著者:志瑞祐
イラスト:絶叫
大勢の動物たちを一緒に引き連れて、はるばる私立森野学園にやってきた、ちょっと無愛想だけどめちゃくちゃキュートな女の子、ホリン・シャレイリア。
なんと彼女は由緒正しきドルイド(=自然の守り手)の一族なのだ。
ほろりアリ、ポロリもアリ(?)のハイテンションコメディ第3弾。
……漂う浮き輪をつかまえながら、これは前途多難そーだなー、と思っていると、
「おーい、なにやってんだ。沖は危ないって吉野が言ってただろ!」
どこかで見覚えのある男子生徒が、ボートに乗ってやってきた。えーっと……
「須田だ!」
「……あーもうっ、また先に言われた!なにしにきたのよ須田!」
「沖のほうはハマチが出るから危ねーって注意されてただろ!」
「ハマチ?あー、そーいえば……」
そんなこと言ってたよーな……
あたしがぼんやりと思った、そのとき―
「きゃあああああっ!」
だだっ広い海に、法香さんの悲鳴が響きわたる!
「……っ!」
声のしたほうを振り向けば、そこには―
ものすごいスピードで海面を走る黄色い背びれ。
「ハ、ハマチッ!」
ハマチであった。まるでサメのよーな泳ぎ方をするハマチであった。
どんどんこっちへ近づいてくる!
「ひいいいいいっ、シャレイリアっ、なんとかしてよ!」
「む、私はお魚とは仲がよくないのだ!」
「ああっ、そっか!」
髪をくしゃくしゃかきまぜる。と、
「あなたたち、はやくボートへお逃げなさい!」
「法香さん!?」
見れば―
法香さんが髪を振り乱してハマチの背にまたがっていた。
「ここはわたくしが足止めしますわ!」
「でも、それじゃ法香さんが」
「いいからっ、シャレイリアさんを連れてはやく―」
「キシャーッ!」
おそろしい咆哮を上げ、法香さんを振り落とそうともがく巨大ハマチ。
「きゃああああああっ!」
「法香よ、いま助けにゆくそー」
勇ましく叫び、シャレイリアは必殺の鈷―”ゲイ・ボルグ”を振りかざす。
パシャパシャパシャ。
「……」
パシャパシャパシャ。
「……むう」
って、ぜんぜん前に進んでないし!
「ええいっ、貸しなさい!」
「む!」
シャレイリアの手からゲイ・ボルグをひったくると、ハマチへ向かって突進する。
ハマチは弧を描くように旋回しふたたび、こっちへ向かってくる!
あたしは水中でしっかりと鈷を構える。魚の弱点は腹だ。
と、そこへ
「夏穂、魔槍ゲイ・ボルグはケルト魔術の使い手にしか扱えぬのだ!」
「そ、それを早く言えーっ!」
巨大ハマチが眼前に迫る。
「……っ!」
ぽっかりと、暗い口を大きくあけてあたしを呑み込もうとした、寸前―
ピシャ――ンッ!
「……え?」
叩きつけるような音がして、ハマチは遥か彼方へ吹っ飛ばされた。
「……な、なに?」
あたしが、きょとん、としていると。
「ぷはあっ、委員長!」
法香さんが水面に顔を出した。
「い、いま、海底から大きな触手のようなものが」
「触手?」
眉をひそめ、訊きかえす―と。
「いやああああっ、らめえええええええっ!」
「……っ!?」
背後で上がった悲鳴に振り返れば―
「須田!」
吸盤つきの触手に絡みつかれ、あられもない格好で悲鳴を上げる須田翔太(十四歳・♂)の姿がそこにあった。
「タコはらめなのおおおおっ!」
「ああっ、須田の、須田のパンツが大変なことにっ!」
「いやああああっ、見ないでえええええっー」
「なんという誰も得しない光景!」
「むしろ損ですわ!」
両手で顔を覆いながら叫ぶあたしと法香さん。
「こらーつ、シャレイリアとかわれーっ!」
「わ、夏穂っ、なにを言っているのだ!」
と、そんな状況の中―
「あ、なんか大物がかかったよっ!」
あくまでマイペースに釣りをしていた雪那が声を上げる。
見れば。巨大なカジキが、ボートに乗り上げてピチピチしていた。
「な、なんでカジキが……」
「きゃああああああああっ!」
「こ、こんどはなに!?」
振り向くと、法香さんが透明なぶよぶよしたものに襲われている。
「……エ、エチゼンクラゲ?」
