。
「……なかよし」
「わ、わたしは……、わたしは……」
十和野の顔が、どんどん赤くなる。
「ゴメンな、十和野。俺が変なこと言って嫌な気にさせちゃったよな。よかったら機嫌を直して、俺たちと一緒に頑張って大道具を作ろう」
「……えっ?」
「俺も今年の正月に、家康たちが聖地巡礼で年越し参りしてきたって聞いたときは、うわーっ、て思ったのに、その後に録画してもらってたアニメの神回を見たら、来年は俺も一緒に聖地巡礼に行くぜー、とか言ってたもん。やっぱ興奮すると、アレだよな、止まらなくなるのが俺たちのサガだよ、サガ」
十和野の爆走はちょっと驚いたけど、家康に変換したらあんまり大差ないって思える。
「……都築先輩……」
「ほら、一緒に大道具頑張ろうな」
精一杯にこやかに、十和野にそう話しかけた。仲間だよって気持ちを込めて。
一瞬、十和野の目から険が消えた、と思った途端。
「おおっ、さすが我が親友!十和野までも手中におさめたかっ!?」
迷い猫オーバーラン!〈7〉拾ったらいいじゃないですか! (集英社SD文庫)です。
選りすぐりのオタクな新入部員男女1名づつ追加です。
巧ハーレムに参加するのか?
しかし男子部員が不憫です。
男子部員と家康とのTrueRootとかも入れてあげて下さい。です。
それは、迷い猫同好会に新しく入った、十和野心の一言から始まった。
「あ、あたし、このお店でバイトしたいんですけど……」
web限定特別書き下ろし『ストレイキャッツにおけるアルバイトの心得』もどうぞ
![迷い猫オーバーラン!〈7〉拾ったらいいじゃないですか! (集英社SD文庫)](http://pics.dmm.com/mono/book/library/bkt32321900/bkt32321900ps.jpg)
迷い猫オーバーラン!〈7〉拾ったらいいじゃないですか! (集英社SD文庫) (ライトノベル)
著者:わかつきひかる
イラスト:里海ひなこ
1億円でお金持ちに「買われて」しまった大黒天(あまね)。
でも彼を買ったのは小さいころ結婚の約束をした伊集院千早お嬢様だった!千早は天にメイドとして働くことを強要。
メイド服に身を包んだ天は清楚で愛らしい女の子に大変身!その日からメイドとして働く天だが、どうも彼の遺伝子が狙われてるらしく、あちこちから迫られ大ピンチ!
「疲れた?」
希実子が聞いた。
天は無言でうなずいた。
窓拭きは大変だった。窓拭き用のクリーナーでくるっと拭いたらハイ終わり、ではなく雑巾でいちいち拭いていかなくてはならなかった。
なにしろ凝ったつくりの洋館なので、斜めや円形に桟が入っていて、小さなガラス窓がたくさんはめこまれている。メイドさんが一枚一枚拭いていくしか方法がないのである。
疲れているのだろう。紅茶の甘さが舌に残り、なぜか苦く感じてしまう。
「あのう、天くん、紅茶、それぐらいにしておいた方がいいですよぉ」
「ダメよ。桜子さん、言わないで」
「でも、希実子先輩、やっぱりそういうの、良くないと思うんですぅ」
メイドさんたちが言い争いをはじめた。
思考力が落ちているのだろうか。ふたりが何を言っているのかわからない。
天は紅茶のカップを机に置き、クッキーに手を伸ばした。
―意外だな。桜子さんが希実子さんに反論するなんて……。なんか、桜子さんって、気が弱そうに見えるのに。
あくびが漏れた。
―眠いな……。
頭がズキズキして痛い。
今朝は二時間ほどしか眠っていない。眠くなって当然だ。
手からぽろっとクッキーが落ちた。
ほんの一瞬だが、船を漕いでいたらしかった。
「天くん。眠いなら、部屋で昼寝してきたらどうかな?碧さんはしばらく伝票整理だし、ディナーの用意までまだ少し時間があるわ」
「でも、千早ちゃ……お嬢様が帰ってきたら、忙しくなるんですよね?」
「大丈夫よ。忙しいのはお嬢様付きのメイドだけだから」
そういえば、碧も、おやつ休憩のあとは少し休んで良いと言っていた。
「そっか、だったら僕、寝てきます」
天はフラフラしながら立ちあがった。
飲んでいたカップを流し台に置き、洗って伏せるのもそこそこに、よろよろした足取りで休憩室を出る。
「効いてるわね」
「効いてますですぅ……」
休憩室を出る寸前、希実子がうれしそうに、桜子が不安そうに話していたような気がするが、急激にやってきた睡魔が思考力を奪う。
よほど意識しないと、波のように押し寄せてくる眠気に溺れてしまいそうだ。
天は、目をこすりながら廊下を歩いた。
「はー、やっとついた……」
部屋に戻った天は、ベッドにバタッと仰向けになった。
メイドさん用の狭苦しいベッドは、天の小柄な身体をやわらかく受け止めた。
廊下で行き倒れになるのではないかと思うほど、睡眠欲求は強烈だった。
どうにか部屋に戻ってこれて安堵する。
ベッドに仰向けになると、もう次の瞬間には、眠りの淵へと引きずりこまれた。
―なんかおかしい……。
確かに疲れているし、睡眠不足なのだが、この睡魔は強烈すぎる。
―効いてるわね。
希実子さんはそう言っていた。
紅茶はやけに甘く、そして苦かった。まるで薬みたいに。
紅茶を滝れてくれ、昼寝するように勧めてくれたのは希実子さんだった。
―さっきの紅茶、何か薬が入ってた?希実子さんが薬を盛った、とか?