「……っ、こんなものっ、神代流奥義〈クラゲひしぎ固め〉でーきゃああああ!」
ぬめぬめぬめぬめ。
……うわー。なんかどんどん絡みつかれてるし。
「法香さん、クラゲに関節技は間違ってるよ。その奥義考えた人はアホだよ……っていうかっ!いったいなんなのよ、この状況は!」
叫び、あたりを見まわせば
カツオ、マグロ、アナゴ、ヒラメ、エイ、タコ、イカ、マンボウ、オウムガイ………まわりをいろんな海の生き物に囲まれていた。
それも、一匹一匹が異様に巨大だったりする。
やってきたよ、ドルイドさん!3 (MF文庫J)です。
夏だ!海だ!触手だ!です。
タコにクラゲに絡まれます。
鰯になったつもりでお楽しみ下さい。
やってきたよ、ドルイドさん!3 (MF文庫J)
著者:本田 透
イラスト:桐野 霞
与八雲は、知ってしまった。クラスメイトのおっかない学園最強少女・流鏑馬剣が、実はらぶりぃでふぁんしぃな作風の新人ライトノベル作家・姫宮美桜だったという恐ろしい秘密を……
おかげで、正体を隠し通そうとする剣に「口外したら命はない」と脅される羽目に。
そんな剣だが、実は大スランプで新作ラブコメの執筆がまるで進んでいなかった。
八雲の従姉にして剣の担当編集・心夏は何を思ったか剣に「八雲と彼氏彼女ごっこして恋愛経験を積め~!」と言いだす。
はたして二人の運命は……。
〆切り破りから始まるラブコメディ、スタート!
「それはもしかして」
「う、うむ。これは私が早起きして作った手弁当というやつだ。なっちのメモに《お昼はヒロインが作った手弁当を屋上で一緒に食べること》と書いてあったからな」
「そ、そうか。俺が貰ったメモには昼食のことは何も書かれてなかったな……」
八雲は青空を見あげた。
まさか、剣が作ったお弁当を自分が学校で食べることになるとは思わなかった。
嬉しいような恥ずかしいような。
しかし、よくよく考えてみると、剣の料理の腕前はどうなのだろう、と気づいた。
「そなた、何だその視線は。よもや、私が料理音痴だとでも思っているのではあるまいな」
睨まれた。
「い、いや。そんなことはないさ。ははは……」
「そなたの好みがよくわからなかったので、洋風、和風、中華風の三段組み弁当を準備したぞ」
「それで重箱を重ねていたのか……凄いな。でも剣のお弁当は?」
「はっ?しまった。そなたのお弁当を作るのに夢中で、自分の分を作り忘れてきたっ!?」
剣が真っ青になって立ち上がろうとするのを、八雲が「まあまあ」と止めた。
「わ、私は何と愚かなのだっ!今から家に戻って大至急で自分の分を作らねばっ」
「いいよいいよ。俺一人じゃ三人前も食べられないから、二人で弁当箱をつつこう」
「う、うむ。それもそうだな……そなたはなかなか優しいところがあるな」
一日に大量のカロリーを消費する格闘家じゃあるまいし一人でこんなに食えるわけないだろ、
と八雲は突っ込んだ。
「それにしても剣がいつも自分で弁当を作ってきてるなんて、意外だったな」
「どういう意味だ。ちなみに私が弁当を自作したのは、これが生まれて初めての経験だぞ。どうだ、嬉しいか。私の生涯初作品を食べられる自らの幸運に感謝するがよいそ」
水筒のお茶を八雲の紙コップに注ぎながら、にこにこと嬉しそうにうなずく剣。
八雲の背中に、冷や汗が流れてきた。
見た目は割と普通の弁当だが……。
「ところで……な、なっちのメモには、《「あ~ん」をやりなさいっ》と書いてあるが……ど、どうする?八雲が恥ずかしいというのなら、私は遠慮してやっても構わぬぞ?」
「「あ~ん」って何だよ?」
「そなた『あ~ん」も知らないのかっ?『あ~ん』というのはだな、男の子のほうが口を開けるのだ。餌を待つひな鳥のように。そして、女の子がお箸でおかずを取って、男の子の口に入れてあげるのだ。う、ううう。せっ説明してるうちにどんどん恥ずかしくなってきたではないかっ」
八雲も聞いているうちにとてつもなく恥ずかしくなった。
「今どき、そんな古典的な食事スタイルを実行する人間がいるかな?」
「古典を軽視するな。ライトノベルにおいては、古典的なスタイルが重視されるのだぞ。古き良き日本の伝統というやつだ」
「ちょっと違う気もするなあ……まあいいや。恥ずかしいけど、一度試してみるか」
「う、うう。そなた、少しは遠慮しろっ。私のほうが百倍恥ずかしいのだぞっ」
文句を言いながら、剣がハンバーグ(のようなもの)を箸でつまんで、水面に浮かんだ金魚の要領でどうにか口を開いた八雲へと身を乗り出して接近する。
「ほ、ほら。さっさと食べてくれ。「あ~ん」……」
剣の端正な顔が至近距離に迫ってくると、八雲の心臓の鼓動がまた高鳴った。
大きなツリ目。長い聴。整った細い眉。まっすぐな鼻。
そして薔薇色の、こぶりな唇。
口さえ開かなければ、やっぱり剣は「椅麗な生き物」だった。
こうして困ったように眉をさげていると、美しい造型の上に女の子らしいかわいさがプラスされて、八雲の生物学に特化したボキャブラリーでは形容する言葉すら見あたらなくなる。
八雲は、俺って幸運だなあ、と思いながらハンバーグ(のようなもの)を頬張った。
「ど、どうだ?ときめいたか?ときめいたであろう?だが、わ、私を本気で好きにならないでくれ、八雲」
「……もぐ……」
一口、ハンバーグ(のようなもの)を咀噌した瞬間に。
八雲の脳が、スパークした。
!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?
「~~~~~~~~~~~ッッッッッッ!!!!!!」
銀河が裂けた。
大空が泣いた。
間違っていた。明らかに、味付けを間違っていた。
「……まっ……ままままま、まずっ……」
何だこれは。母さんが作るハンバーグと全然違う。雲泥の差だ。
まずい料理というものを食べ慣れていない八雲は、シートの上にどさりと倒れた。
「おお。いい感じのリアクションではないか入雲。そうだそうだ。ここは、お弁当のあまりのまずさに男の子がいったん悶絶しなければならぬのだ。だんだん学園ラブコメらしくなってきたぞ」
なぜか満足そうに腕組みしていばりはじめる剣。
「しかし少々大袈裟だぞ。この私が真剣に作った料理がそこまでまずいはずなかろう。はっはっは」
「ちっ。違う。演技じゃない。みず、水っ」
「もちろん、男の子は彼女が一所懸命作ってきたお弁当を文句一ついわずにたいらげなければならぬ。そして、女の子は後から自分のお弁当をつまんで食べてみて、実は塩と砂糖を間違っていたことに気づくのだ。かくして、女の子は彼の優しさを知ってますます好きになっていくというわけだ!」
「うるせえ、こんなまずいもの食えるかっ!俺は現実の人間だぞっ味覚だってあるんだぞっ」
「そう照れずにもっと食え。ほら、あ~ん」
転がって悶絶している八雲の上に、剣がのしかかってきてハンバーグ(とは似て非なるもの)を再び八雲の口に押しこもうとする。
とてもじゃないが逃げられない。腕力じたいは八雲のほうがあるはずだが、剣は人体の動きを封じる急所を心得ているらしい。
このままでは料理が破滅的にまずい上に剣の胸がいちいち身体に押しつけられてきて、二重の意味で生き地獄だ。
諦めた八雲は、泣く泣く「あ~ん』攻撃に耐えた。
結局、一人で三分の二ほどをたいらげた。
動けなくなってシートの上に仰向けになり、青空を見あげた。
白い鳩がぱたぱたと飛んでいくのが見えた。
亡くなったおばあちゃんが迎えに来る姿が見えても不思議じゃない、と八雲は思った。
「食べた後に寝ると牛になるぞ八雲。まったく、寝ながら彼女にお弁当を食べさせるとは、そなたはほんとうに変わり者だ」
お前が俺を押さえつけて逃がさなかったんだろうが、と八雲は内心でつぶやいた。
「さて、私もいただくとするか。まずは、この米沢牛100%のハンバーグを……ばくっ」
一口、ハンバーグ(の、まがいもの)を咀囎した瞬間に。
剣の脳が、スパークした。
!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?