―まさかね。
眠りに落ちる瞬間、そんなことを考えた。
天のメイド部屋のドアが静かに開いた。
希実子がそうっと忍びこんできて、入口でもたもたしている桜子を手招きする。
桜子がこわごわと天の部屋に入ってきた。
ふたりの先輩メイドは、ベッドの脇に立ち、髪飾りのカチューシャもメイド服のエプロンもそのままでぐっすり眠っている天を見下ろす。
「ふふ……よく寝てるわね」
ひそめた声で希実子が言った。
「天くん、ほんとにかわいいですう。まるで眠りの森のお姫様みたいですぅ」
著者:松 智洋
イラスト:ぺこ
大吾郎と珠緒のラブラブにあてられて、文乃、千世、希は羨ましいと思いつつ、まだ牽制しあうばかりの日々。
そんな中、夏帆の活躍で同好会は盛り上がっていく。
卒業式を経て、同好会は卒業旅行を計画。しかし、そこには夏帆の危険な思惑が。
唯一、夏帆の策謀に気づいた文乃の孤独な戦いが始まる!?同好会の命運はいかに。
文乃の親友、叶絵が投げつける課題に巧はついに、男の決断を迫られる!?
「いいわけないでしょうが……」
顔を上げると、そこにバスタオルを巻いた魔王がいた。
「ふ、文乃!?いや、これは、違うんだ!」
「なにが違うってのよこの変態!二回死ねええええええええ!」
怒鳴り声と同時に飛んできた桶が俺と家康を撃沈する。
かくして勇者たちは魔王文乃の強大な魔力の前に散るのだった。
「まったく!ぜんぶ丸聞こえなのよ!」
文乃は鼻息荒くつぶやくと、ふたたび湯舟に浸かった。
「ていうか、あいつらバカなの?死ぬの?」
怒りが収まらないのか、文乃は湯舟の中で足をジタバタさせる。
「私は巧がこっち来てもかまわないけどー」
「乙女さん!」
「……にゃあ。わたしも別にかまわない」
「の、希!?」
「私も大ちゃんとなら……きゃっ♪」
「み、みんなどうかしてるわ……」
「いいじゃん、裸のひとつやふたつぽーんと見せちゃえば。そしたら巧っちも、草食系男子の皮を脱ぎ捨てちゃうかもよ」
「か、かか、叶絵!」
いつの間にか自分の方が少数派になっていることに文乃は驚愕する。
だいたい、みんなはどうしてそう平然としていられるのか。
こっちは露天風呂に来てからというもの、あの薄っぺらの今にも壊れそうな柵が気になって仕方ないというのに。あの柵の向こう側に巧がいる。
なんだか、それだけで恥ずかしいような……。
そういえば、さっきは夢中だったけど巧、裸だった!?
うあああっ、あたしってばなに考えてんのよ!
「おやあ、文乃さん、なにを思い出してニヤニヤしてるのかなあ?」
「な、なにも思い出してないわよ!」
「またまたあ、素直になりたまえよ。しばらく見ない間にすっかり逞しくなっていた幼馴染みの肉体に劣情をもよおしたと」
「れ、劣情……変なこと言うな!」
文乃に怒鳴られても叶絵はけらけらと笑って意に介さない。
「文乃はわかりやすいねえ。ほれ、千世ぽんもなんとか言ってやんなよ」
「……」
「って、あれ?」
干世は、湯舟から顔の上半分だけをのぞかせてなにやらひとりでブツブツと咬いていた。
叶絵が呼びかけても気づいた様子がない。
「おーい、千世ぽーん?」
「なんか……ずるい。みんな……おっきい……希すらも……くやしい……」
「はあ?」
叶絵が呆れているのも無理はない。小学生にしか見えない金髪の美幼女は、湯船に浮く大小様々な形のいいおっぱいに、男子以上の衝撃を受けていたのだった。
「くっ……くうううっ、くじけちゃ駄目よ。あたし!いつかきっと、あたしだってぽいんばいーんのぼっきゅっぼーんに……そして目指すはエベレスト最高到達点……乙女越え!」
乙女の大きく形のいいおっぱいを親の仇みたいに睨みつつ、ひとり身悶える千世であった。
「はあ……」
ひとり騒がしさから逃れて、夏帆は密かに溜息をつく。
どうも勝手が違う。みなのテンションについていけない。
それに普段のお風呂は、基本的に湯殿担当のメイドたちに任せていれば全身を綺麗に保ってくれるし、マッサージに保湿クリーム、その日の気分によってはハーブのサウナに岩盤浴までその場で指示できる。リラックスする音楽をかけて、静かな時間を過ごすのが日課だった。
考えてみれば、自分で身体を洗ったことなど学校で行われる修学旅行の時くらいしかないし、その時だって他の生徒は夏帆が入浴している間は遠慮して入ってこないくらい気を遣っていた。それが当然だと思っていた。
なのに、今は会話に加わるタイミングすらはかれずにいる。
「夏帆?どうかしたの?」
「え……いえ、なんでもありませんわ」
ハッと我に返った夏帆は、心配そうにこちらを見ている珠緒にいつもの笑顔を返す。
大勢でお風呂に入るなど、夏帆には生まれて初めてのことだった。
自分がひどくか弱くて無防備な存在になったような気がする。
「むっふっふっふ……えいっ♪」
「ひゃあ!?」
突然、誰かに後ろから胸を掴まれて、夏帆は思わず悲鳴を上げた。
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こそっと萌えようぜ
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迷い猫拾いました
大事に育ててくれますか?
え※ち猫オーバーにゃん!
拾った迷い猫と※なことをするCG集です。
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