「~~~~~~~~~~~ッッッッッッ!!!!!!」
銀河が裂けた。
大空が泣いた。
間違っていた。明らかに、味付けを間違っていた。
「……まっ……ままままま、まずっ……」
ライトノベルの楽しい書き方 (GA文庫)です。
ライトノベルの書き方じゃないです。
同級生がライトノベル作家です。同級生がイラストレーターです。
まじかよ!です。
妹こゆりの壊れっぷりも中々です。
ライトノベルの楽しい書き方 (GA文庫)
著者:松 智洋
イラスト:ぺこ
夏祭りで宣伝とパティシエールである希のおかげで『ストレイキャッツ』は立ち直りつつあった。千世も初めてのバイトに慣れないながらも頑張っている。だが好事魔多し、梅ノ森学園の体育祭を舞台に、ブルマ派の千世とスパッツ派の文乃が対立し、学園全体を巻き込む騒動に発展する。さらに、迷い猫同好会の活動が原因で希が元々いた施設に彼女の所在がばれてしまい、家族の関係に危機が訪れる?恋の二人三脚で巧と共に走るのはどの迷い猫なのか!?
「どう?気に入った?」
メイドニ人をひきつれ、梅ノ森がやってくる。
「いや、気に入るもなにも……」
やりすぎ。
この光景を見て出てくる言葉はそれだけだ。
「アンタ、やっぱバカじゃないの?たかだか高校の体育祭でなにやってんのよ。オリンピックでもするつもり?」
「せっかく全世界に公開するんだもん。多少は見栄えも整えないと」
多少……これが、多少なのだろうか。
「当日までには、各チームの櫓と観客席が完成してるはずよ」
このうえまだ何か作ろうってのか。
「櫓ごとに定点カメラを設置するの。あと、放送席と観客席にも一台ずつ。もちろんハイビジョンよ、ハイビジョン」
「画質にこだわるのはけっこうだが、地元の体育祭なんぞ見て誰が喜ぶんだ?」
「その点も、もちろんぬかりないわ。佐藤、鈴木!」
梅ノ森が声をかけると、クオリティの高い背景画のように控えていたメイドさんが前に進み出る。そして、おもむろに自らのメイド服を脱ぎ捨てた。
「なっ!?」
そこに現れたのは、学校指定の体操着姿の元・メイドさんだった。
だが、よく見ると体操着は体操着でも大きな違いがあった。
普段は分厚い布地に隠された絶対領域が、最大サイズの広さで存在感を示している。
その名は誰もが知っているが、二次元と一部マニア向けなモニョモニョ以外では、いまや実物を拝むこと自体があり得ない伝説が、今、目の前に展開していた。
「なんで……ブルマ?」
「ふっ……いいところに気づいたわね」
梅ノ森は、我が意を得たりと頷いた。
「いや、普通気づくって」
「巧、うちの体操着はなにか言ってみなさい」
「は?いや、短パンだろ」
「そう、短パンよ。今どきはどこの学校だって短パンなのよ……」
「それがなんだっていうのよ。付き合ってらんない。行くわよ、巧」
「ちょっと、芹沢文乃!人の話は最後まで聞けってのよ!」
俺の腕を掴んでさっさと行こうとする文乃を、梅ノ森は慌てて止める。
「鈴木、マイクを!」
鈴木と呼ばれたメイドさん――現ブルマさんがすかさず無線式のマイクを差し出す。
梅ノ森は恭しく差し出されたマイクをひっつかむと、いきなり大声で怒鳴る。
「みんな、ちゅーもーっくっ!」
もう一人の元メイド――現ブルマさん、ええいややこしいな。
とにかく、片割れのメイド佐藤さんが持つ拡声器から梅ノ森の大声が何倍にも拡大されて朝の学校に響き渡る。近くを通りかかった生徒が何事かと足を止め、次々と振り返る。
そして千世はたっぷりと間を持たせてから唐突にこう宣言した。
「今日をもって、梅ノ森学園女子の体操着はブルマになるわ!」
朝っぱらから重大発表だった。
それも、もの凄くどうでもいい内容だ。なんというか、わざわざ大々的に言うことでもない
し、ましてメイドさんがわざわざ着替えるまでもないと思う。
だが、周囲の反応は俺の予想とはまったくもって違っていた。
「「うおおおおおっ!」」
一部で上がる、雄叫びのような歓声(主に男子)。
「「ええええええっ!」」
また一方では、不満を絵に描いたような絶叫(主に女子)。
「すでに、人数分のブルマは用意してあるわ。もちろん色は紺と小豆の二色!」
「「うおおおおおおおっ!」」
ふたたび男たちが沸いた。
「さすが梅ノ森!俺たちに出来ないことを平然とやってのけるッ!」
「そこにシビれる!あこがれるゥ!」
「今日は記念日だ!俺たちの夢が現実になっためでたい日だ!」
「梅ノ森!梅ノ森!」
口々に梅ノ森を賞賛する。
中には肩を組んで歌い始めるやつ、遠くの空に向かって祈るやつ。
そして最後は怒濤の梅ノ森コール。
一躍カリスマと化した梅ノ森はいつも以上に女王様な顔で野郎どもを脾睨する。
だが、女子はというと、先ほどにもまして不満と嫌悪感を露にしていた。
「ブルマとかマジでありえなくない?」
「ていうか、男子必死すぎ」
「ぶっちゃけキモいよねー」
「男子キモーい」
「もう先に逮捕しといた方がいいんじゃね?」
汚物でも見るかのような反応。
ブルマブルマと騒ぐ連中もどうかと思うが、女子は女子でかなりヒドイな……。
すると、まるで俺の感想が伝わったかのように女子たちの前に進み出る一人の勇者がいた。
「黙れこの三次元のメスブタどもがあ!」
家康だった。ひっこめ菊池、菊池マジシネ、菊池キモい、などなど罵署雑言が浴びせられる
中、それでも家康は一歩もひくことなく女子たちの前に立ちはだかる。
「オレは……オレは……オレはブルマが好きだああああああああっ!」
なんかもういろいろと最低だった。いい歳した高校生が涙と鼻水で顔面をぐしゃぐしゃにしながら言うセリフじゃあない。絶対ない。
「お尻を包み込む丸みを帯びたフォルム、化学繊維独特の滑らかな手触り、ふとももをキュッと締めつける裾の締まり具合……そのすべてがオレは大好きだ!愛していると言っても過言ではない!」
もはや、女子はブーイングどころかドン引き。
俺自身も今すぐ菊池家康という人間の記憶を脳内かち抹消したい気分だ。
「菊池ーっ、よくぞ言ってくれたぁ!」
「おまえってやつあ……くぅ」
って、おーい、男子諸君、なんで泣いてるんだー。
「二回死ねっ!」
そんなよくわからない友情シーンを打ち破り、文乃の背面蹴りが家康を襲う。
「あふん!」
妙な声をあげつつ吹っ飛ばされた家康が、台風で飛ばされたビニール傘みたいに地面を転がり、真新しい入場門に激突。そのまま動かなくなった。
文乃は無言で恐怖で真っ青になった男子たちを睨みつける。
しばらくすると、自然と女子の間から拍手がわき起こった。
「さっすが文乃。いい蹴りしてる。大晦日はアンタで決まりダネ☆」
委員長がバチーン☆とウィンクしながら現れた。
「叶絵……見てたなら手伝いなさいよ」
「おっと、あたしゃ荒っぽいのは専門外だよ。それに、ここで文乃のパンツを観賞したい」
「どこ見てんのよ!」
文乃は真っ赤になってスカートをおさえると、すぐさま俺の方をギロリと睨む。
「アンタ、見たでしょ」
「え?いや、見てない見てない!」
文乃のお気に入り、水色ストライプのしましまパンツを慌てて頭から振り払った。
「いやー、今日はピンクかあ。モテカワっすか?モテカワなんすか?」
「え?なに言ってんの委員長。今日は水色でしょ?つーか、ピンクは文乃のとっておきだからここぞって時にしか穿かない……あっ」
しまったーと思った時にはもう遅かった。
振り返ると、文乃は鬼の形相。
委員長にいたっては、ニヤニヤと笑っている。
「へえ……ずいぶん詳しいのねえ……」
「ま、待て、文乃。今のは違うんだっ」
「なにが違うの?アンタが、あたしのパンツを逐一チェックしてるような変態野郎だってこと?」
「チェックなんてしてない!本当だ!ただなんつーか、毎日見てると自然とローテーションとかそういうのがわかってきたりするだけで……」
「一万回死んでこおおおおおおおおおおおおおいっ!」
ローファーのつま先でえぐりこむように放たれた蹴りがみぞおちを襲う。
迷い猫オーバーラン!〈3〉…拾う? (集英社スーパーダッシュ文庫)です。
ブルマ対スパッツの体操着バトル開始です。
ブルマの歌まで……
そして希は文乃と千世に爆弾投下!!
ムフフフ♪とお楽しみ下さい
『サンキュー・ブルマ~ありがとうのキモチ~』
作詞/作曲―菊池家康
歌 菊池家康とブルメイツ
(ブッブッブルマブッブッブルマ)
(ブッブッブルマブッブルマブッブッブルマ)
ちょっと聞いてよ地球が危ない。いつものことさオレは寝る。
SoftにTouch、HardにCatch、脱いだブルマは置いていけ。
オオサンキューブルマ、ありがとう、オオサンキューブルマ、また来週。
ちょっと奥さん街が燃えてる、オレ明日から本気だす。
coolにsmell、wildにPutOn。被るまえにはよく拝め。
オオサンキューブルマ、さようなら、オオサンキューブルマ、また来世。
※コーラス
〈イントロ〉
「さわるだけでええんか……?」
(※セリフ)
オオサンキューブルマさようなら
オオサンキュ!ブルマナマステナマステ
(ブッブッブルマブッブッブルマ)
(ブッブッブルマブッブルマブッブッブルマ)
(ブッブッブルマブッブッブルマ)
(ブッブッブルマブッブルマブッブッブルマ)
(イェア!ウッ!ハッ!)※フェードアウト
迷い猫オーバーラン!〈3〉…拾う? (集英社スーパーダッシュ文庫)
著者:松 智洋
イラスト:ぺこ
都築巧は血の繋がらない姉、乙女と偶然拾われた素性不明の美少女霧谷希と暮らす高校生。檄ツンな幼なじみの芹沢文乃と共に潰れかけの洋菓子店『ストレイキャッツ』を必死で維持している。だが、忙しすぎて学園理事長の孫で巧に想いを寄せる梅乃森千世が作ったサークル活動に出られなかった事から、千世の怒りが爆発。千世の幼なじみで純正セレブな竹馬園夏帆も加わって、事態はとんでもない方向に発展する!?
乙女姉さんを……水着コンテストに!?
「い、いやあ、何も悪い方向に考えることはないんだよ。さっきも言ったけど、店の宣伝になるし。このところ景気もよくないでしょ?」
同じ商店街のご近所さんには、わかってしまうらしい。
ストレイキャッツが、今どれだけピンチな状態なのか……。
「うう~ん、水着コンテストかあ~」
あご先に人差し指を当てて、乙女姉さんは困ったような顔をした。
「乙女さんが出てくれれば、店の人気も、商店街の人気もうなぎ昇りだよ。ねっ?」
「う~ん、でも~別に私じゃなくても、いいような気が~……」
「そ、それは困るよ、乙女さん」
なぜか、精肉店の店主が慌て始めた。
「なんというか……その、それは非常に困るんだが」
「どうして~?」
「そ、それは、やっぱり乙女さんには華があるし……」
目を泳がせて、しどろもどろになる精肉店の店主。
確かに、乙女姉さんは町内の人気者だし、スタイルも抜群だもんな……
「ま、まあ、今すぐどうこうって話じゃないから、よく考えて、ぜひ参加をよろしく頼むよっ」
一方的にまくし立て精肉店の店主は、ケーキを一つ買うと慌ただしく去っていってしまった。
「……あたし、お店のためなら、脱ぎます!な~んちゃって、てへ♪」
それにしてもこの人、ノリノリである。誰がって?それはもちろん乙女姉さんです。
放っておいたら歌の練習も始めると思うな。振り付きで。
「乙女さんのスタイルなら、優勝間違いなしですよね」
ものすごく他人事な感じで文乃が言う。まあ、そんなもんだろうな。
我々の期待は選択の余地なく町内水着コンテスト優勝による当座の生活費獲得と町内への宣伝に向けられることになった。乙女姉さんも別に嫌がってないからいいかな、と……と!?
「ねー、巧、これ、どう思うー?」
ちょんちょん、とほっぺを突かれて振り向く俺。
視界には、鼻血を出して倒れている大吾郎と家康。
「ん~、またおっぱいおっきくなっちゃったのかな?なんだか小さいみたい……」
そして俺の至近距離には、どう見てもサイズに合っていないピチピチで紐と化した水着を身体に密着させた乙女姉さんのグラマラス豊満ボディがあったのだ。
「どわあああっ!姉さんっ!それマズイって!?」
「乙女さんっ、水着、破れそう!脱いで、脱いでっ!」
はち切れそうな姿に思わず叫ぶ俺。慌てた文乃が光速でバスタオルを姉さんに巻く。
その瞬間、ぶち、と可愛い音を立てて乙女姉さんの足下に水着の残骸が落ちた。ぐっじょぶ、文乃。そのバスタオルテクニックは特技に認定しよう。
「あ~。どうしよう、巧。お姉ちゃん、水着、これしか持ってないんだけど……」
姉さんの水着は外人体型。一番安くても万単位だ。あんな薄い布なのに、水着は高い。
がっかりして水着の残骸を見つめる乙女姉さんだが、さすがにこれを買い直す予算はない。
しかし、この期に及んで水着コンテストに出ないというわけにもいかない。
最大顧客である商店街を敵に回すわけにはいかないのだ。
「……希」
「……にゃあ?」
俺は、深く溜息をついた。既製品の安売り水着でも着られて、しかもコンテストでぶっちぎりの優勝が出来そうな美少女が、幸い、ストレイキャッツにはもう一人いる。
「悪いけど、希、姉さんの代わりに水着コンテストに出てくれないか?どうせ、文乃は出ないだろうし……」
言葉の途中で、ピキ、と空気の凍る音がする。
「なに、それ?」
文乃である。何を怒っているのか全然わからないが。
「どうしてあたしが出ないって決めつけるのよ!?」
「えっ、ええっ!だって、お前こういうの嫌いだろ?出るわけないじゃん」
「勝手に決めつけるな!で……出るわよ!あたしっ」
まて。落ち着け。
文乃は、基本照れ屋なのだ。というか、極端な照れ屋と言うべきだ。恥ずかしいから殴る、照れ隠しに蹴る。そういう人物が水着コンテストに出ては死人が出るかもしれん。
「文乃、無理しなくていいって。希、いいよな」
「……にゃあ。わかった」
希は快諾する。まあ、これだけでストレイキャッツの優勝は約束されたようなものだ。
しかし、全然収まらない狼少女がひとり。
「無理なんかしてないっ!二回死ね!あたし、出るわよ!お店のために優勝すればいいんでしょっ!ぜったい出る!出ますっ!」
……おい。
顔が耳まで真っ赤で目に涙がたまってますけど。そんなに嫌ならやめていいのに。
しかし、ここでトドメを刺すのが家康の役割だ。
「へっ、そう言いながらどうせワンピースにパレオに帽子にサングラス、ついでにパーカも着込んで完全防備なんてオチでしょ?知ってる知ってる。そういうツンキャラよくいるって」
「ビキニで出てやろうじゃないのーっ!!!」
文乃は、涙目で竜巻旋風脚を放ち、家康を粉砕した。だが落ち着け、それは墓穴だ。
冷静になれ文乃。縞々のパンツも見えてるし。俺は、今、やっと事態が呑み込めた。
俺が「出るわけない」って言ったから、狼法則が発動して本心は「出たくない」のに「出る」って言い出してるだろ、絶対。
「文乃、ホントに大丈夫だって。希が出てくれれば……」
「うるさいっっ!出るの!決めたのっ!巧の無神経――っ!!百回死ね――っ!」
文乃の黄金の左腕が繰り出すパンチで、星が砕けた。銀河が泣いた。
吹き飛ばされて気絶しそうな俺の耳元にしゃがみ込んだ希が、ぽつりと眩いた。
「……策士?」
迷い猫オーバーラン!2 拾わせてあげてもいいわよ!?(集英社スーパーダッシュ文庫 )です。
天然?美少女霧谷希、檄ツン幼なじみ芹沢文乃、ロリぺたお嬢様梅乃森千世に続いて純正お嬢様竹馬園夏帆参戦!
~~~~~
ふと、夏帆さんが、俺の方へ歩み寄ってきた。
「あなたに今回は色々と教えられましたわ。その恩返しというわけではありませんけど。私なりのお礼をさせて頂きたく思っております」
いや、そんな、礼を言わなきゃならないのはむしろこっちで――と言いかけた瞬間。
夏帆はぎゅっと俺の足を踏みつけ、思わず俺が仰け反った所に急接近し、そのまま俺の唇に唇を重ねてきた。いわゆる、キス、だ。
~~~~~~
ギャルゲならそろそろ選択肢が出てきて「どの娘を応援しますか」とか出てくるころだな。
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拾った迷い猫と※なことをするCG集です。
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